企業教育研究会(ACE)には、学生スタッフが多く所属しています。そうした学生スタッフと共に社会を学ぶ機会として、ACEでは企業の方にご協力いただき、定期的に企業訪問を企画しています。卒業後は教員となる学生スタッフも多いため、本企画は、教員を目指す学生スタッフが企業の方と接する貴重な機会にもなっています。
11月11日。この日は、世界的タイヤメーカー、そしてグローバル企業である株式会社ブリヂストンさま(以下ブリヂストン・敬称略)へ訪問してきました。
社是に『最高の品質で社会に貢献』を創業時から掲げ、ブリヂズトンには社会貢献の精神がDNAに組み込まれているとお話しされる社員の皆さん。その言葉通り、創業の地である久留米工場から現在の小平市にある東京へ工場を移転する際に、移転先に病院や学校ごと寄付した事例もあるとのこと。
そんな社会貢献への想いが熱いブリヂストンとACEは、学校への出張授業活動も10年以上のお付き合いです。
今回の訪問では、身近ではあるものの意外と知らないことも多いゴム・タイヤのことのみならず、未来に向けた研究の紹介、社員の皆さんとのざっくばらんな座談会と盛りだくさんの一日になりました。
このblog記事では、そんな企業訪問の様子についてお届けします。
企業訪問前半は、一般にも開放されている Bridgestone Innovation Gallery を、解説付きでご案内いただきました。
詳しくは、ブリヂストンのホームページに記載があるため割愛しますが、「最高の品質で社会に貢献する」ということを本当に大切にされ、社会課題の解決に向けさまざまなソリューションを提供していただいていることを知ることができます。ゴムと言えばゴムの木を想像しがちですが、未来や環境のためにタイヤの原料になる植物の多様性についても研究がなされていること、レース出場はタイヤに過酷な環境を与える実験の場としても貴重なことなどなど、実際に費用も人材も投入して活動を進めていることをとても分かりやすく解説いただきました。
小学校の社会見学でもよく使用されている施設とのことでしたが、大人の私たちも興味を惹かれる話や展示ばかり!
一通り解説をいただいたのですが、再度詳しく見学したい‼‼とワガママを言ってGalleryに舞い戻った私たちなのでした。
レーサーのサインや実際にレースで使用された装具など華やかな展示もあり、見応えのある学び時間になりました。
後半は、社員の方々と交流タイムを設けていただきました。
就職活動も気になる学生スタッフのために、現在のブリヂズトンでのお仕事内容のみならず、学生時代のことから前職のことまで、ざっくばらんにお話をいただきました。
社員の皆さんの素敵なお人柄に加え、明るくオープンな雰囲気で接していただき、学生たちもリラックスして質問している様子でした。
【学生スタッフ 菅谷美玖さん】
原料の選定やタイヤのリユース、使用したタイヤに熱分解等を加え原料に戻すなど環境にやさしい製品を届けるためにたくさんの工夫をされていることに驚きの連続の見学でした。
また、社是に社会貢献という言葉を組み込まれているブリヂストンさんだからこそ、多岐にわたる社会貢献活動を通して、未来の社会をより良いものに、また未来の子どもたちのために何ができるかを大切にしているというお話が特に心に残りました。
今回の企業訪問で学んだことを授業にどう活かしていくかという視点で振り返ってみた時に、ブリヂストンさんなどのその企業さんだからこそもてるリソースについて理解を深めつつ、子どもと一緒にこれからの持続可能な社会の創出にどのように関わっていくかを一緒に考えるような、社会とつながるきっかけを子どもに提供することがとても大切であると改めて感じました。
今回お話させていただいた小平様・中井様はじめ、社員の方からでないときけない現在の部署に移った経緯や想い、社会貢献活動を実施するに至るまでの流れなどについてお聞きできたことで、より社会や企業について学ぶことができ、とても勉強になりました。この度はとても貴重な機会をありがとうございました。
【学生スタッフ 岡田雪寧さん】
社会貢献への考えと探索事業が特に印象に残りました。創業者である石橋正二郎氏の社会貢献への意識が今も受け継がれ、会社全体に浸透していることを教えていただきました。近年、企業には環境への配慮が求められるようになり、「グリーンウォッシュ」や「SDGsウォッシュ」などが横行している実態がある中、ブリヂストンがはるか前から「最高の品質で社会に貢献」という社是を掲げて企業活動を行っている先見の明には驚きました。また、「地球は未来の子どもたちからの預かり物」という考えが広く共有されれば、多くの問題が解決に向かいやすくなるのではないかとも感じました。
月面探査機に使用する金属製のタイヤ、ゴム人工筋肉を搭載したソフトロボットハンド、電気自動車の充電・駆動に必要な装置を内蔵したタイヤ、空気を使わないタイヤなど、探索事業に関する話も伺いました。タイヤ作りのコア技術はゴム製タイヤにあると考えますが、時代やニーズの変化に応じてゴム以外の素材を使ったタイヤに展開する可能性や、ゴムを別の用途に活かしてロボットハンドに応用する可能性も開かれていることに驚かされました。私自身も、磨きたいコアの強みが何か、そしてそこからどのように発展する可能性があるのかを考えると、非常にワクワクします。
この度の企業訪問につきましては、お忙しい中、ブリヂストンの小平さん、中井さんに多大なるご協力をいただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。大変貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
10月19日(土)に開催された、第165回「千葉授業づくり研究会」。
今回のテーマは、「授業づくりにおける表現と差別・ステレオタイプを考える ~想像と創造のサイクルの中でジェンダーや人種をどう考えるか~」です。
昨今、テレビや映画、漫画からポスターまであらゆるコンテンツにおいて、その表現が人種やジェンダー、セクシュアリティの観点から差別的であると批判の対象になることがあります。これは教材や掲示物など、実は日常的に教育コンテンツを制作している教育現場にも起き得ることで、自分が意図せず差別的な表現をしていることがあるかもしれません。多様な子どもたちが存在する教育現場で、私たちはこれらにどのように向き合っていけばよいのでしょうか。
それらの課題を考えるため、今回の研究会では、ハリウッド映画における多様性やフェミニズムなどを中心に研究される東京大学大学院博士課程の山本恭輔さんをお招きしました。
まずは山本さんより、エンターテイメント産業におけるコンテンツ制作という視点を中心に、ジェンダーや人種の多様性と差別についての基礎的な内容から、最近の多様性やフェミニズムに関する世界動向まで幅広くお話しいただきました。そして後半、教育コンテンツ制作という視点でそれらの知見をどう活かしていくのか、参加者全員で議論しました。
タイトルにある『想像と創造のサイクルの中でジェンダーや人種をどう考えるか』とはどういう意味なのでしょうか。
本blog記事では、山本さんの講演とその後のディスカッションの中から、教育に関わる方々にお届けしたい内容を抜粋し、ボリューム多めですが、レポート風に紹介することにしました。広く深い知見を要するこの難しい課題に対し、この記事が教育現場の方々の一参考になれば幸いです。
東京大学大学院博士課程で「メディア表象」を研究される傍ら、立教池袋高等学校でも社会学の教員として男子校の高校生に多様性について教えている山本恭輔さん。
実は山本さんは、企業教育研究会(ACE)に深いかかわりのある方で、山本さんとACEの出会いは12年前まで遡ります。当時中学生且つデジタルネイティブ世代であった山本さんに、ACEで開催したメディアリテラシー研究会の講師をお願いしたことも。その後もずっと活動に関わって下さり、現在は、ACEが関わるドラマ教材制作等にて配慮事項について監修や、ACEの理事もしていただいています。
まず山本さんは、CGアニメーション映画で使用された東京、ロンドン等がイメージされるCG画像を示し、なぜこれらを特定の都市だと感じるのでしょうかと問いかけました。なぜ、CGで作られた画像を、私たちは例えば東京だと認識するのでしょうか。実際に行ったことが無くても、万人に東京という同じものを想起させるということは、どういうことなのか。
私たちは、何かを表現して伝える時、複雑なすべてをそのまま伝えることはできないため、意識的(半意識的)に大量の情報の中からどんな要素を抽出するか選択をしています。また逆に、私たちは何かを見た時、複雑なすべてをそのまま知覚することはできないため、「想像」し認識を「創造」しています。
このように、あるものを、別のなにか(記号)に置き換えて表現することを「表象(ひょうしょう)・representation」と言います。
例えば、東京タワーや富士山、ネオン街といった記号が東京らしさを特徴づけるものとして使われ、その表象が流通することで、人々の想像力の中で「東京」というイメージが広く共有されていきます。すると、逆にその記号がある表象に対し、人々は東京を想起するようになります。
ハリウッド映画などで東京を描く際には、この現象を利用しているということになります。もちろん東京以外のあらゆるものを描く際にも同様なことが起きています。
ではなぜ、このような記号で特定のものごとを表象できるのでしょうか、そしてなぜ、我々はそれを認識することができるのでしょうか。
われわれの認知機能は、知覚する人や物を、一定の特徴に基づいて「カテゴリー」に分類します。
そして、特定のカテゴリーが共通して持っていると信じられている特徴のことをステレオタイプと言い、そのステレオタイプを用いて他者を判断するステレオタイプ化は、人間の認知機能の節約として無意識で行ってしまいます。
つまり、例えば東京タワーはカテゴリーとしては「都市東京」を特徴づける記号であり、CG画像に東京タワーを描くことで他者に東京と判断させることができます(ステレオタイプ化)。
ステレオタイプ自体はニュートラルなものですが、そこに否定的な感情や評価が結びつくと偏見となり、偏見が元になった否定的な判断が相手に対する言動や行動として現れると差別となります。
ステレオタイプによる判断が無意識に出てしまう以上、そのステレオタイプを偏見や差別へ繋げないためには、自分自身が他の人や物を、どのようなステレオタイプで眺めているかについて自覚的になることが必要です。
山本さんより、「自分自身が他の人や物を、どのようなステレオタイプで眺めているかについて自覚的になることが必要です。」との指摘がありました。それに対し私たちは、『いろいろな選択肢の中から個人で自由に選択しているように見えても、実は自分が見聞きしてきたものに影響を受けている。』ということを、今以上に意識する必要があります。
例えば、山本さんの紹介事例によると、フリー素材を提供するWebサイトいらすとやで「監督」を検索すると、女性に見える選択肢は監督官の1つしか出てきません。
このように画像検索した際、検索結果において性別により就いている職業に偏りがあったり、そもそも検索にヒットする頻度が低いとなればどのような印象を引き起こすでしょうか。これらが繰り返し使用されたり、また使用する選択肢のなかに用意されないことにより、人々はその選択肢がないことを当たり前に感じるようになってしまいます。
このように、制限された表象は、社会の特定のイメージを維持・再生産します。それが、想像と創造のサイクルです。
従って、制作者が意図するかに関わらず、それがどういう社会的意味合いを持つのか、どう解釈されるのか、その解釈によりどういう社会的認識に繋がっていくのか(他者をどのように判断することに繋がっていくのか)を意識し、ステレオタイプ化から偏見差別に繋げないことを意識的に行うことが大切です。
だからこそ、映画・テレビ・漫画などを「ただのフィクションだから」とは扱えません。
たかがイラストではないかとは言えないのです。
山本さんより、映画『カーズ』3部作を事例に、2006年、2011年公開の2作目までは、ほとんどの女性は「男性との関係性」の中でのみ登場していたものの、2017年の3作目で新しく登場した女性は恋愛や結婚など男性との関係性が提示されず、必ずしも女性が異性愛的な関係における従属的な存在ではない、主体性持った存在として描かれるように変化したことが紹介されました。
また、ディズニー・プリンセスを事例に、かつて受動的で、男性の助けが必要な「白人」として描かれがちであったプリンセスが、現在は、活発で、必ずしも恋愛(結婚)せず、多様なバックグラウンドを持ったプリンセスとして描かれるようになっていることも紹介しました。
ただ、これらの多様化された描写は、企業にとっては、必ずしも社会的意義のみを目的としてはおらず、商業的な面でこれらに配慮していること自体が、ブランド化し利する面もあることにも触れました。また、時に利(売れるか売れないか)が優先され、例えば日本においては、未だに白人で女性性が強い旧来的なプリンセスを前面に押し出し商品展開をしており、そこに人種差別の意図があってもなくても、プリンセスにおける非白人の表象頻度が低くなることで、社会のイメージが旧来的なまま固定化されてしまっている現状についても触れました。
後半のディスカッションでは、前半の講演を踏まえ、教育現場で用いる教材・題材で留意すべきことや、それだけではなく学校生活での子どもたちへの影響など、幅広く意見交換する時間となりました。その内容について、いくつか紹介します。
Q:学校において、生徒指導は男性教諭、教育相談は女性教諭、大きな行事は男性、そのサブは女性がやるものみたいなことを、子どもたちはこういうものだろうと感じながら日々成長しているかと思うと怖い気がしました。
(山本さん)目にするものが当たり前になってしまう面は否めないので、そうではないあり方もあることを、(生徒に)目にしてもらうだけでも違うと思います。また、そういうコンテンツを生徒に見せる際には、必ずしも共感を促すのではなく、こういう視点や声があることを意識して欲しいから見せるのだと、一定の客観性を担保して示すことは入りやすさもあり有効だと感じています。
Q:学校内でこれらのテーマを話し合える土壌を作るには?
(参加者の中には、学校でこのような話題を全く話したことが無い(話せる雰囲気ではない)という方もいれば、結構話題に上がるという方もいました。)
(山本さん)偏見や差別といった話題で会話するにあたり、個人の内面や思想の統制ではないという認識が必要だと思います。そういった認識をお互いにもった上で議論をしないと、「私は差別をしているつもりはない」、「思いやりが解決する」という方向になってしまいます。そうすると(日常生活における自分の言動について)「これは駄目なのか」的な話になりやすく、人によってはすごく統制されていると感じてしまう。
そうではなく、公共の場で差別を表出しないために最低限の線引きはこのぐらいになるということや、表現においてここは最低限守らないと、ということを議論する。その前提に立てるかが重要だと感じます。
Q:教材を作るにあたり、何に気をつければいいですか?
(山本さん)難しいですけれど、元も子もないことを言うと、何をやっても問題は起き得ます。問題が起きない選択はないです。その中で、どういう意義を持ってその選択をしたのか、その判断について説明可能かどうかということが大切なのではないかと考えます。
Q:意義をもって何かを選択するには、広く深い知見が必要かと思います。専門家ではない人が、留意できることはありますか。
(山本さん)専門家に頼ってくださいというのがまず一つですね。アクセス可能な専門家がいるかということはありますが、やはり、ACEや先生方といった授業をつくる方が、全てのことを100%把握できるわけではないので。だからこそ、専門家に頼るのが一番かと思います。
結局、ディスカッションしていくしかないと思います。一方で、教材はどこかで折り合いをつけて完成させなければいけないので、実践一つ一つにどう折り合いをつけ、どう責任を持つのかは、すごく心が暗くなることもあります。
そこに関しては100%自信を持って何かを出すということは、正直できないということを受け入れる前提に立つしかないのかなと思います。
でも、例えば日本におけるディズニー・プリンセスの商品展開にあるように、どういうものが受け入れられると思うのかということに対して、やはり子どもたちに対して選択肢がある程度広がっていくことの大切さはあると考えています。
明るく活発な研究会となりましたが、今回のテーマは、とても根が深い問題を内包しており、例えばジェンダーという視点では、世間を賑わしたジェンダー・ギャップ指数や、女性管理職のクウォーター制などがあるように、これらは学校教育現場に限らず、日本社会が抱える課題でもあると思います。
私たちが日ごろ意識せず表現している様々なコンテンツが、これらの問題を固定化し、再生産している現状もきっとあるのだろうと感じますし、もし意識したとしても、自身の表現からその問題を完全に排除することも難しい。山本さんの話を聞き、大人である私たちが、既に子どもたちがニュートラルに捉えているものを、意識せず旧来的に選択肢を示してしまうこともあり得るという危険性も感じました。
そのような中で、これから社会に出ていく子どもたちに、どういう選択肢があり得ると示していくのか。子どもたちに日々接するACEとしても、葛藤を持ちながらも日々向き合っていきたいと思います。
と…、約20年前、新社会人1年目に感じたモヤモヤの解を求めて当時フェミニズム系の書籍を読み漁り、現在も一人の妻として親として模索を続ける本blog記事担当が感じたことを少しだけ吐露させていただき記事を結びたいと思います。
次々回、12月の千葉授業づくり研究会では、実際に葛藤を抱えながらも世に映像作品を発信し続けているスペシャルゲストをお招きし、さらにディスカッションをしていきます。
6月15日(土)に開催された、163回目を迎える「千葉授業づくり研究会」。
テーマは『「リスキリング」から、これからのキャリア教育を考える』です。
人生100年時代とも言われ、定年制度もなくなるかもしれない昨今、「リスキリング」への関心はどんどん高まっています。リスキリングと聞くと、社会人向けのような印象もあります。しかし、学校で実施するキャリア教育において、育成を目指す項目のひとつに「キャリアプランニング能力」があるように、今の子どもたちには生涯にわたり自分のキャリアを考えていく力が求められています。となると、学校でのキャリア教育に「リスキリング」の考え方を入れることも重要ではないでしょうか。
今回の研究会では、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業を手掛けるアデコ株式会社(以下アデコ)の武井森さまを講師にお招きし、自分たちが望むキャリアを継続して実現していくスキルを身につけるため、アデコさまが取り組む事例武井さま自身の経験についてお話しいただきました。
『「人財躍動化」を通じて世界を変える』をビジョンに掲げるアデコは、ただ人と仕事をマッチングさせるだけでなく、働く人の思いや企業のビジョンとのマッチング、さらには社会で求められているスキルと個人のスキルをマッチングさせスキルアップを支援するなど、人財が躍動するような「ビジョンマッチング」を推進しています。
その中で武井さまは、リスキリングを中心とするさまざまなキャリア支援や研修事業をご担当。一般的に「リスキリング」とは、技術革新や社会の変化に対応するために新しい知識やスキルを学ぶこと、という意味をもつ言葉です。しかしアデコでは、「人財躍動化」というビジョンに基づき、スキルを身につける人の内面にもアプローチをしながら「リスキリング」を推進していくことを大事にされています。
今回の研究会では、そんなアデコの「リスキリング」について、3つのトピックに分けてお話しいただきました。
まず、今回のキーワードである「リスキリング」の定義を改めて整理するところから研究会がスタート。
2020年の定義(経済産業省HPより)によると、リスキリングとは、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する・させること」であるとご紹介いただきました。
すると、武井さまから「2024年の今、この定義に最も重要な言葉を足すとしたら何を追加しますか」と問いが投げかけられました。参加者同士で話し合いながら、「誰もがよりよい社会にしていく」「人材を確保する」「古いスキルを捨てて」など意見を交わしました。
参加者の意見を確認した後、武井さまは、「デジタルリテラシー、持続可能性(持続可能なビジネス実践・持続力)、柔軟な思考力」の3つ、特に持続力が重要ではないかと指摘されました。一度リスキリングをすればいいわけではなく、新しい技術や社会の変化に応じて、自分の技術を何度も何度も磨き続ける力が必要と感じていると話されました。
では、現代社会で必要とされる、もしくは今後必要とされるスキルを身につけ、そのスキルを磨き続けるためのリスキリングの持続力はどのようにすれば維持できるのでしょうか。
アデコでのリスキリングにおいて武井さまが常々大切にされていることは、「まずは自分のビジョンを考えること」だそうです。はじめにもお話があった通り、リスキリングをしていく上での大事な要素のひとつに持続力があります。持続力を担保するために重要な要素となるのがモチベーションです。そして、そのモチベーションを維持していくためには、「自分のビジョン」を明確にすることが重要であると武井さま。
そこで、自分自身のことや社会とのつながりに目を向けながら、ビジョンを明確にするためのツールのひとつとして「IKIGAI」をご紹介いただきました。
「IKIGAI」はアデコが提供するフレームワークの一種です。このワークでは、好きなこと、得意なこと、やりたいことをまず考え、その上で社会が求めていることを考えます。そして下図のように、それらの重なりから、自分なりの仕事へのビジョンを見出します。ワークの中心「IKIGAI」に位置できれば、モチベーションを維持し得る、楽しく生きがいが伴った仕事になります。
武井さまが仰るには、このワークで大事なこともやはり、持続力。このワークでは、必ずしも、常にIKIGAIの真ん中に自分が位置していなくてもよく、社会や自分自身の変化に応じ、何度でも見直し、自分のIKIGAIを考え続けることが重要とのご紹介でした。
3つ目のトピックは、どのように上記IKIGAIを意識し、組織として、もしくは個人としてリスキリングを実際におこなっていくのかです。武井さまからは5つのポイントをお話しいただきました。
【リスキリングをおこなうための5つのポイント】
1.ビジョンを掲げる
組織として何を目指していくのか、その中で個人としてどこを目指していくのかゴールを決める。
2.具体性のあるプランを示す
リスキリングにどれくらいの期間をかけ、何を、どのように進めていくのか具体的に決める。
3.(リスキリングに)投資を続ける
すぐに結果が見えなくても、スキルアップなど目標達成に必要な投資は継続する。
4.わかりやすい目標にチャレンジする
こんな資格を取るとよいなど、目指す方向性が具体化されることでモチベーションの向上にもつながる。
5.言葉だけでなく仕組みと紐づける
資格取得をした人への報酬などはよく見られる例ですが、それだけではなく、得たスキルや資格を活かす実践の場の提供までをセットにすることがスキリング及びリスキリングで重要なノウハウ。
武井さま自身も、エンジニアからコンサルタントになられたという経験をお持ちであり、当時のリスキリング体験も交えながらお話しいただきました。研究会に参加していた方々も自分自身を振り返りながら、リスキリングとどのように向き合っていくのかを考える時間になりました。
この5つのポイントを伺いながら、大きな目標を立て、その目標を達成するためにスモールステップの目標を立てるという手立ては、学校でもよく行われていることだなと、リスキリングと学校教育の共通点を感じました。
武井さまからお話をいただいた後、参加者とのディスカッションを行いました。
ディスカッションの内容を一部ご紹介します。
Q:生涯学習とリスキリングの違いは何でしょうか?リスキリングは既有のスキルと対極のものを身につけていくという認識でよいのでしょうか?
武井さま:基本的には共通のもので、変化に応じたスキルを身につけていくというニュアンスが、リスキリングには強いという捉え方がよいのではないかと思います。組織に個人を捧げるのではなく、社会の変化に対応し世の中を生き抜くために必要なスキルを身につけていくことが求められています。
Q:リスキリングはこれからの世の中を生き抜くためにとても重要なことだということを感じましたので、(自身が受け持つ)生徒に伝えていきたいと思います。世の中を生き抜くとはどういうことかを生徒にわかりすく伝える言葉を考えると、「生き抜くこと=稼ぐこと」と感じましたが武井さまはどのようにお考えでしょうか?
武井さま:世の中を生き抜くことをよりわかりやすく伝えるとするならば、「稼ぐ」よりは「柔軟性」に重きを置いて伝えることが大事ではないかと思っています。高校生に世の中を生き抜くということを考えてもらうには、「柔軟性」という言葉だけではイメージがわかないと思うので、具体例を挙げて考えてもらうしかないのではと感じます。
Q:実践の場を与える重要性の話があったが、失敗が続く不安定さ・悩みへの対応は何ができますか?
武井さま:失敗の過程がとても重要で、次どうしたら良いと思う?とサポートをしていくことで混沌が良い学びの場になるのではないか。それと同じくらい、成功体験を積むことも重要です。
Q:リスキリングを考えるキーワードの中に、「持続力」があったと思うが、手間をかけないと良いものができないのに、手間をかけたくない子ども・教員も多いと感じています。
武井さま:今まで解決していない問題を解決しようとしているので、初めから上手くいくわけがないと思うことがまず大事です。一時的に負荷がかかるのは当たり前ですが、教員の負担が大きくなりすぎるのは良くないので、何か業務を捨てるか、デルタル化のリスキリングを先生が進めて効率化していく必要があると思います。先生の役割を再定義すると、教師がどのようなスキルを身につけるべきかが見えてくるのではないかと思います。
1時間半があっという間に感じるディスカッションとなりました。 結びになりますが、ご講演いただきました武井さま、ご参加いただきました皆さま、誠にありがとうございました。
2024年7月20日(土)「授業づくりハッカソン2024」が、企業教育研究会(以下ACE)と千葉大学教育学部藤川研究室との共同で開催されました。企業と連携して授業をつくる楽しさや教育の面白さを、教員を目指す高校生・大学生・大学院生と味わいたい!と開催された本イベント。昨年度に引き続き2回目となる今回は、株式会社ZOZO、株式会社千葉銀行、株式会社ディレクションズ、LINEヤフー株式会社の4社にご協力いただき、学生参加者も合わせ総勢53名が千葉大学に集まりました。短期間で集中的に開発を行うハッカソン形式で、グループで協力しながら、企業と連携する授業プランを考えました。
また、ACEでは、学生スタッフも活動に参加しており、本イベントは私たち学生スタッフが中心となって企画・運営を行いました。その様子も含め、本blogでは、イベントの模様を学生スタッフ・木村がお届けします!
司会進行ももちろん学生スタッフです!
暑さに負けず、明るく元気に、「授業づくりハッカソン2024」 開幕です!
今年も、ご協力いただく企業はサプライズで当日に発表しました。
各グループがコラボレーションする企業は、くじ引きで決定します!
どこの企業と連携した授業づくりをするのか、ドキドキです!
コラボレーションする企業が決まり、早速授業づくりの始まりです。まずはヒアリングタイム。自分たちがコラボレーションする企業にどんな特色があるのかを知るため、企業の方から説明を聞いたり、いただいた資料の気になるポイントを質問したりしながら理解を深めました。
次に、ヒアリングの内容を活かし、授業アイデアを考えます。ACE学生スタッフ が特別仕様で用意した授業づくりシート を活用して、「企業との連携の意義」や「企業の特性を活かせているか」を意識しながら、子どもたちに何を伝える授業にするかを考えます。
湧き出るアイデアを付箋で貼り付け、チームで共有&整理!
高校生の参加者も積極的に議論に参加し、チーム全員で授業をつくり上げていきます!
審査員である藤川教授やACE職員による中間フィードバックでは、「今風で新しい視点だ」「活動が面白そう!」とポジティブなコメントが。一方で、「楽しさと学びは別物」「その企業と連携することの良さは?」といった鋭い指摘をいただくこともありました。
審査員からのフィードバックを受け、授業を練り直すために再度企業の方にヒアリングを開始!
ハッカソンタイム前半は企業の方々とのコミュニケーションに緊張していた参加者たちも、後半では積極的に質問している姿が多く見られました。チームメンバーのみならず企業の方も交えながら活発な議論が繰り広げられ、時間ギリギリまで、チームの思いを指導案に反映させるにはどうすればよいかを考えていました。
完成した指 導案をもとに、 グループごとの授業案を発表。
各チームより、日頃の教科学習との関連も意識した上で、連携する企業のよさを引き出す素敵な授業がたくさん誕生しました!以下に、ハッカソンで生まれた8つの授業案をご紹介します!
<株式会社ZOZO と連携した授業>
「将来の想像を創造しよう!〜デザイナーになるの巻〜」
・ZOZOのロゴコンセプトである「Be unique. Be equal.」が伝わるような採用ページをWebデザイナーとして考える。多様性についての理解を深めることができる授業。
(関連キーワード:総合的な学習の時間・キャリア教育・多様性)
「ファッションショーで自己を知る、他者を知る、世界を知る」
・ZOZO GLASSやZOZO MATでの計測を生徒自身も体験しながら、自分の「似合うと好き」について考える。 ファッションを通して、自己理解を深める学習。
(関連キーワード:総合的な学習の時間・キャリア教育・自己理解)
<株式会社千葉銀行 と連携した授業>
「銀行のヒミツ 〜お金の世界を探検しにいこう〜」
・身近だが意外と知らない銀行業について知ることができるロールプレイングゲームを取り入れた学習。
銀行の役割を地域貢献の視点もふまえて理解することができる授業アイデア。
(関連キーワード:社会科(公民)・金融教育・地域貢献)
「千葉銀行と地域おこし大使で作る住みよい街づくり」
・地域おこし大使として、4人の市民の立場を考えながら、千葉県が抱える地域課題の解決プランを作成する。企業と連携するからこそ、リアルな探究につながる学習。
(関連キーワード:総合的な学習の時間・探究学習・アントレプレナーシップ教育)
<株式会社ディレクションズ と連携した授業>
「映像制作を通して、地域のSDGsの取組を知ろう」
・職場体験先の企業が実践しているSDGsに関する活動を取材し、映像にまとめる。プロの取材方法を学んだ上で職場体験先を取材するという、主体的な体験学習につながるアイデア!
(関連キーワード:社会科・総合的な学習の時間・キャリア教・職場体験・SDGs)
「CGやARで理想の公園を作ろう!」
・普段利用している公園の課題を見つけ、CGでアイデアをかたちにしながらよりよい公園を考える活動。イラストや言葉にCGが加わることでリアルな課題解決ができる授業アイデア。
(関連キーワード:社会科、総合的な時間の学習、アントレプレナーシップ教育)
<LINEヤフー株式会社 と連携した授業>
「企業と連携してLINEの回答自動 生成AIを作ろう!」
・SNSでのコミュニケーションの問題点を考え、回答自動生成AIに学習させる条件を考える学習。トラブルを自身のリテラシーのみで防ぐのではなく、新サービスを考えるという新しい視点 でSNSトラブルの学習ができる授業アイデアでした!
(関連キーワード:国語、総合的な学習の時間、生成AI、SNS)
「賢くモノを買おう」
・学級に必要なものを考え、オンラインショッピングで購入する学習。オンラインショッピングの普及に目をつけ、利点と注意点を学びながら消費者として適切に買い物をする体験ができる授業アイデアでした!
(関連キーワード:家庭科、社会科、学級活動、消費者教育)
連携した企業の特色や思いを生かし、現代社会の教育課題と向き合った授業案ばかりで、「この授業受けてみたい!」とワクワクするものばかりでした!
そして今回、発表される授業案に対して4つの賞を準備していました。
その賞とは、授業を受ける立場でもある参加者の投票による「学び手賞」、企業と連携した授業づくりを専門とするACE事務局長・竹内さんが選ぶ 「企業賞」、教員として学校現場に長年携わってきたACE授業開発担当・古谷さんが選ぶ「学校ニーズ賞」、現代の教育課題の解決策になっているか、授業に新規性はあるか等を総合的な観点で藤川教授が選出する「ハッカソン大賞」 です。
これらの4つの受賞授業案は以下の通り。
「学び手賞」を受賞したのは…
「銀行のヒミツ 〜お金の世界を探検しにいこう〜」でした!
お金とアイデアの「価値」に共通点を見出し、お金をアイデアに置き換えたロールプレイの独創性には、コラボレーションした千葉銀行さまも驚かれていました!
「企業賞」を受賞したのは…
「映像制作を通して、地域のSDGsの取組を知ろう」でした!
ディレクションズの映像制作のノウハウを生徒たちが体験できるようにしているところが評価ポイントでした!
「学校ニーズ賞」を受賞したのは…
「CGやARで理想の公園を作ろう!」でした!
公園の活用という子どもたちが考えやすい内容、かつ、ゲーム感覚で楽しむことのできるCGをつかった方法で地域貢献を体験できる授業は、子どもの身近なものから学習に入ることができる素敵なアイデアでした!
そして、見事「ハッカソン大賞」を受賞したのは…
「企業と連携してLINEの回答自動生成AIを作ろう!」でした!
生成AIによるLINE回答の自動生成機能を考えるというアイデアは、LINEヤフーの特性と教育課題を絡めた見事な授業案でした!
今回のイベントを通し、限られた時間ではありましたが、企業の方々と協力して授業をつくり上げました。これらの体験を通して、教育の魅力とその可能性を再発見することができたのではないかと思います。
◆◆主催者・千葉大学教育学部 藤川教授より◆◆
社会が変化していく中で、授業研究をして新しい授業を作っていくことはとても大事なのではないかと思っています。そのためには、普段からどんな新しいことをしようかと意識をもつことができるかどうかが非常に重要です。企業の方とたくさんコミュニケーションをとれるようになると、どんどんアイデアが出てくるようになったと思います。ぜひ、今日の経験を生かして欲しいと思います。
限られた時間内で、完成度の高い授業案を仕上げることができたことは、自信に繋げて欲しいと思います。
◆◆参加者の声◆◆
アンケート内容から一部抜粋・要約したものをご紹介します。
・企業と連携することで、普段とは違った授業づくりが体験でき、貴重な経験になりました。企業の特性を子どもたちに伝えるのは難しかったですが、その分深い学びになったと思います。
・初めての経験が多く楽しかったです。また、授業をつくるには多くの試行錯誤が必要であり、先生方の苦労や授業に込めた思いを少しばかりだが知ることが出来たのではないかと思います。
・色々な立場の人と同じ目的で熱く授業づくりをできて楽しかったです!
・授業を受ける立場では見つけられない大切なポイントや大学生の先輩達が授業作りで大事にしている点を知ることができ、他の企業と協力して授業を作る事が楽しかったです。
・企業の方とコミュニケーションを取りつつ、他学年、高校生も含めて色々な人と協力しながら授業をつくることができ、非常に有意義な時間が過ごせました。
◆◆ご協力いただいた企業の方より◆◆
いただいたご感想から一部抜粋・要約したものをご紹介します。
・アイデアが煮詰まった時にお互い模索する感じや、軌道に乗ってコミュニケーションが盛んになる時など仕事も同じだよなと思いながら心の中で応援していました。
・学生さん同士でアイデアを形にしていく姿を間近で見ることができて刺激をもらいました。
・本気でディスカッションできて、とても心地の良い疲労感でした。
昨年度同様、本イベントは企業の皆様や審査員の方々の多大なご協力のもと実現しました。また、教育に関心の高い学生たちが積極的に参加してくれたことを大変嬉しく思います。学生スタッフとして私たちは、昨年度以上のものを創り上げようとイベントの企画から運営までのプロセスに尽力し、それを通じて、実践的な経験と貴重な学びを得ることができました。
イベントに関わっていただいた皆様にとっても、このイベントが特別なものになったと信じています!
結びになりますが、ご協力いただいた株式会社ZOZO、株式会社千葉銀行、株式会社ディレクションズ、LINEヤフー株式会社をはじめとする、本イベントにご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。
記事担当:学生スタッフ 木村優太
5月18日(土)に開催された、162回目を迎える「千葉授業づくり研究会」。
今回のテーマは、「地域課題の解決に向けた取り組み」です。
「地域課題の解決」というワードから、総合的な学習の時間や社会科での学習のイメージを持つ方が多いかもしれません。確かに総合や社会科でよく扱われているテーマではありますが、実は地域課題の解決を「アントレプレナーシップ教育」の視点で学習に取り入れていくことも、近年注目されています。
アントレプレナーシップ教育とは起業家教育とも言われ、起業家に必要とされる精神(チャレンジ精神、創造性、探究心等)や資質・能力(情報収集・分析力、判断力、実行力、リーダーシップ、コミュニケーション力等)の育成を目指すものです。
文部科学省は小・中学校段階からのアントレプレナーシップ教育も必要であるとして、2016年度に「起業体験推進事業」の取組みを開始。子どもたちが地域課題を見出し、そこから解決方法を考え、実行に移すという学習が展開されるようになってきています。
そのような背景から今回の研究会では、各自治体の課題解決について、自治体ごとの目的に合わせてマーケティング活動を支援するアウモ株式会社(以下アウモ)の事業担当者をお招きしました。
アウモは、観光やグルメ、ショッピングに関する最新情報が見つかるおでかけメディア「aumo」をインターネット上で展開し、自治体・地域団体向けに「aumoローカルプラットフォーム」というプロモーション支援サービスも提供しています。「aumoローカルプラットフォーム」は、SNS配信やデジタルアンケートなどといったシステムやデジタルギフトなどを自治体・地域団体のニーズに合わせて包括的に提供するサービスです。
今回は、「aumoローカルプラットフォーム」の取り組みをお伺いしながら、学校が地域課題を解決する学習を行うためのヒントを参加者のみなさまと議論しました。
アウモは、現在では4つのサービスを提供しています。
1つ目は、「aumo」(https://aumo.jp/)というおでかけメディアです。こちらは専属のライターがおり、社内でノウハウを共有しながら記事を作成・更新しているそうです。読者ターゲットを明確に絞り、複数の施設情報が掲載されている「まとめ記事」を作成したり、店舗情報を掲載している「お店・施設情報ページ」では、お店の方自身が情報を更新できるため、情報が常によりよいかたちで利用者に届くよう工夫されています。
2つ目は、「aumoマイビジネス」という店舗向けマーケティングSaaSです。現代では、SNSをはじめとするネットワークを活用した集客は欠かせません。お店を経営する方のSEOやSNS、MEO等の活用を支援すべく、プロモーション記事や広告運用、さらにはお店の予約や口コミ投稿など、店舗集客に必要な機能を一手に担っているサービスです。
3つ目は、「aumoギフトエクスチェンジ」というデジタルギフトを活用した企業支援サービスです。サイトを経由して予約をしたり口コミを投稿したりするとaumoポイントが貯まる仕組みで、そのポイントは、提携店舗で利用できる割引券やギフト券に交換することができます。 また企業はデジタルギフトを活用して販促キャンペーンやアンケートを実施することができるため、目的に応じた活用方法によりサービス改善や認知拡大効果が期待できます。
そして4つ目は今回の主役、「aumoローカルプラットフォーム」です。
こちらは、各自治体や地域団体の課題に合わせて、最適なサービスやデジタルギフトを活用してマーケティングを支援し、地域貢献・地域活性化につなげていくサービスです。各自治体の実態に合わせるため、情報発信のサポートをする場合もあれば、すでに自治体がおこなっている情報発信を地域活性化につなげていくサポートをしたり、地元店舗の応援コンテンツを作成する場合もあるとのこと。
このプラットフォームは、「飲食、宿泊、レジャー、観光など一気通貫で情報提供できるメディアであることが強み」だといいます。地元のスポーツチームと協力した地域活性化の仕組みや、地元の組合や協会と共同のプラットフォームなど、利用者のニーズと自治体の思いを実現させる導入事例を多く紹介いただきました。サポートは、PDCAを回しながら長期的にしていらっしゃるとのこと。その安心感もアウモの強みであることが伝わってきました。
4つの事業の紹介においてアウモの事業担当者の方が繰り返しおっしゃっていたこと、それは、「利用者のみなさまに、情報を届けるための対策にかなり力をいれている」ということです。お話を伺うまでは、記事等のコンテンツ作成にかなり力をいれていらっしゃるのだろうと思っていましたが、コンテンツ作成と同じくらいに、利用者に情報を届けるための対策をされているのだと感じました。
アウモからのお話を受け、学校教育の中で「地域課題の解決」に向けた実践をどのように進めていくのかについて、参加者も交えてディスカッションを行いました。
参加者より、「地域課題の解決を子どもたちと考えていく際、子どもたちが自分たちの地域にマイナスな課題イメージをもってしまうことが多く、良いところに注目させながらポジティブに課題解決をしていくためにできるアイデアを知りたい」という意見があり、議論が盛り上がりました。
それに対し、「子どもならではの気づきを発信することに焦点をもっていくことで、ポジティブに捉えられるのではないか。」というお話しもありました。
問題や課題を解決しようという問いかけではなく、「みんなしか知らない、(地域の)公園や放課後スポット紹介を作ろう」というプラスの問いかけから活動をスタートすることもできるとアドバイスされました。この一言をきっかけに参加者から、「そういった情報を集めたプラットフォームをつくり、その場所に行った人のコメントが溜まっていくシステムを作ることができたら、子どもたちにより利用者目線がつまったメディアをつくる体験をさせることができるのでは」、「それを地域貢献として落とし込んでいける可能性もあるのでは」と意見が出るなどアイデアが広がり、とてもわくわくする時間になりました。
「地域課題の解決」の実践については、既に様々な方法で学習が行われているところではあります。その学習活動について、子ども自身が地域に貢献したと実感できる様々な方法について、活発に意見が交わされ、アイデアを深め合うことができました。
4月20日(土)に開催された、161回目を迎える「千葉授業づくり研究会」。
2024年度幕開けとなる今回のテーマは「生成AIを活用した創造的な授業とは⁉」です。
近年では人工知能(AI)の技術がますます発展し、文章や音楽、動画、絵画、プログラムなど様々なコンテンツをつくり出すことができる生成AIが普及しています。このような状況の中で、学校教育における生成AIの扱い方についても関心が寄せられています。
当日は、長年にわたってAIを開発・研究されている、デル・テクノロジーズ株式会社の増月孝信さまを講師にお招きし、生成AIの歴史や仕組み、今後の社会への影響と可能性についてお話しをいただきました。さらに、弊会の学生インターン生が増月さまと開発・実践した「小学校の図書室にあるおすすめの本を紹介する生成AI」をつくる授業をご紹介しました。
今回、ご講演いただいた増月さまは、デル・テクノロジーズ株式会社の中で、研究室部門と連携してAI技術を長年ご担当されている、まさにAIのスペシャリスト。そんな増月さまから、生成AIにとどまらず、そもそもAIとは何かから、丁寧に解説いただきました。
1956年にアメリカで人工知能(AI)という言葉が誕生したところから始まり、1960年の第1次AIブーム、1980年代の第2次AIブーム、そして今はまさに第3次AIブームの真っ只中にいる私たち。今までのAIブームと、第3次AIブームはと何が違うのか。
それは、機械学習やディープラーニングで学習したデータを生かし、AIが新規コンテンツを作成するところだそうです。さらに、今はテキストのみならず、画像や音声、ビデオなど異なるモーダル(形式)をデータとして学習する技術が発展し「マルチモーダル処理」がトレンドとのこと。世の中にある様々な情報をデータとしてAIに学習させることができるようになり、それをもとにしてまた新たなコンテンツを作成できるようになってきているのだそうです。
そんな話を聞くと、生成AIに世の中にあるデータをできるだけ多く学習させ、どんな疑問にも答えることができる生成AIを作り上げればよいのではないか、などと安直なことを考えたくなります。ただ、その生成AIにデータを学習させる際に大切になってくるのは、生成AIの仕組みに合わせたデータを用意することと増月さんは指摘します。
生成AIは、学習するデータがとても重要です。データの量はもちろん、質も重要です。バイアスのかかったデータを学習させてしまえば、当然、正しいデータを生成することはできません。つまり、どんなデータを学習させるのかを人間が判断していく必要があるのです。そして、専門的な内容になればなるほど、どんなデータを学習させるかの判断も高度化していく上に、自ずとデータ量も膨大になります。
さらに、そのデータを学習させるのに、多くのコンピュータと電力を消費します。どれくらいの電気を消費するか想像がつくでしょうか。もちろん、生成AIの種類によって違いはありますが、LLM(Large Language Model)にデータを学習させた場合、500Wドライヤー1024個分に相当するそうです。生成AIの活用が進むということは、それだけ消費電力の増加につながり、環境問題とも関わってくるのです。
「用途にあわせたモデルを選択し、自分たちにあった独自モデルを使用することが持続可能な利用においても大事」と語る増月さん。そして、環境への配慮以外にも、技術が先行して進化してしまっていることを自覚し、セキュリティ、プライバシー、ガバナンスについても一人一人が当事者意識を持って考えることが重要だとお話ししてくださいました。
また、弊会学生インターン生の岡野健人さんと増月さまが開発・実践した授業について紹介しました。生成AIを使って、検索をしたり、文章を作成したりなど、生成AIを体験する授業の実践はだんだん増えてきています。そんな中、岡野さんは、「AIを使う側だけでなく、作る側の視点を知ってほしい」という思いから、子供たちがオリジナルの生成AIチャットボットにデータを学ばせる授業をつくりました。
紹介では、AIリテラシーを身につけさせるための講義の時間、作る側に立つためのAIの仕組みを理解する時間、チャットボットを作成試運転し修正するトライ&エラーの活動の時間など、岡野さんの思いのつまった実践の様子を語ってくれました。
今後さらに、授業に磨きをかけていくとのことだったので、今後の展開を楽しみに待ちたいと思います!
千葉授業づくり研究会の醍醐味とも言える、ディスカッション。
参加者の関心事の一つは、生成AIをどのように教育現場で利用していくのかということ。
規約の問題で、小学校で使用できる生成AIは今のところほとんどないのが現状ですが、これからを生きていく子どもたちは、あたり前に生成AIを使う場面があることが想定され、生成AIを使う力は今後必ず必要になる。その狭間に悩む、小中学校で実際に教壇に立っている先生方のリアルな悩みを共有しながら、何を学ばせていくべきか、また生成AIを使うとどんな学びを提供できるのかについて、熱く議論しました。
特に、生成AIを使用して文書作成をしてしまうと思考力が身につかないのではと危惧してしまうという話題では、会場でも意見が分かれました。生成AIに作成させた文章をどう捉えるかが大事で、完全な文章だと思い込んでしまうのか、文章のベースを作成し、そこから自分で修正を加える視点をもつことができるのかが、思考力の分かれ道ではというお話もありました。
社内で生成AIを使用しているデル・テクノロジーズ株式会社でも、生成AIリテラシーを身につけるための社員教育を徹底しているそうで、生成AIを活用していく社会を生きるであろう子どもたちに、どういう段階を経て生成AIを使えるようになってほしいかを考えていくことが求められているように感じました。
結びになりますが、ご講演いただきました増月さま、学生インターン生の岡野さん、ご参加いただきました皆さま、誠にありがとうございました。
学校と企業とをつなげることを目指している私たちACE(企業教育研究会・略称)には、教員を目指す学生インターンが多く所属しています。そうした学生インターンと共に社会を学ぶ機会として、ACEでは定期的に企業訪問を企画しています。
学生の春休みがスタートした2月9日は、情報社会を支え、技術革新をリードするインテル株式会社(以下Intel)さまへ訪問してきました。
外資系企業!ってどんな感じなんだろう⁉と緊張する学生もいたようですが、今回、穏やかで優しい社員の皆様にいい意味でギャップを感じたようです。いよいよドラえもん時代到来か⁈と見紛う最新の技術や、学校教育に関わる新技術など、たくさんの驚きや発見を得ることができました。
このblog記事では、そんな企業訪問の様子についてお届けします。
千葉を拠点とする私たちからすると、ちょっぴり緊張を伴う東京丸の内。
そんな東京ど真ん中にあるIntelさまへ、職員と学生含め十数名もの大所帯で訪問させていただきました。
まずはIntel社員の遠藤さんより、会社概要やご自身の仕事内容についてお話しいただきました。世界53カ国11万人もの人が働く大企業のIntelですが、社員は技術系の職種の方が約9割とのこと。とは言え、日本オフィスに関しては営業職種の方が多く所属しているそう。
仕事紹介では、集まってくださった社員の方々が関わる仕事を中心に、intel製品を商品に組み込んでいただくためPCメーカーさん等に営業する仕事、マーケティングや市場を盛り上げる仕事、そして、遠藤さんが手掛ける教育事業などを紹介いただきました。
次に、学生インターンの竹澤さんからACEの紹介を。
「企業と連携した授業を受けたことはありますか?」と問いかけるなど、会場のみんなを巻き込みながら分かりやすく話を進め、緊張どころか余裕すら感じさせる素晴らしいプレゼンを披露。
ACEの授業の特徴や取り組みに込めた思い、最近力を入れている学生主体の授業開発など、ACEをご存じないIntel社員の方にも私たちの活動を知ってもらう良い機会になりました。
さまざまなデモンストレーションが可能というショールームCoE(センターオブエクセレンス)を見学させていただきました。
ここでは、タッチパネル式の大きな電子黒板(憧れのため息が出る私たちでしたが、もう展示して既に3年とか。。)、5G対応の汎用サーバー(汎用なので安価で構成できるとのこと)、Wi-Fi7(6じゃなくて7!?)、Thunderboltケーブル等ご紹介いただきました。Thunderboltケーブルを使用すれば、一般家庭のケーブルはだいたい1Gの速度であるものが40Gの速度で通信でき、ノートPCでもリッチな3D映像を楽しめるそうです。
また、ショールーム担当の西さんによるデモンストレーションを交え、ノイズキャンセル技術もみせていただきました。その精度は本当に見事で、ディズニーランドパレードの鑑賞をしながらWEB会議が夢ではないかもしれないという、未来の可能性を感じることができ、とてもわくわくしました。
最後に3つのグループに分かれ、社員の皆さんと懇談の時間を作っていただきました。社員の皆さんの声を聴くことは、学生たちにとってとても嬉しく有意義な時間になった様子でした。
(アンケートより 一部抜粋してご紹介します)
この度の企業訪問につきましては、お忙しい中、Intelの今 井さん、遠藤さん、木戸口さん、久保田さん、西さんに多大なるご協力をいただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。大変貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。
2023年12月18日(月)、千葉県立富里特別支援学校・高等部2年生の一部の生徒の皆さんへ、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下SIE)と企業教育研究会(以下ACE)とでお届けしている「ゲームでつながる授業と仕事」について、特別支援学校向けアレンジ版の出張授業を実施しました。
通常は小学校中学年~中学生向けに実施している授業プログラムですが、今回は、「ゲームとの付き合い方を考えよう」「ゲーム会社で働く人たち」の2つの授業プログラムから、働く上で具体的に気をつけるとよい点や、ゲームについてインターネットを介して遊ぶ時の注意点(ネットリテラシー)によりフォーカスし、既存プログラムをアレンジしています。
具体的なアレンジについては、特別支援学校(以下学校)の先生に事前に既存プログラムを確認いただき、その中で、生徒の未来を見据え特に伝えたいポイントを絞っていただきました。その視点を大切にしながら、学校の先生、SIEご担当者さま、ACEの3者で連携し、生徒の特性に合わせた指導案にと検討を重ねました。
『社会に開かれた教育課程』が推進され、現在は多様な団体が出張授業を提供するようになりました。しかし、特別支援学校も対象に含めて展開している授業は少なく、特別支援学校の子どもたちにとっての出張授業は、多様なプログラムから選択できる状況ではないようです。 今回の授業は手探りの面もありましたが、私たちが大切にしているワクワクした学びをより多様な子どもたちに届けようと、様々な工夫を凝らしました。このレポート記事では、その授業の様子をお届けします。
■授業時間 100分(50分×2コマ)
■対象 特別支援学校高等部2年生
■関連教科 職業、道徳科
■学習目標
■生徒の活動
当日リラックスして授業を受けてもらうため、生徒の皆さんとは、事前に学校を訪問し顔合わせをしていました。当日は改めて緊張をほぐしながら授業スタート。「ゲーム好きですかー?」と聞くと、たくさんの生徒の手が挙がりました。
まずは働く上で大切なことについて紹介。内容は、報連相、身だしなみ、言葉づかいの大切さに絞りシンプルに。また、プログラミングで数学を使うことなど、日々の学校の勉強は、仕事で使う場面がたくさんあることにも触れました。
これは、生徒の職業体験前に先生が何度も伝えていること。先生が言っていたことと、企業の方が大切に思っていることは同じだ!と、生徒の中で内容が繋がりますようにと期待を込めて。
授業は、文字を減らし漢字は全てルビ打ちしたスライドをメインで進めつつ、アレンジ版ワークシートを作成。拡大版を黒板にも用意しました。
通常はSIEの講師とACEで進める授業ですが、この日は学校の牛島先生にも授業者の一人として参加いただき、ワークシートの答え合わせなど、適宜フォローしていただきました。牛島先生のリードもあり、生徒の皆さんは、リラックスしつつも積極的に授業に参加している様子でした。
次はゲームについて映像視聴と、PlayStation®4用ソフトウェア『Newみんなのゴルフ』の紹介とPlayStation®5のプレイタイム。代表の生徒に試しにプレイしてもらい、その画面をみんなで見守りながら、楽しくゲーム体験とゲーム環境の進化を体験しました。
そして、SIEの内山さんより、最近のゲーム機はインターネットにつながることで、できることが増えていることを紹介。
本授業のアレンジとして、実際にオンラインで繋いだPCを介し、先生がチャットで会話する様子も生徒に見てもらいました。
インターネットにつながったゲーム機のイメージを掴んだところで、「オンラインゲームで気をつけること」について学びます。
アニメ映像を通して個人情報が洩れて高額請求を受けるというトラブル事例を知ってもらい、その解決策や、自分だったら何に気をつけるのかを考えてもらいました。
教材のアニメは、特別支援学校の生徒の皆さんにより分かりやすく伝えるため、所々ビデオをとめながらペープサートを用い、トラブルの内容を丁寧に説明しました。
トラブル事例を踏まえ、解決策を考えるワークシートに一生懸命に取り組んでくれた生徒の皆さん。
「キャラクターの見た目だけで判断しない。」「パスワードを教えない。」「算数という言葉から小学生とバレてしまった。小学生だから騙せると思われた。」などの意見を発表しました。
発表に対してSIEの内山さんより、「(なりすました)キャラクターは素敵な女性を演じていたけれど、裏で操作している人間がどうかは誰もわからない、この人は大丈夫?と考えることが大切。また、パスワードを教えることは家のカギを渡してしまうようなことと同じくらい危険なこと。」と、フィードバックを受けました。
他には、「(そもそも)チャットをやらない。」「相手のことをなるべく聞き出す。」「パスワードを教えるふりをする。」などの意見も生徒から挙がりました。
牛島先生は、「チャットをしないじゃなく、する上で気をつけることを考える授業なんだけど…まあ、それもあるよね!」「自分のことは教えないけど、相手のことをなるべく聞き出すのね(笑)」などと、意見を肯定し明るい雰囲気を保ちつつ、冴えたツッコミを披露し、笑いの絶えない発表時間となりました。
最後、なるほど、なりすましとはこういうことかと具体的に体感してもらうため、授業途中で牛島先生とチャットしたかわいいイメージのお相手が、なんと男性の古谷さんであったとネタ晴らし。古谷さんの登場に教室では、「えーーっ‼」「わー‼騙された‼」と驚くやら笑ってしまうやら、最後まで楽しい雰囲気で授業を締めくくりました。
聞くと、授業を受けた生徒の内、毎日ゲームをしている人が半数以上!オンラインで知り合いと一緒にゲームをしたり、スマートフォンの使用では、SNS発信をしたりしている生徒もいる様子。
実際にオンラインでゲームをしている生徒もいる中で、直接会っていないのであれば、その相手が本当にイメージ通りの人なのかはわからない、個人情報を渡してしまうと危ないという視点に気づく機会になりました。
本校は、知的障害を主な対象とする普通科の特別支援学校です。本校卒業後すぐ、または数年後に障害者雇用での企業就労を目指す生徒が中心に所属する学習グループを作り、特別支援学校独自の教科「職業」の授業として展開しました。
障害の有無など関係なく、高校生活を満喫する生徒たちは、SNSでのチャットや動画投稿などを普段から楽しみ、また思わぬトラブルに巻き込まれる可能性も抱えています。今回は、彼らにとって身近なテレビゲームの通信機能の利便性と気をつけるべき点を切り口に、その他SNSでのトラブルや対応方法を自ら考えるきっかけとなることを願って、準備をしてきました。
障害特性上、目で見て分かりやすい教材や体験的な活動を取り入れることで生徒の学習の理解度が大幅に増すことから、SIEの内山様やACEの篠崎様、古谷様には、既存のプログラムをどうアレンジするか、多くのアイディアをいただきました。
一斉指導であっても生徒一人ひとりに合わせた支援方法を用意する特別支援学校の授業の特性上、地域人材を活用した「社会に開かれた教育課程」の実現には、まだ多くの課題があると考えます。それでも、今回の取り組みは、「企業と連携した特別支援教育」を進めていくうえで多くの示唆を得ることができました。本校生徒と我々教員にこのようなチャンスをいただき、感謝しています。
今回は弊社の授業にお申込みいただきありがとうございました。弊社は2006年からCSRの一環として教育貢献活動を進めています。ゲームを安心・安全に遊んでいただくために大事なことや気を付けることなどを、PlayStation®の環境や事例とともにお伝えしていますが、特別支援学校の皆さまに授業をお届けするのは今回が初めての試みでした。
はじめは「喜んでいただけるだろうか」や、「私の経験不足から、ご迷惑をお掛けしてしまうようなことがあったらどうしよう」と心配でしたが、牛島先生やACEの篠崎さんと古谷さん、そして何より生徒の皆さまに支えていただき、楽しく授業を進めさせていただく事ができました。
生徒の皆さまには今回の授業でお伝えした内容を日々の生活に活かし、私達に見せてくれた満点の笑顔でこれからも素晴らしい学生生活を送っていただきたいと思います。
個人的にも貴重な体験をさせていただき、多くのことを学ばせていただきました。今回は本当にありがとうございました。
ACEの授業は、一般的に企業のもつリソースと学習指導要領の内容を兼ね合わせながらつくりあげていきます。そのため、学年の発達段階を考えながら授業をつくることになります。
今回の授業は、小学校高学年から中学生に対して実施している授業内容をもとに特別支援学校の高等部の生徒向けにアレンジしたものです。特別支援学校の生徒の場合は各々理解力に幅があります。したがって、授業内容のアレンジについてはどれくらいの理解力があるかを把握した上で、教材の難易度を調整しなければならないというところが一番のポイントだったと思います。そのため、特別支援学校の担任の先生との難易度のすり合わせが必要でした。これにより、ペープサートによる内容把握、なりすましの実際の体験等の工夫を考えて実践することにしました。このあたりがこれまでの出張授業とは大きく異なる点です。
今回のアレンジした授業がうまくいったのも、ACE、SIE、特別支援学校の担任の先生による生徒の実態に合わせた難易度のすり合わせとそれに応じた授業の工夫が適切であったからだと考えます。
2023年11月7日(火)、千葉県のある公立中学校2年の生徒の皆さんへ、総合コンサルティング企業のアクセンチュア株式会社(以下アクセンチュア)と企業教育研究会とでお届けしている「ゆら社長のジレンマ ー考え、議論する道徳・キャリア教育ー」の出張授業を実施しました。
本プログラムは現実に起こり得る正解がない問いに対し、生徒のみなさんに多様な視点・価値観にて議論を重ねてもらい、意見を集約し、考えを導き、他人に対して説明することを体験してもらうアクティブラーニングのプログラムです。生徒のみなさんは、未来の世界で観光業を営む会社の社員に任命されるという世界観の中、経営課題に対して真剣に考え議論します。
授業は「課題1:ロボット雇用問題」、「課題2:街並み問題」、「課題3:ワークライフバランス」の3つのテーマがあり、この日は「課題1:ロボット雇用問題」についてのプログラムを実施しました。
本blog記事では、授業の様子を紹介します。
早速授業が開始されました。
本授業は、2150年、未来の中学生が部活として経営する企業において、生徒の皆さん自身が一社員となり課題に向き合うという想定で進むプログラムです。プログラムには、設定上の世界観に違和感なく溶け込み、その世界観の中で真剣に学習に取り組めるよう、たくさんの仕掛けを施しています。
生徒の皆さんには、音声付きアニメーションを通して、経営判断に挑戦してもらうことがミッションとして提示されました。
ミッションを理解した後、生徒たちは6つの部署に分かれ、資料を受け取り読み込みます。
音声付きアニメーションとカラー刷りのリアルな資料で、生徒も授業の世界観に入り込み、意欲が掻き立てられている様子です。
これは、正解を導く授業ではありません。
アクセンチュアの社員の方からは、生徒のミッションには決まった正解はないため、課題解決にはみんなの意見をまとめていくことが大切だとアドバイスがありました。
授業中に全ての情報をじっくり読む時間はありませんが、大量のデータから要点を把握し判断していくことも経験の一つ。
実際の会社と同じように、各部署で資料内容は違い、持っている情報は断片的になります。
自分たちの持ち得る情報から、迷いつつも判断をしていきます。
『議論を重ねる』、『意見を集約する』、『他人に対して説明する』など、アクティブラーニングがベースの本プログラム。
部署内での意見集約、部署を超えた意見交換、経営層への提案を具体的に体験することでこれらを経験的に学びます。
生徒の皆さんは、とまどいもあったかもしれませんが、課題に対し意欲的に取り組んでいました。
① 1回目の議論(部署内での話し合い) ② メンバー(班員)をミックスし部署を超えた意見交換 ③ 2回目の議論(部署内での話し合い) ④ 各部署より経営企画部に最終的な部署としての意見を発表 ⑤ 経営企画部が各部署の意見を踏まえ最終的な経営判断を決定 |
今回のテーマでは、社員をリストラしロボットを導入するか否かについて判断しました。
アクセンチュアの社員の方からは、どの選択肢もメリットとデメリットがあるのでどちらを選ぶにしてもその判断を論理的に考えること。また、個人の考えではなく、その部署のメンバーとして会社の中でどういう役割をもっているのか資料を確認し、それを意識してくださいと話がありました。
部署ごとの判断における発表では、ロボット導入派からは、機械導入により人間ではできないレベルでミスなく効率化できるメリットが挙げられました。リストラ反対派からは、機械に不具合が起きた場合の高額な修理代を資料から読み取り指摘したり、お客様と接する旅行事業部は臨機応変な対応は人間にしかできないと意見したりしていました。また、地域住民がロボットに反対している雰囲気を慮った意見など、資料から想像を膨らませ判断している様子が印象的でした。
この日の授業では、経営企画部は各部署の意見を踏まえ、地域住民にも配慮し『ロボットは導入せず社員のリストラしない』と最終的に判断をしました。
その後、クラス全体で経営判断に対する社員満足度(生徒の納得感)も確認し、経営には社員の一致団結が決断の後の成功を左右すると説明を受けました。
また、選択肢のリスクの大きさや成功の確率に関わらず、どんな選択肢も決断後の行動が大切であり、成功にも失敗にもなり得ることも学びました。
【授業をご担当いただいた教諭より】 今回の授業では、生徒にとってとても貴重な体験だったと思います。 生徒は実際に、1つの会社の部署で働いている感覚でそれぞれの立場、役割で議論を重ねていました。また、生徒が多様な視点を持てるような質問も講師の方々より随所にあり、普段の学校生活では経験できないことが多かったのも非常にありがたかったです。きっと生徒のこれからの生活に役立つと思います。今回忙しい中授業をしてくださった3名の講師の方々には感謝申し上げます。ありがとうございました。 |
授業は、アニメーション教材、ゲーミフィケーションの手法、実際の会社で使用されるようなリアルな資料を活用するなど、生徒のみなさんが真剣な気持ちで課題に向き合えるよう、自然と没入できるような工夫が随所に施されています。
科目の授業や試験に向けた日々の学びも大切ですが、今日の授業を受け、生徒の皆さんには、正解のない問いに皆で向かうという新鮮な体験をしていただけたのではないでしょうか。
『ゆら社長のジレンマ ー考え、議論する道徳・キャリア教育ー』の授業は引き続きホームページにて募集を受付しています。
12月16日(土)SESSION7 生成AIの活用が開催されました。今回も、学校の先生や大学生、企業にご勤務の方、高校生インターンの方など様々な方にご参加いただきました。かつてACEに関わってくださった方や藤川研究室の卒業生の方にも参加いただき、約90人の方が集う大盛況の最終回となりました。
今回扱うのは、生成AI。現在、「ChatGPT」「DALL-E」などの生成AIが連日話題になり、教育現場での利用も検討されています。
生成AIは便利ですが、安全に使うためには注意も必要です。現状では文科省からのガイドラインはあるものの、現場での適切な活用方法についてはまだハッキリと答えが出ていない状態です。
今回は、「生成AIの活用」をテーマに、教育現場でのAI活用や活用事例について、産官学それぞれのスペシャリストの登壇者にプレゼンしていただきました。
続いて行われたパネルディスカッションでも、様々な立場の方からたくさんの質問をいただきました。これからさらなる議論が期待される生成AIについて、活発に意見が交わされる時間となりました。
以下、当日の様子を詳しくレポートしていきます。
千葉大の研究室を母体にACEを作ったのが2003年です。実は、本日登壇する静岡大学の塩田先生は、NPO法人設立のきっかけを作った人でもあります。当時千葉大学の3年生だった彼は企業と連携する授業作りに興味を持ち、「自動車会社と連携して環境教育の授業を作りたい」と話していました。その際、NPO法人を作って活動しようという話になり、当時在籍していた長期研修の先生方などと一緒にこの法人を立ち上げました。
それから、20年経ちました。今年は20周年企画として、4月から「新しくて、これからやっていかなくてはならないテーマ」を選び、そのテーマについて最先端で関わっていらっしゃる産官学それぞれのお立場の方をお招きし、研究会を行っています。12月を迎えて、本日が最終回となります。
今回のテーマは「生成AIの活用」です。約1年前にChatGPTがリリースされましたが、革命的な技術だと考えています。
2023年4月以降、文部科学省で生成AI活用のガイドラインを作ろうという動きがあり、7月に暫定的なガイドラインが公表されました。
私たちも、教育現場での生成AIの活用について短期間に議論して取り組んできました。しかし、まだ誰も答えが出ていないようなテーマです。そして、これからの教育に関わってくる最終回にふさわしい話題を扱えることをうれしく感じています。
企業におけるAI活用事例を紹介
生成AIとは、大量のデータを学習した学習モデルを用いて画像や文章などのコンテンツを生成できる人工知能のことを指します。
企業における、従来型のAI活用事例を3つ紹介します。
1つ目は、コールセンターにおけるデータ分析です。これは、IBMのテキストマイニングソフトウェアを用いて、コールセンターへの問い合わせ内容を分析するシステムです。あるお客様では年間70万件以上の問い合わせを分析しています。
2005年頃から普及し、今では多くの企業が利用しています。
2つ目は、生命保険の「診断書自動査定」です。例えば、手術や怪我の際に診断書を病院でもらいますよね。以前は、これを保険会社の人がパソコンや紙の記載を見て査定していたのですが、見落としが多くて社会問題にもなりました。
そこで、保険金の支払い査定業務をAIが担うようになりました。ポイントは、AIで判定が難しいところは、人間に回す処理がされることです。AIが「AIには判定ができない」という判断をするのです。実際の業務では「誤った判断」がされることが最も問題になるため、誤った判断をする前に「わからない」と判断することが求められるためです。
3つ目は、石川県にある私立大学の学生支援システムです。学生の成績や出席状況を活用した修学支援システムです。AIを使って学生をサポートする試みがされています。
企業での生成AIを活用したシステムはまだ実験段階と言えます。企業内の独自データを生成AIに与えるには、その前にデータの整備が必要になります。企業がAIを業務で本格活用する流れは、2024年以降本格的に増えるでしょう。
AIは人間の知性を補強するもの
学校教育での生成AI活用では、「AIの目的は人間の知性の補強である」と考えることが大切です。
また、学生が情報を利用する際には、生成AIの回答を鵜呑みにせず、学生が自分で考える材料にすると良いです。
さらに、AIの基本的な仕組みを知っておくことも大事です。仕組みを知れば怖くはないですし、自分で考えるための土台にもできると思います。
最後に、教育現場での生成AI活用のアイディアとしては、「読書感想文や英語学習での、学生向け言語学習の支援」「教員の支援」「生成AIチャットによる保護者対応」などがあると考えます。
「GIGAスクール」やICT活用の状況と課題
中央教育審議会「令和」答申と情報活用能力の育成では、これからの令和の学びに必要なものを示しています。1つは「GIGAスクール」です。1人1台端末になると、個別最適な学びや協働的な学びを実現できます。これにより、それぞれの学習課題に関心のある教材を使ったり、ふさわしい学びを選択できます。
生成AIもこのような学びに資すると考えています。
また、GIGAスクールによる個別最適な学びは、学びの保障にもつながります。例えば、インフルエンザで学校に来られない子がオンラインで学ぶ、外国籍の子にICT機器を用いて学びを提供できるなどが可能な時代になっています。
さらに、学習指導要領では、情報活用能力に触れています。これは、情報端末を使うだけではなく、新しい情報技術を日常生活や学校教育の中で積極的に取り入れていく概念です。
しかし、日本はOECDのPISAの中でも国際的にはICTの利用率は低い状況です。また、全国学力調査でも1人1台端末の活用に地域差があります。
また、学校の働き方改革でもICT活用の推進が進められていますが、課題はあります。例えば、職員会議のペーパーレス化は全体の7割くらいですし、欠席・遅刻連絡にアンケートフォームを活用せずに従来の電話連絡を使う学校がまだ半数くらいある状況です。
生成AI利用に関する暫定的なガイドラインの公表
文部科学省では生成AIの暫定的なガイドラインを公表しました。生成AIには様々な利便性がある反面、個人情報の流出や偽情報など懸念点もあります。メリット・デメリットを判断したうえで教育現場でも活用していくのが良いと考えています。
例えば、生成AIにすべてを頼ってしまい、考えなくなるような使い方は適切ではないと考えます。長期休暇の課題を全て生成AIに頼って、コピペしてしまう使い方は不適切ですよね。
逆に、グループ学習などでたたき台としてヒントをもらう使い方や外国籍の子の学習につかう場合は有効に活用できるのではないでしょうか。
このような中で生成AIを活用するにあたり、子どもたちにどう情報活用能力を身に着けさせるかを考えていくことが大切です。
文部科学省の取り組み
最後に、文部科学省の取り組みを紹介していきます。
まず、「リーディングDXスクール事業・⽣成AIパイロット校」を37自治体52校で内定しています。ガイドラインに則って、教育利用や校務利用で実証し、成果報告をしてもらう取り組みです。
また、「学校DX戦略アドバイザー事業ポータルサイト」では、生成AIの利用に関するオンライン研修会の様子を公開しています。また、「情報モラルポータルサイト」では、情報モラルの観点からの教員向け研修動画を公開しています。ぜひ、ご覧いただければと思います。
生成AIの活用には、「課題設定」の力の育成が必要
基本となるのは、情報活用能力を育てる必要があると思います。授業の実践でもこれから事例が増えていくのではないでしょうか。特に、探求的な学びと生成AIの活用は相性が良いと考えます。
探求プロセスのうち「課題設定」「情報収集」「整理・分析」「表現」という部分で生成AIが役立つと考えています。この4つのプロセスのうち、AIである程度代替できるのは、後半の3つ「情報収集」「整理・分析」「表現」だと思います。
そうなると、探求プロセスの中で特に大切なのは「課題設定」なのではないでしょうか。子どもたちの問いをどのように作るのか、という部分が人間に残された役割になります。
このような「『課題設定』をする力をどのように伸ばしていくか」という部分に、私たちは興味があるのではないでしょうか。そして、これから研究が進んでいくと思います。
生成AIのリスクとどう付き合うか
・情報の不正確さや、著作権の侵害など、「内容の問題」
・「情報漏洩の問題」
・考えずにすぐに質問してしまう「学び方の問題」
・ずっとAIに話しかけてしまう「使いすぎの問題」
生成AIの問題では、よくこのような問題が挙げられます。しかし、よく考えてみるとこれらは生成AIに限った話ではなく、これまでのネットの付き合い方でも同じ問題が出てきましたよね。「生成AIだからやらなくてはいけない」というわけではなく、普段から情報活用能力や情報モラルを育てることが大切だと思います。
では、今話題の生成AIにだけ対応できればいいのかということも考えておきたいです。
①ルールが整備されてからルールを守るための力
②ルールが整備される前から上手につきあう力
この2つの力があるとして、今後も生成AIに続く新技術が出る可能性を踏まえると、②が大事だと考えています。
そのため、今後は「将来の新たな機器やサービス、危険の出現に適切に付き合う力」を育てることが大切になるのだと思います。まとめると、生成AIだけではなく、新しい情報技術の付き合い方を子どもたちと考えていくことが必要なのではないでしょうか。
プレゼンの後には、参加者による挙手制でパネルディスカッションを行いました。また、オンライン上で質問ができるサービス「Slido」を使用して参加者の感想や意見にも触れました。パネルディスカッションの様子を一部抜粋要約してご紹介します。(敬称略)
Q.情報モラル教育でゲスト講師を招くと「インターネットって危ない」というメッセージが多いです。しかし、最近ではデジタル・シティズンシップという言葉もありますし、どのように捉えていくと良いでしょうか。
(酒井)情報モラル教育がリスクを強調しすぎて、積極的にICTを活用する姿勢が十分に指導できていないのではと考えています。先端的な技術の活用を前提としたうえで、必要な配慮をしつつ、積極的に技術を使う姿勢が大事だと思います。子どもたちが生成AIをどのように使いこなすかという考え方が大切です。
(塩田)情報モラルは、あくまでも情報活用能力の中の1つと考えています。情報モラル単体でリスク教育を行うのではなく、活用の部分を教えることがメインだと捉えています。ただ、活用を教える中で、情報モラルとしてリスクの教育がある位置付けだと考えています。
(藤川)「デジタル・シティズンシップ」と言う時には、シティズンシップ教育がベースになるので、単に情報と関わるだけではなく、情報のある社会とどう関わるかが問題になると考えます。
Q.将来、AIが仕事を奪うのではないでしょうか。AIに負けないような人を育てるにはどうしたら良いでしょうか。みなさんの考えを知りたいです。
(大矢)今までも新しい技術の登場に伴って、変化する仕事の例はたくさんありました。まずは、現状をかみ砕いて子どもたちに教えるのも1つのやり方かなと思います。そして、将来の展望について、子どもたちの嗅覚を鍛えていくと良いと考えます。
(塩田)AIに負ける・負けないではなく、AIとどのように共生するかが大事だと考えます。今、研究室で余暇の研究をしているのですが、仕事だけではなく「AIを使ってどのように人生を豊かにするか」の観点も大切だと思います。
Q.民間企業の立場としては、教育現場に対して何ができるでしょうか
(酒井)学校現場では、特にICTの活用においては、民間サービスを使わなくてはならない現状があります。民間会社が学校向けのサービスの開発を通して、DXの世界を先導していくことができると考えます。
今回のイベントでは、千葉県教育委員会との連携で学校教育に関心のある千葉県内の高校生約15名がインターンとして参加しました。高校生インターンは、大学生スタッフやACE職員とともに当日のイベントの設営や運営を担当しました。適度な緊張感の中、和気あいあいと作業に臨んでいる様子でした。
参加した高校生インターンの声を一部紹介します。
■今回も様々な高校生と出会えて楽しかったです。教員になるにあたり、大学生になったらAIを沢山活用して経験を積み、教えられるようになりたいです。
■AIや人工知能は、まさに私たち高校生が学ばされているものであり、それを子供たちが学ぶ必要だと判断している主体である文部科学省や大学の方の立場の話を聞けることはとても有意義でした。
■生成AIがテーマの教育について考えるというトレンド且つ興味深いイベントでとても有意義だった。また、千葉大学の教授や学生と関わることで、具体的な研究内容や大学生活について知ることができ、より千葉大学に興味が湧いた
■お話を聞いて、改めて教育について興味を持てたし、夢に1歩近付けそうな気がした。
【ライター:藤川研究室2018年修了生 遠藤茜】
2023年11月7日(火)、千葉県のある公立中学校2年の生徒の皆さんへ、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下SME)と企業教育研究会とでお届けしている「音楽業界の仕事について」の出張授業を実施しました。
この授業は、エンタテインメント分野を多角的に手掛けるSME社員と共にお届けするプログラムです。あるアーティストの楽曲がみなさんの元へ届くまでを、SMEやグループ会社の社員として関わる方のインタビュー映像を交え、各職種のイメージが持てるよう紹介をしています。
子どもたちにとって身近で関心も高い音楽をテーマに、キャリア教育の一貫で活用いただける授業プログラムです。
本blog記事では、授業の様子を紹介します。
※2023年度分の授業受付は終了しました。
総合的な学習の時間を用いたキャリア教育の一環でお招きいただいたこの日は、『働くこと2~色々な職業を知ろう~』という学校企画の一環で実施され、本プログラムを希望した生徒の方々が教室に集まってくれました。
まずは会社説明。ソニーミュージックグループは音楽ビジネスが中心でありつつも、アニメ制作やライブホールを運営する会社があるなど、20社のグループ会社が集まって成り立っていると説明がありました。華やかでインパクトある流石の映像に、みなすっかり惹き込まれてしまいます。
そして、今や配信が中心でスマホ等を用い誰もが簡単に即時に楽しめる音楽ですが、音楽業界のスタート時に扱っていたというレコードに焦点を当て、音楽が広く親しまれていく歴史を振り返ります。
レコードの発明は画期的な出来事で、かつてはコンサートなどリアルで聞くしかなかった音楽が録音可能になり、実際の場所に行かなくても楽しめるようになりました。その後、記録方法はどんどん進化しCDなども出現しましたが、現在一般的になった配信は2000年前後にスタート。これにより、物理的な物を所有しなくてもデータで音楽を楽しめるようになり、定額制ストリーミングなど、音楽の配信形態が変化したと説明を受けました。
授業では、実際にレコードプレーヤーでレコードを聴きながら、振動が音に変換されていることを説明。また、全員に本物のレコードを直接見て触っていただきました。
レコードの説明や音楽配信の振り返りを通して、音楽業界の主たる仕事は音楽を記録し多くの人へ伝えることと、時代とともに音楽の聴き方は変化しても仕事の本質は変わらないことを学びました。
授業後半は、音楽業界の具体的な仕事内容について知る時間です。
ソニーミュージックに所属するアーティストの実際のレコーディングやライブの映像を通して、全体を統括する総監督的存在のアーティスト&レパートリー(A&R)、アーティストに寄り添い全面的にサポートするマネージャー、レコーディングに具体的指示を出すディレクター、マイクや録音環境の調整などをするレコーディングエンジニア、MVに関わる照明、スタイリストやヘアメイクなど多くの撮影スタッフ、これらのサポートにより、アーティストは表現に集中できることが紹介されました。
また、楽曲やMVが完成した後に世の中に広めていくプロモーター、効果的な販売方法を検討する営業販売推進、一つひとつの職業について、活躍している方の仕事中の様子やインタビュー映像と共に、各職業についての具体的なイメージを得たり、その仕事ならではのやりがいについて学びました。
最後は、授業に来てくださったSME・鳥本さんに生徒から質問タイム。
鳥本さんからは、ソニーミュージックはエンタテインメントを届けている会社なので、何でも楽しんでやる気持ちを持っているスタッフが多いというお話がありました。
【授業をご担当いただいた教諭より】 キャリア教育の中で生徒たちが自らの体験を通して、働くことを理解し、意欲を高めていくことは大切だと思っています。今回は音楽という生徒の関心の高い職種から、誰しもが見聞きしたことのある企業様に来ていただき、生徒たちは授業へ積極的に参加していました。また講話いただいた内容も仕事の表面的な部分だけでなく、どのような人たちがつながり合って仕事をし、社会をつくり上げているのか分かるものになっており、労働に対するイメージも楽しく充実したものになったと思います。様々な工夫、ご配慮をいただきながら価値の高い授業をありがとうございました。 【SMEご担当 鳥本さまより】 日常的に音楽を聴いている学生さんは多いと思いますが、その裏側のお仕事を知ってもらう機会はあまりないと思うので、今回このような機会をいただけて大変ありがたいです。今回の授業をきっかけに、音楽業界の仕事に興味を持ったり、より音楽を好きになってくれると嬉しいです。 |
流行りの音楽などに目覚めるお年頃でもある中学生。華やかな音楽業界に憧れを抱く生徒さんもいたのではと想像しています。
生徒の皆さんにとって関心の高い業界を通して、なかなか知ることのない具体的な仕事の流れや内容を知り、音楽業界やそれに限らずとも仕事そのもののイメージが膨らむきっかけになれば嬉しく思います。
2023年11月7日(火)、千葉県のある公立中学校2年の生徒の皆さんへ、「体感して考えよう!環境とエネルギー」の出張授業が実施されました。
本プログラムは、シナネンホールディングスが実施するプログラムです。授業プログラム作成時には企業教育研究会もアドバイザーとして参加させていただき、現在は事務局として募集窓口を担当しています。
今回は、シナネンホールディングスの社員の方々が進行する授業を取材してきましたので、その様子をお届けします!
「体感して考えよう!環境とエネルギー」の授業。
まずは、授業者のシナネンホールディングス広報チームの小栗さんより、シナネンホールディングスが扱うエネルギー(石油、太陽光発電、LPガスなど)や、エネルギーとは何か、地球温暖化とは何か、脱炭素化とは何かなど、エネルギーのイロハについて分かりやすく解説がありました。
光も熱もエネルギーの一種、エネルギーとは「ものを動かすもとになる力のこと」と紹介があり、小栗さんは生徒に皆さんに、「今日の給食は?ピラフ?それも、皆さんのエネルギーになっていますよね。」と話しかけ、和やかな雰囲気で授業がスタートしました。
シナネンホールディングス・小栗さん
生徒の皆さんがエネルギーに関わる概要を掴んだところで、地球温暖化対策のためには脱炭素化に向けた行動が必要と説明があり、「今すぐ自分ができること」について、考える時間を持ちました。
生徒の皆さんからは、「移動には自転車を使う」「買い物にはエコバックを使う」「節水節電」などの発表がありました。
小栗さんは生徒の皆さんの発表の一つ一つに対し、その行動によりなぜ二酸化炭素を削減できるのかについてフィードバックされ、買い物においては、なるべく地元ものを買うことで輸送に関わるエネルギーが削減できるなど、買い物の工夫でも二酸化炭素の削減につながることなどを解説しました。
次は、脱炭素化の有効手段である再生可能エネルギーについての紹介です。
再生可能エネルギーは地球資源の一部として自然界に常に存在するエネルギーのため、化石燃料の使用を減らすために有効と注目されていること、その各種の再生可能エネルギー(風力、地熱等)について、具体的なメリットデメリットを解説しました。
地球に優しいのであれば、全て「再生可能エネルギー」にしてしまえばよいと考えてしまうかもしれません。
しかし再生可能エネルギーは、安定性や費用面の問題もあり、いくら環境のために有効であっても、まだ現時点では再生可能エネルギーのみで電力を賄うことは困難であることが紹介されました。
そして、必要とされるエネルギーを賄うためには、各々のリスクや弱みを知りながら複数のエネルギーを組み合わせて使用することが大切だとして、「エネルギーミックス」という考え方があることを紹介しました。
授業前半では、エネルギーの概要、なぜ脱炭素化が必要なのか、脱炭素化の日本や外国の対策目標、再生可能エネルギーの可能性等、広くエネルギーに関わる問題について学ぶ時間になりました。
授業後半は、いよいよお楽しみのゲーム体験です。
「エネルギーミックスで攻略せよ!街づくりシミュレーション」と題し、生徒の皆さんは、電力需要を満たす(ゲーム上はポイントを稼ぐ)という視点で、街の生き残りをかけたゲームを体験します。
具体的には、グループ毎にどの割合でエネルギーを調達するか(エネルギーミックス)検討し、スタート時は決められた範囲内のポイント数になるようエネルギーを決定します。その後、春夏秋冬を想定した季節ごとの出来事について、「ハプニングカード」を、クラス全体に周知する方法で4回引きます。
「ハプニングカード」には、自然現象や社会情勢の変化がGOODカード、BADカードと両方含まれており、想定外の出来事や世の中の動きにより、選択したエネルギーのポイント数が増減する仕組み。各グループは、ハプニングにより増減したエネルギーポイントを、季節ごとに合計して勝敗を競います。
合計値が大きいグループが、より安定した電力需要に対応し得るエネルギーミックスを選択したグループとして勝ちになります。
この日は、「ほどよい風が吹き続け、風力発電はポイントアップ」、「雨の日が続き、太陽光発電はポイントダウン」」などのハプニングが起こり、カードが引かれるたび、各グループから悲鳴や歓声が上がるなど、大いに盛り上がっていました。
各グループ、自分たちが選択したエネルギーについてポイントが倍になったり、ゼロになったりする経験を通じて、エネルギーミックスのイメージを掴み、見通せない困難さなども体感しました。
最後は、どのエネルギーを選択するのが良いのかについては、立場によって変化することや、エネルギー選択のポイントには「安全性」「安定供給」「経済効率性」「環境適合」があり、自分たちの街に合うエネルギーを選択する重要性について学びました。
【授業をご担当いただいた教諭より】 お忙しい中、本校に来ていただきありがとうございました。職業学習発表会では、出張授業で学んだことを活用しながら発表することができました。再生可能エネルギーの利点だけでなく、弱点もあり、補っていきながら生活していくという考え方が子どもたちにとって1番印象に残ったフレーズだと思います。今後も環境保全に向けて自分たちは「何ができるか」を常に考えながら過ごしてもらいたいです。 【シナネンホールディングスご担当 小栗さまより】 エネルギーの話は少し難しく感じるかもしれませんが、私たちの生活には無くてはならないものです。様々なエネルギーを扱ってきた当社グループだからこそお伝えできるプログラムを考えました。生徒の皆さんに興味を持っていただけるよう、クイズやゲームを取り入れ、自ら参加し「体感」することで理解し、環境問題やエネルギー利用について将来にわたって考え続ける素地を作ることを目的としています。当社ではこれからも出張授業を通じて、次世代を担う人材の育成を支援してまいります。 |
中学生の皆さんにとって、地球温暖化や環境問題という言葉自体は耳にすることもあり、知識もある程度あると思います。しかしながら、環境に優しい活動を知るという学びだけでなく、環境に配慮した生活の実現には困難が伴うこと、なぜ環境問題が簡単に解決しないのかという一面を、この授業を通して少し感じていただけたのではないでしょうか。
本プログラムの詳細は、「体感して考えよう!環境とエネルギー」に掲載しています。
2023年11月23日(木)『授業づくりハッカソン2023』が開催されました!企業の方々、現職の先生、学生など様々な方にご参加いただき、大変濃密な1日となりました。
さて、今回のイベントですが、授業づくりの楽しさや興味深さについて教員を目指す参加者に伝えたいという思いのもと開催が実現しました。企業教育研究会(以下ACE)ではインターンとして学生も活動に参加しており、学生の学びの場でもあります。 その一環で、本イベントはACEに所属する私たち大学生の学生インターンを中心に企画を進めました。これまでACE が培ってきた授業づくりのノウハウを参加者に伝え、体験してもらえるイベントとなりましたので、その様子をお伝えします。
司会進行はインターンの学生が行いました。当日までの準備も主体となって進めてくれていてさすがの安心感!
ハッカソンという言葉とは、『ハック』プラス『マラソン』で出来た造語です。今日は皆さんに短い時間で授業計画を作ってもらいます。このイベントは、千葉県教育委員会と千葉大学が連携をして、高校生の皆さんに教職、教員の仕事に関心を持ってもらおうという企画をいろいろ進めています。大学生と高校生の交流の場になると良いなと思います。
1日一緒にワークをするグループメンバーと、アイスブレイクをしながら交流している様子。少し緊張気味の参加者の皆さんでしたが打ち解け合っている様子が見られました!
参加者の皆さんには、コラボする企業を当日までのお楽しみにしてもらいました。企業の方の説明を皆さん熱心に聞いています。
会社紹介のテレビCMを見せていただき、そのカッコよさに会場は大いに盛り上がりました。CPU半導体製品やSociety5.0についても大変分かりやすく説明していただきました。小中高生に向けて高性能なPCや3Dプリンター等を使ったSTEAM教育推進事業を展開されているとの話では、そのレベルの高さに会場から驚きの声が上がりました。
参加者にもなじみがある人が多いメルカリですが、フリマアプリ以外にも『あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる』という理念のもと、様々なサービスを展開されている事をご説明いただきました。メルカリが大切にされている『大胆さ』というキーワードが参加者に非常に響いていました。
実際に出版されている絵本を見せてくださり、参加者も絵本の内容に大注目でした。面白い楽しいことはもちろん、「どこか学びがあるようなポイントを作ることを大切にしている」とお話しいただきました。楽しさと学びが共存しているところは、これから考え る授業づくりと共通するポイントですね。
授業づくりでコラボする企業をくじ引きで決定しました!
どこの企業が当たるのかドキドキ…
いよいよハッカソン開始!
企業の方が配布してくださった資料を読んで企業理解を深めたり、教科書を参照しながら扱う内容を検討したりしています。
高校生の参加者もジャムボードをうまく使いこなし、グループメンバー全員で授業案を練っていきます。
「子どもたちに何を伝えたいのか」「どうしたら楽しい授業になるのか」「活動内容はこれで妥当なのか」「企業と連携する意味を見いだせているのか」等、様々な観点から話し合いを重ねていきます。
学生たちの意欲ある質問に、企業のお三方は常に引っ張りだこ。的確なアドバイスで学生たちの議論をより深めてくださいました。
イベントでは、作成した指導案について各グループが発表し、さらに審査員による評価も行いました。
6グループが提出した指導案と発表をもとに、審査員の皆さんが審査を行い入賞グループには表彰を行いました。
こちらは厳正な審査を行っている様子です。
現職で教員をされている上園さんには、学校現場の視点で授業を評価いただき『現職教員賞』の審査を担当していただきました。子どもたちの生活に引きつけて授業を作っていく視点が評価され、インテルとコラボし「お掃除ロボット」を教材にしたCグループの皆さんが見事受賞しました!おめでとうございます!
ACE職員であり、企業とコラボした授業開発を担当している古谷さんが『ACE賞』の審査を担当されました。企業と授業をする意義が見出されているかという視点で評価を行いメルカリとコラボし、フリマアプリを体感しながら学びが得られる授業案を考えたAグループが見事受賞しました!企業のシステムを踏まえて、ネットリテラシーという目に見えないものを扱えている点が評価ポイントでした。おめでとうございます!
千葉大学教育学部長である藤川大祐教授には「学部長賞」の審査を担当いただきました。303BOOKSとコラボをし、企業の方から聞いた話をうまく授業案に生かしており、実際に絵本を作ってほしいと思えると評価されたFグループが見事受賞しました!おめでとうございます!
参加した高校生・大学生の投票によって決定する「参加者賞」はFグループが受賞しました!
参加者からは、
「体感型ワークにすることによって、子どもたちがわくわくしながら学ぶことができると思いました。本が出版されるまでの過程を一気通貫で教えていただけるのは303BOOKSならではの強みだなと思います。」
「ターゲットが明確に決まっていて目的のはっきりした授業で良かったと思います。」
等の評価の声がありました。
おめでとうございます!
◆◆アンケートより◆◆ 実際に教育実習に行ったおふた方が、学習指導要領の面でたくさんのサポートをしていただいたおかげで楽しい時間を過ごせました。私が教員を志す理由として、授業案の自由度、自分の思いを反映させることが出来る点があります。それを、体験出来て本当に良かったです。以前のインターンシップ後では、東京の教師になろうかな〜なんて考えていましたが、ここで出会った人たちとの繋がりを維持したいので千葉県の教員になりたい気持ちが強まりました。(高校生参加者より) 普段、あまり交流のない高校生や異なる所属の千葉大生と多くの話をする機会を得ることが出来たことで、新たな考え方を得られたりACEの活動を通した知り合いと改めて話すことが出来たりした。また、普段なかなかおこなわないハッカソンというスタイルで意見を出し合うことで、大変ではあったものの大学生活の中で考えてきた授業案の中で最も良いといっても過言では無い授業案を考えることが出来た。(大学生参加者より) |
惜しくも受賞とはならなかったグループの皆さんが考えてくれた授業案も本当に素晴らしいものばかりでした!参加してくれた皆さんが、これからも教育の場で活躍されることを祈っています!
今回のイベントは、企業の方々や審査員の皆さんのご協力のもと開催する事が出来ました。また、意欲のある高校生にも参加してもらえて、大学生のインターン生も運営を通して多くの学びを得られました。ACEをより多くの人に知ってもらい、授業づくりの面白さを改めて感じられる有意義なイベントになったのではないでしょうか。今後もこのようなイベントが開催できるよう、企画をすすめていきたいです!
【記事担当:学生インターン・水坂優希】
様々な企業や団体が独自に出張授業を実施するようになり、出張授業自体は珍しいことではなくなりました。
しかし、実際に授業を担当する企業の方々は、教壇に立った経験がなく、授業は盛り上がるのかと不安を感じたり、もっと効果の高い授業にできないかと悩まれたりしている担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
パートナー企業の方々と企業の知見を活かした授業を開発し、学校へお届けしている私たちですが、既存の授業についてコンサルティングも行っています。
本blogでは、弊会授業開発者と教員を目指す学生インターンが共に取り組んだ、公益財団法人古紙再生促進センターさまの『紙のリサイクル』(小学生向け)の出張授業のコンサルティング例について紹介します。
当初、別件でお問い合わせをいただいていた古紙再生促進センターで出張授業を担当している濱野さん。濱野さんと授業開発者の会話の中で、既に展開中の授業についても、授業の質や盛り上がりをもっと高めたいという思いを秘めていらっしゃることがわかりました。
展開中の授業は、しっかりとした授業用コンテンツがあり、内容は小学4年生の社会科に合致した内容でニーズも高そうです。ただ、授業者が授業をする際、使用する指導案や学習目標はない様子。教員経験のない方が授業を実施するのは、少し難しさがあるのかもしれません。
濱野さんの中には、言葉にはならないけれど何か引っかかる問題意識があるのかもしれない。また、センター全体で毎年60回ほども実施しているこの授業について、会員誰でも授業をできる体制としたいという思いもあるご様子でした。
そこで実際に授業の様子を拝見し、お手伝いできることがあるか検討することに。
提案へ向け、濱野さんが実施する授業を実際に見学させていただきました。
すると、アニメの内容と講師の話が重複してしまっている部分や、クイズの流れや発問が、子どもの知識レベルや授業目標に到達するまでの道筋に沿っていないなど、子どもの集中力や、授業の一体感、盛り上がりについて、確かにもっとできることがありそうな様子が見て取れました。
その中で、私たちが課題に挙げたのは…
◆ 児童の理解に沿った問いかけ、声掛け ◆ 児童を飽きさせない、惹きつける働きかけについて ◆ 盛り上がるクイズへの仕掛け ◆ 児童の混乱ポイントの整理 ◆ 授業目標に到達するための流れ |
これらを整理しながら、濱野さんだけでなく、今後誰が担当しても質を担保した授業とするため、指導案と共に、一歩踏み込んだ授業用台本も作成することになりました。
具体的提案へ向け動き出した私たちですが、本件では職員の開発担当だけでなく、学生インターン(※1)も関わり、学生が指導案作成に挑戦しました。職員は提案内容に見通しを持ちつつもファシリテーターとして学生に寄り添い、提案内容をまとめました。
【具体的提案内容】
(1) クイズがより盛り上がるようにする (2) アニメ視聴における子どもの気づきを 紙リサイクルの説明につなげる (3) 子どもの知識を活かして「雑がみ」の理解を促す (4) クイズで学んだ思考の枠組みを子どもが生かせるようにする (1問目の考えを使用し2問目を考えるような繋がりを 持たせる視点) (5) 年間紙消費量を子どもがイメージしやすくする (6) 子どもが目的意識を持って学習できるようにする (7) 作業が効率よくいくための細かな支援 (8) 早く終わった班に発展的に学習を用意する |
上記8つの提案を行うにあたり、
● 具体的発問(問いかけ)文言の提案 ● 正解へ向けた児童の気持ちの盛り上げ方 ● 発問後の児童の回答を活かした返答例提示 ● より理解を促す教材の提示順 ● 子どもがイメージしやすい例への変更 ● 子どもが手間取る作業について詳細検討 (紙をちぎる大きさや加える水の量、ミキサーをかける時間)等 |
を検討しました。
作成した指導案には指導上の留意点がまとめられ、子どもが理解する過程などもイメージできるようになっています。また講師用には台本と、充実した配慮事項があることで、授業経験が浅い担当者でも無理なく効果の高い問いかけなどが可能になります。
提案を盛り込んだ授業を改めて実施する機会があり、授業後に子どもたちへアンケートも行いました。当日の授業は、子どもたちの興奮が収まらないほど、クイズも大盛り上がり。楽しく、学習目標も達成した授業となりました。
【学習効果について(児童アンケートより)】
楽しく授業を受けられたか、理解ができたと思うかについて9割以上の児童が肯定的な回答をし、理解を確認する質問項目でも9割以上が正解を選びました。
記述回答では、これからは紙を無駄に使わず種類ごとに分別したい、こんなに簡単に葉書が作れると気づいた、コピー用紙があんなにきれいな葉書みたいになることに気づいた等、授業を通して紙リサイクルについて関心が高まり、葉書を作る活動においても時間内で失敗が少なく活動ができた様子が伺えました。
この度は既存授業の見直しにご協力いただき、ありがとうございました。私どもは教育が専門ではないため、実際に学校にとって役に立っているのか、児童に楽しんでもらえているのかとの不安がありました。
今回の見直しにおいて、この内容であれば学習指導要領の内容に即しているためニーズがあるとお墨付きをいただいたことは、これまでのモヤモヤが晴れた気がしました。
また、授業の進め方や発問の仕方についていくつかアドバイスをいただきましたが、学校の先生方はこのような工夫で子供たちの集中力を維持させているんだとわかり、とても勉強になりました。
これからは自信を持って広い地域で展開していくことができそうです。ありがとうございました。
【菅谷美玖さん】
古紙再生促進センターさんの授業改修は私にとって、授業実施以外の業務を行う初めての経験でした。古紙再生促進センターさんからいただいた【誰でも盛り上がる授業がしたい!】というご依頼に対し、児童の反応を予想し、活動や発問の改善点を考えました。また、台本や指導案を作成する際に、教師の視点ではなく「子どもの視点」に立って発問を考えることを意識して、3人で分担し台本作成を進めました。この経験を通して、実際にACEで授業を実施する際や教育実習でも、子どもの思考に合わせた発問を心掛けるようになりました。また、私は実際の授業を参観することはできませんでしたが、職員の方や他のお二人の話を聴き、私たちが工夫した点がきちんと授業者と子どものかかわりに活かされている様子を聞き、嬉しく思いました。また、今回の改修で重視されていた 「誰でも」という部分を意識し、職員の方から助言をいただきつつ、セリフや反応例を考えることで、私自身の発問を見直すきっかけになりました。課題を見つけ、その課題を乗り越える工夫を台本や指導案に落とし込んでいく経験は初めてでしたが、この経験が後の授業実施やACEでの活動に活きています。貴重な経験をさせていただき、誠にありがとうございました。
【髙砂文音さん】
私は台本作成の中でクイズの出し方の部分を担当しました。何をクイズにするかはもちろん、クイズの順番も子どもたちがどのように学ぶかに関わってくる大切な要素であるということを学びました。
改善した授業の見学もさせていただいたところ、学生で考えた学ばせたいポイントを楽しく学んでいる様子を見ることができ、とても嬉しかったです。
私自身も学ばせたい事を意識した授業を考えることにつながるとてもいい経験になりました。
【根本美香さん】
私はすでにある指導案をもとに授業の流れを意識して台本を作りました。授業づくりにおいて、指示出しや発問の仕方などの工夫や留意点だけではなく、学んでほしいことをどのように伝えるのか、学びの場をどのようにデザインするのか等、教師や子どもの視点から授業の流れを考えることの大切さを改めて実感しました。実際の授業をイメージして台本を作る際、自分だけでは気付けない部分について、学生同士の意見交換の場を設定したり、職員の方からのアドバイスをいただいたりしたことで、多様な視点から授業づくりについて考えることができました。大変勉強になりました。今回学んだことを、今後の授業づくりに活かしていきたいと思います。
授業改善のご依頼をいただいた後、古紙再生促進センターで作成された指導案をもとに小学4年生の授業を拝見させていただきました。
確かに、濱野様がおっしゃるように子どもたちの授業への集中力やクイズの盛り上がり等々、授業の中からいくつかの課題を把握することができました。
とはいえ、木材パルプや古紙パルプ等の実物、紙リサイクルの重要なポイントをわかりやすくまとめたアニメーション、どのような紙が紙リサイクルできるのかというクイズ等々、授業で扱う一つ一つの素材は素晴らしいと思いました。
この授業参観により、発問やアニメ視聴の前後の問いかけ、クイズの出し方を変えることで、子どもたちが楽しみながらも授業に集中して取り組み、かつ知識も定着できるような授業に改変できる見通しができました。
その後、弊会の学生インターンとともに授業プランを練り直し、併せて授業台本も作成しました。
おかげさまで、これらをもとに古紙再生促進センターの濱野様に授業をしていただき、想定していた成果を上げることができました。
これも濱野様を始め古紙再生促進センターの方々の授業をよりよくしたいという真摯な姿勢のおかげだと感謝しております。
企業や団体の方々がお持ちの教材や出張授業には、より一層子どもたちの学習意欲を高めたり、理解や思考力の向上を促したりする可能性がたくさんあると考えています。
弊会としては、今後ともこうした教材や授業をよりよいものに作り変えるお手伝いをさせていただければと思っております。
濱野さんは、今回の取り組みを通して、〇×クイズが3問目までの回答をふまえ4問目につながることや、子どもを落ち着かせるアドバイスなど、専門の方に聞いたことが効いていて、授業がよりよくなっていると感じているとお話しくださいました。
私たちの組織は、教師だけが子どもたちの教育に関わるのではなく、企業で働く人や大学生も教育に関わり、将来的には誰もが教育に関われる社会の実現を目指しています。
本記事を通して、学校の先生が様々な工夫を凝らした上で授業が成立していることの一端を知っていただけたのではと思います。もし出張授業で悩みを抱えている企業担当者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度私たちへコンタクトを取ってみてください。
また、これから指導案作成や授業アレンジを経験する教育系の学生さん等にも、内容について参考にしていただけたら嬉しいです。
2023年9月29日(金)、取手市立取手東小学校6年の児童の皆さんへ、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下SIE)と企業教育研究会とでお届けしている「ゲームでつながる授業と仕事 ~ゲーム会社で働く人たち~」の出張授業を実施しました。
先日公開した ~ゲーム制作と算数・数学の意外な関係~ の記事に続いて、授業の様子をお届けします。
子どもにも大人にも人気の高いゲームを題材に、家庭用ゲーム機「プレイステーション」を手掛けるSIEの社員と共にお届けするこの授業。
~ゲーム会社で働く人たち~ については、キャリア教育の一環で多く活用いただいているプログラムです。
爽やかな気持ちのよいお天気になったこの日。
多目的室に集まってくれた児童の皆さん。
元気いっぱいに授業が始まりました。
前半は、数学(算数)編と同じく、SIEの社内ツアーと称し、社内の様子について写真を交え紹介します。
その後は、本日の題材となるプレイステーション®4用ソフトウェア『Newみんなのゴルフ』を実際に体験します。
体験者は代表一人なので、今回も熱いじゃんけんが繰り広げられました。
じゃんけんの後は、早速、権利を勝ち得た児童さんがゲーム体験‼
初めてゲームを体験する場合も心配いりません。
講師が補助に付き、簡単な操作で1ホールのゴルフゲームを楽しく体験されたようです。
ゲーム体験では、SIE社員の方の解説を聞きながら、体験者の一挙手一投足に他の児童の皆さんも大注目です。
いいプレイが出て、先生も両手をあげて大喜びしていました!
そして、本プログラムに申込み下さった望月先生。
先生の私物である、貴重なプレイステーション®2と、当時のゲームソフトを持ってきてくださっていました。
急遽児童の皆さんにも紹介し、ゲーム機自体も時代と共に進化していることを実感いただきました。
実際のプレイを通して、題材となるゲームがどのような物か理解した後は、いよいよ『働く人たち』にフォーカスして授業が展開されます。
『Newみんなのゴルフ』のゲームソフト制作に関わった人数や、ゲームソフト制作以外の仕事に関わる人達がいることなどを、児童の皆さんに問いかけながら進めます。
上記説明で、ゲーム会社にはゲームソフトを作っている人ばかりではないと気づいてもらったところで…
5人のSIE社員に登場してもらい、それぞれどんな仕事(プログラマー、プロデューサー、営業、お客様相談、宣伝)をしているかについて、ワークシート等を用いながら、クイズ形式で学びます。
クイズ形式で進める授業の目的は楽しく学んでもらうためです。
もちろん、周りの人との相談もOK。
講師も児童の皆さんの様子をみながら、ヒントを出して進めます。
児童の皆さんがワークシートに答えの予想を書き終えたら、5人の仕事についての答え合わせです。
それぞれの仕事の解説の中では、プログラマーがキャラクターを動かすために算数や数学の数式をプログラムに盛り込んでいることを、写真のように、実際に数式が動いているイメージと共にお伝えしました。
また、営業担当の社員が、服装や言葉遣いに気をつけて、お客様にゲームを知ってもらうためにゲームショップの皆さんに売り場の飾りつけをご提案することや、
お客様相談担当の社員が、お客様からかかってくる電話内容について、その内容を社内の関係者に伝えることで、次回の製品開発に活かすことなど、
なかなか子どもの調べ学習だけでは学ぶことが出来ないさまざまな仕事内容について紹介します。
最後に、SIEの講師より、
●ゲーム会社には、ゲームを作っている人以外に色々な仕事をしている人がたくさんいること
●いま勉強していることが、将来の仕事にもつながっていること
を、具体例も交え『まとめ』として話しました。
会社内の様子や仕事内容について、クイズ形式で進めていただいたので、子どもたちも飽きることなく学習に取り組むことができていました。質問にも一つ一つ丁寧に答えていただいたので有意義な時間となりました。
今回はSIEの授業にお申込みいただいてありがとうございました。先生も生徒の皆さんもとても仲が良く、明るい雰囲気で迎えてくださり、私も楽しく貴重な時間を過ごさせていただく事ができました。ゲームという身近な題材を使って、「作る仕事」「売る仕事」「プレイステーション®を買ってくれた人のサポートをする仕事」など、たくさんの仕事があることを伝えることで、学校の外の世界や働くということについて何か新たな気づきがあればとても嬉しいです。弊社は今後も企業教育研究会の皆さまと協力し教育貢献活動を続けてまいりますので、ぜひまたお声がけください。
通常は遠隔授業を中心にお届けしている本プログラム。記事公開にて紹介したキャリア、数学(算数)に関連した授業の他、保護者の方も気になる「ゲームとの付き合い方を考えよう」の計3つのプログラムにて展開しています。
連携授業にご協力いただいているパートナー企業さまへの訪問企画。
学生インターンはまだ夏休みの9月20日は、
株式会社セールスフォース・ジャパン (以下Salesforce)さまへ訪問してきました。
「オハナ」(ハワイの言葉で、選ばれた大家族の意)の精神で満たされた温かな社員の方々。
高級ホテルのように洗練され、ポリシーに基づき徹底された空間は圧倒されるばかり。
社会経験が(それなりに)長い職員たちも度肝を抜かれた一日でした。
学生もきっと憧れを抱いたSalesforce。そんな会社訪問の様子をお届けします。
学生一人一人名刺交換。名刺交換後、少し会話をすることで場が和みますね。
Salesforce社会貢献部門の丸野さん、アジェイさんが優しく会話を引き出してくださいました。
実はこの日はSalesforce社内での助成先報告会。
助成先の1団体として事務局長竹内が登壇し、活動内容を紹介しました。
活動報告会の後半はパネルトーク。活動内容だけでなく、企業教育研究会の働き方なども話題に。
(ちなみに、私たちの組織はフルリモートも可能な体制で、沖縄在住の職員もいます)
和やかに進行するパネルトークでは、企業教育研究会の立ち上げに関わった職員の古谷も飛び入り参加。古谷曰く、学校の通常授業ではなく企業教育研究会が授業を届ける醍醐味は、誰か一人でもいい、内容に刺さる子どもがいて、「こんなに変わる子もいるんだ!」という奇跡を目の当たりにする一期一会の喜びとのこと。
竹内も、自分たちの周りだけでなく、これからは、活動を通して日本の世の中を変えていきたい!と意気込みを伝えました。
Salesforceが会社として大切にしている価値観(コアバリュー)が5つ(信頼、カスタマーサクセス、イノベーション、平等、サステナビリティ)があり、ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォームであるという考え方があるとアジェイさん。会社として利益を上げる部分と、社会貢献と両方あり、会社は成長していくと説明がありました。
今回、学生インターンのために社員の方4名が社員ボランティアとして参加くださいましたが、こういう時間や助成プログラムも、全て社会貢献の取り組みの一つとして行っていただいています。
Salesforceさまは社会貢献理念の『誰もが平等に質の高い教育にアクセスでき、将来の選択肢を広げられるような、豊かで平等な社会の実現』を目指し、就業時間の1%・株式の1%・製品の1%を社会に還元する「1-1-1(ワンワンワン)モデル」を実践しています。 Salesforce社会貢献について▷ https://www.salesforce.com/jp/company/philanthropy/overview/ |
それぞれのボランティア社員の方の自己紹介の後、学生から質問タイム。
様々なキャリアをお持ちの社員さんから、貴重な経験を聞かせて頂きました。社員の方々からのアドバイスを少し紹介します。
今までの失敗と、そこからその失敗をどう次に繋げていったのか。
とのこと。ドキドキの失敗も暴露いただいた⁉具体的な内容はオフレコです。
趣味と仕事が繋がっていると思う瞬間はありますか?今、学びと趣味と両方でき楽しいと思っていますが…
考え方は、人それぞれでした。趣味も年齢と共に変化しますし、いつ何をしていても人生の糧にはなる気がしますね!
世界のSalesforceの各拠点にはSalesforceTowerと呼ぶオフィスがあり、必ず自然の緑が見える場所に会社を構え、外の景色と中の景色を融合させるデザインになっているというオフィススペース。写真にある素敵な空間は、お客様をお迎えするオハナフロア。オハナフロアは、どのSalesforceTowerでも一番景色のよいエリア(最上階)に設けられ、来ていただいたお客様に還元することもコンセプトの一つとのことです。ちなみに、東京オフィスは和のテイストを意識したデザイン&インテリアになっています。
フロア内の植物は全て本物です。心安らぐ雰囲気は、フラワーショップの華やかなお花というよりも、何種類もの野の植物が集まっているから?植栽の周りには、小川のような水景設備や、空を意識した優しいライティングが。
執務空間は、高さを変えられるデスクや、マインドフルネス(瞑想)室があり、ユニバーサルデザインの表記が随所に見られました。執務フロアにも多くの緑が配置され、デスクなどにも、なるべく自然素材を取り入れているとの説明があり、デジタルの最先端企業が、自然や緑をとても大切にされていることは新鮮で驚きでした。
なんと、お客様と社員のためにバリスタが常駐‼バリスタは複数階にいらっしゃるそう。
設備の一つ一つが上質で高級ホテルのようでした。
●オフィスに専属のバリスタやパティシエがいたりマインドフルネスルームが設けられていたりと、社員が快適に過ごすことのできるオフィス作りがされていてすごいと思いました。
●お手洗いを使用した際に、ジェンダーニュートラルの表記があったり、扉が押すだけで自動で開閉していたりして、ユニバーサルデザインにこだわっているという印象を受けました。
●社員同士がコミュニケーションを取れるように、カフェといった様々なブースが用意されていたこと(に驚きました)。
●私は企業のイメージが、広大なオフィスにたくさんのデスクとパソコンが並べられ、時間に追われながらたくさんの社員が仕事をしているというものでした。実際は、社員の働きやすさを優先した設備や制度が設けられており、社内の雰囲気はとてもリラックスし過ごしやすそうでした。
●会社の資金や時間、製品の1%を社会貢献にまわしていたことを初めて知りました。
●お話を聞かせてくださった方々のキャリアや転職の多さ、IT企業と言ってもこれほど沢山の専門分野が別れていることに驚きました。
●それぞれが与えられたタスクをこなせるように計画を立て仕事をしていることを知りました。
●外資系は激務で休みもあまりないと思っていたが、人間工学に基づいて作られた椅子を取り入れていたり机の高さが変えられたりと、生産効率を上げてフレキシブルな働き方ができる職場だと思うようになった。
●外資系の企業と聞くと英語が得意な人ばかりが集まるというイメージがあったが、オフィス内の業務は多岐にわたり必ずしも全員が英語を得意としているわけではないことを初めて知った。
●BtoBの企業とは普段生活する中で関わる機会がないため、会社についてはもちろん、社員さんの実際の声を近くで聞けたことが良かった。様々なバックグラウンドを持つ社員さんの話を聞いて、今までやってきたことがどこかで繋がって予想外の道が拓ける可能性もあるなと勇気づけられた。
この度の学生インターンの企業訪問につきましては、お忙しい中、株式会社セールスフォース・ジャパンの丸野さん、アジェイさん、水野さん、ボランティア社員の川島さん、植田さん、鈴木さん、吉岡さんに多大なるご協力をいただきました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。
会社として大切にしている考えを設備面でも制度面でも徹底することは費用面も含めなかなか難しさもあると思いますが、それを諦めず本気でやり続けていらっしゃるという印象を受けました。私たちも自分たちの思いを改めて振り返る機会になりました。
学生たちにとっても、刺激に満ちた有意義な時間となりました。本当にありがとうございました。
2023年9月6日(水)、東京都にあるドルトン東京学園中等部2年の生徒の皆さんへ、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下SIE)と企業教育研究会とでお届けしている「ゲームでつながる授業と仕事 ~ゲーム制作と算数・数学の意外な関係~」の出張授業を実施しました。
子どもにも大人にも人気の高いゲームを題材に、家庭用ゲーム機「プレイステーション」を手掛けるSIEの社員と共にお届けするこの授業。
数学(算数)を学ぶモチベーションアップにもつながると好評のプログラムです。
本blog記事では、具体的な授業の様子を紹介します。
会場には立派な講堂をご用意いただき、クラス毎に授業を実施しました。
このプログラムは、家庭用ゲーム機「プレイステーション」を手掛けるSIEの社員の方と一緒に授業をします。
まずはSIEの会社紹介。
どんなビジネスを行っているかの説明や、職場の一例として、レースゲームがプレイ出来る筐体がフロアに設置されている写真が紹介されました。
もちろん社員は無料で試遊可能とのこと。
この羨ましい話には会場からどよめきが!
授業中にゲーム⁉授業題材をよく知るため、プレイステーション®4用ソフトウェア『Newみんなのゴルフ』を実際に体験します。
時間が限られているので、試遊は代表1名。遊ぶ権利をめぐり熱いじゃんけん大会が繰り広げられ…
無事に決まったクラス代表は早速ゲーム体験。大きなスクリーンで迫力満点です。
他の生徒の皆さんは、SIE社員のゲーム解説を聞きながらの贅沢なゲーム実況観覧。
皆さん、プレイを見ているだけでも大盛り上がり!
とても楽しそうで、ゲームが持つ「人を惹きつける力」を感じます。
ゲーム体験の後は、ゲームが作られる過程について説明があり、特にプログラミングには数学が深く関係していることを学びます。
キャラクターはあらかじめプログラミングされた指示に従い動きますが、そのプログラム内には、キャラクターの動きに合わせた数式が隠れているのです!
ということで、生徒の皆さんもプログラミングに挑戦。
授業ではまず紙のワークシート上で、プログラミングに組み込む数式を考えます。
ミッションは、コインをたくさんゲットできるキャラクターの動き、さらにそれを比例や反比例を使った数式で表すことです!
そうそう!直線に拘らず、曲線でも取れますよ。
SIE作成のプログラムを用い、皆さんの考えた数式を入れて実際にキャラクターを動かします。
そう。生徒が考え入力した数式に基づき、キャラクターが動きます。ここでは生徒さんが比例(一次関数)の式を入力してくれました。
プログラムが実行されるとキャラクターがコインの上を通って、1つ、2つ、、、3つ!
期待通りの数のコインを得ることができました。
最後は自由に質問タイム。
ゲーム発売はどの段階から海外での展開も想定しているのか…
プレイステーション®4 (PS4)は黒いイメージでしたが、プレイステーション®5 (PS5)は白色が前面に押し出されているのは何か理由があるのか…
等々、ここでしか聞けない様々な質問が出ました。
授業後、中学校ではまだ習っていない二次関数の数式を考えてくれた生徒さんがいました。
数式に表すことができれば、プログラムに反映させキャラクターの動きを確認することができます。
生徒さんの考えた二次関数でコイン3枚ゲット。
おみごと!!
休み時間に裏話も聞けました。
PS5®のコントローラー(DualSenseワイヤレスコントローラー)の持ち手部分は、滑りにくくするためにザラザラしています。この部分は、虫眼鏡で見るとなんと「プレイステーション」のボタンのマークである△〇×□の形をしたデコボコで構成されているそう!
この記事を読んでいる皆さんも、もしコントローラーを手にすることがあれば是非確認してみてください。
教員には見せることのできないゲームに潜む数学の面を見せていただくことができました。「こういう風に数学が潜んでいるんだよ」ということと、「こう表すためにこう数学を使っているんだよ」は伝え方も違いますし、プロの方のお話を聞かせて頂いてありがたかったです。ゲームの中に潜んでいる数学はたくさんあると思いますし、更なる展開のプログラムを今後も期待しています。
(師岡洋輔教諭)
ゲームという生徒の関心が強いテーマであったこと、実際に会社で働く企業の方のお話を聞き、実物を触れられたこと等、様々な魅力のある授業でした。普段、授業に対して前向きになれない生徒でも、意欲的に取り組む姿が見られ、面白い題材であった証拠だと感じました。生徒たちの興味や気質は教員が理解しているので、教員と企業教育研究会の皆様とより連携と強めることで、さらに多くの生徒達の関心を集められるのではないかと感じました。
(鈴木宝教諭)
今回はSIEの授業にお申込みいただいてありがとうございました。普段は楽しむためのゲームですが、その裏では数学が活用されているとご紹介した事で、今後は少し違う視点で授業を受けていただけるかもしれません。学びや遊び、友達との交流など、中学校で経験することは将来への大きな糧になると考えています。今回の授業で少しでも生徒さんに新しい考え方や気付きをお伝えできたとしたら、とても嬉しいです。弊社は今後も企業教育研究会の皆さまと協力し、教育貢献活動を続けてまいります。
通常は遠隔授業を中心にお届けしている本プログラム。今回紹介した数学(算数)に関連した授業の他、キャリア教育に使用いただきやすい「ゲーム会社で働く人たち」の授業、保護者の方も気になる「ゲームとの付き合い方を考えよう」の計3つのプログラムにて展開しています。
7月21日(金)ザ・プリンスパークタワー東京で開催された株式会社セールスフォース・ジャパン(以下Salesforce)の Salesforce World Tour Tokyo にて、SalesforceとACEで授業提供している「お困りごと解決しましょう!トレイルブレイザー部のITソリューション」のワークショップを実施しました。
通常は、学校にて高校生向けに提供している本プログラムですが、今回は、一般応募の中学生高校生向けに、イベント内の1ブースをSalesforceボランティア社員さんと共に担当させていただきました。
中学3年~高校3年生の参加してくれたみなさんには、アニメストーリーの中で起こった問題について、
その社会の課題を解決するためにはどのようなIT技術が活用できるのか?その解決策によってどんな新しい値が生まれるのか?
を考えてもらいました。
大いに盛り上がりを見せたワークショップの様子を、写真と共に紹介します‼
「お困りごと解決しましょう!トレイルブレイザー部のITソリューション」の指導案、授業応募はコチラ
緑たっぷりの素敵なイベント会場。各グループ自己紹介の後、和やかにスタートしました。
参加者は、アニメの登場人物から、地域ボランティア部の一員として課題解決をお願いされます…。
みんな、お困りごとの解決に力を貸して!
よろしくお願いします‼
まずはイメージしやすい『改善』を目指す解決から。
解決に用いる主なIT技術はイメージしやすいようにカード化して選べるようになっています。
みんなすぐに取り掛かってくれて、話し合いも活発です。
『改善』提案について発表し合った後はDXが進む段階について紹介を受け、
最終的に目指すのはIT技術を使って新たな価値を生み出すことという大きな目標が提示されました!
『改善』を超える『改革』に挑戦です。
小さな改善ではなく、そもそも理想的な解決とは?
新しいお困りごと、架空の道の駅からの依頼を受け、資料を読み込みながら考えます。
Salesforceボランティア社員も、上手く意見を聞き出します。
架空都市栗里市の道の駅を活性化する改革提案をお願いされたみなさん。
それぞれのグループが『改革』に挑戦し、自由な発想で素敵な提案をしてくれました。
こちらのグループの最終目標は、道の駅が若者でにぎわっていること‼に設定。
一番かわいい解決という評を得た架空都市栗里市の新キャラ『くりたろう』誕生‼
『くりたろう』は不憫なキャラでモンブランの中に隠れてしまっている部分との設定とのこと。
道の駅では、『くりたろう』にモンブランをかけられるよ!というセルフモンブランなる商品を企画しバズりを仕込む‼
笑いの絶えない明るい雰囲気が印象的なグループ。グループの色がにじみ出た素敵な提案でした。
こちらのグループは、道の駅の問題解決ではなく、地域の人口増加が理想と説いた!
道の駅を中心として人口増加(定住)を促す、アグリカルチャーコミュニケーション(略してAC)という新しいライフスタイルを提案しました。
ちなみにACは企業体でもあり、農作物を買い上げてくれるそう。
テレワークの本業と農業の副業という移住スタイルをベースに、出勤時は相互に助け合う仕組みをつくり、それを支える未来的IT技術まで詳細検討。
休憩時間もずっと仲間と白熱議論が続き、最後には、新しい街のモデル事業のような壮大な提案が出てきました。
ワークシートもアイデアが止まらない様子が見て取れます。
プレゼンも堂々たるもの。
提供情報をフルに活かし、ワークショップを満喫してくれたかな?
こちらのグループは、若い人がくる道の駅を理想!としました。
若い人に繰り返し来てもらえるためにローカルアイドルを創ることを提案。
現在のガーデニング企画では若者は集まりにくいとし、メイドカフェを新提案。
メイドカフェでローカルアイドルとお薦めのケーキを作って食べるなど、若者目線での集客を考えました。
また、遠くの道の駅も直接訪問ではなくても体験できるよう、バーチャル空間でマイキャラが道の駅を体験する仕組みも企画しました。
その発信にはSNSを用いる、商品の受け取り方法を決算時にオンライン登録する、混雑が緩やかな施設奥側の様子をWebカメラ確認できるようにする等、IT技術の活用もしっかり検討しました。
マーケティング、IT、Web制作など、いろいろなことに興味のあるメンバーが、それぞれの個性を意見に反映し、着実なプランを練りました!
ACEさんと共同開発したワークショップで、参加した子どもたちはDXに関する新しいスキルを学び、楽しみながら成長することができました。参加したボランティア社員も子どもたちの柔軟な考え方に触れ、大きな刺激を得て日頃の業務に活かす素晴らしい経験になりました。本ワークショップに参加いただいた子どもさんたち、Salesforce World Tour Tokyo内の社会貢献プログラム出展にご協力いただいたACEさんと千葉大学の学生の皆様、ボランティア社員に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
(川島 淳 カスタマーサクセス統括本部シニアマネージャー/社会貢献委員会DX教育チーム)
この度、株式会社セールスフォース・ジャパンさま(以下Salesforce)より、従業員向けの寄付制度を通してご寄付をいただきました。
Salesforceさまは社会貢献理念の『誰もが平等に質の高い教育にアクセスでき、将来の選択肢を広げられるような、豊かで平等な社会の実現』を目指し、就業時間の1%・株式の1%・製品の1%を社会に還元する「1-1-1モデル」を実践しています。
今回の寄付は、『就業時間の1%』の従業員向けコミュニティ支援プログラムに該当し、一定の貢献をした従業員や、勤続年数に応じて寄付の申請ができる制度で、該当の従業員の方が弊会を応援したい団体として選択してくださり寄付をいただいたものです。
Salesforce社会貢献について▷ https://www.salesforce.com/jp/company/philanthropy/overview/
教育分野への社会貢献に意欲的なSalesforceの従業員の方に、弊会を応援したい団体として選んでいただけたこと大変光栄に思っております。
また、ご寄付のみならず、Salesforceさまには、上記社会貢献での労働開発分野の助成先として連携させていただき、
出張授業プログラム「お困りごと解決しましょう! トレイルブレイザー部のITソリューション」での授業開発や従業員の方のボランティア参加、
また官民連携IT人材育成プログラム(Tokyo P-TECH事業)等、ご支援いただいております。
平素より弊会の活動にご理解ご協力いただき、誠にありがとうございます。
社会貢献部門での助成について▷ https://www.salesforce.com/jp/company/philanthropy/equity/
出張授業プログラムについて▷ https://ace-npo.org/wp/archives/project/salesforce
賜りましたご厚意は、弊会の掲げる『子どもたちにとって教育効果が高い授業を届ける』ために有効に活用させていただきます。今後ともお力添えをどうぞよろしくお願いいたします。
4月3日(月)年度始めのこの日。
学生インターンの皆さんと、普段から連携授業に協力いただいている企業を訪問させていただきました。
午後は日鉄ソリューションズ株式会社(以下NSSOL)へ。
午前編に引き続き、学生インターンの皆さんにとって刺激的で新たな発見に満ちた一日の様子をお届けします。
とっても素敵な虎ノ門ヒルズのオフィスの一室にて、まずは会社概要や今野さまの自己紹介をいただき、その後、NSSOLが開発した「計算」するための ビジュアル・プログラミング・アプリケーション『K3Tunnel』等の説明を受けました。
K3Tunnelの発想を得た絵本のお話など、お母さまでもある今野さんの人間味あふれる会話に惹きこまれます。
【K3Tunnel詳細は こちら https://k3tunnel.com/ 】
説明の中では、今野さま自らが小中学校へK3Tunnelの出張授業をされている中で、
一人一台端末の普及後は、スクロールやタップなどでつまずく子どもがほぼ居なくなり、授業の中でケアが不要になったことを感じているというお話や、
パン屋さんの教材では、体験する職業にSEを選ぶような、ある程度プログラミングの知識がある中学生の方が、コードのしくみを理解したり、少し変更してみて試しながら取り組んだりするので、お手本通りにやって動けば満足する小学生より時間がかかるることなど、現場を知る今野さまならではのお話をたくさん聞くことができました。
また、出張授業に参加する社員の方が、子どもと接することで自身の仕事を振り返るよい機会になっていること、会社として重視しているエンゲージメント向上、サステナビリティ経営について、どのような視点で企業活動がなされているか等のお話も伺いました。
学生達からは
「子ども向けのテーマの設定方法は?」
「学校現場のニーズをくみ取りながら作るのですか?」
「K3Tunnelを作ったきっかけはなんですか?」
等の質問が出ていました。
今野さまからは、教科書を参考にするという話や、社員とのチャットや自身の思いつきを形にする話、子どもの様子を見ながらチュートリアルを作成して授業として成立するように調整するお話などをお答えいただきました。
学生たちも実際に社員の方々の発想がどのように授業として、もしくは仕事として形になっていくのか、とても興味深く話を聞いている様子でした。
後半は、K3Tunnelの活用方法や授業内容のみならず、開発に至るまでの経緯や、現場で出てきた小さな改善点を一つ一つクリアにしながら、K3Tunnelが出来上がってきたことを教えていただきました。
その中で、授業の進め方を考える際、SEの方に好まれることが多いティンカリング(※1)という手法と、お手本通りに実施する手法について、双方をどのようなバランスで設定するのかが教材開発において思考のしどころになっていることや、画面内に表示しきれていない部分を見るためにスクロールすることで、目的の場所を子どもが見失いがちになったことを受け、画面の表示方法を改善したことなどを伺いました。
これらのお話を伺い、NSSOLさまがK3Tunnelに対し、授業がより効果的な時間となるよう、とても丁寧に取り組んでいらっしゃることを改めて知る機会になりました。
この度の学生インターンの企業訪問につきましては、お忙しい中、日鉄ソリューションズ株式会社の今野さまには多大なるご協力をいただきました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。
学生たちにとって、なかなか経験することのできない有意義な時間となりました。
本当にありがとうございました。
K3Tunnel\ケイサントンネルは、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。
4月3日(月)年度始めのこの日。
学生インターンの皆さんと、普段から連携授業に協力いただいている企業を訪問させていただきました。
午前中は日本アイ・ビー・エム株式会社(以下日本IBM)へ。
学生インターンの皆さんにとって刺激的で新たな発見に満ちた一日の様子をお届けします。
まずは、セミナールームにて、日本IBMさまの会社概要説明を。
日本IBM社員であり、いつもACEの活動を支えてくださっている難波さまと、なんと千葉大学・法政経学部を卒業されたOGでもある萩本さまが、この学生企業訪問をご担当くださいました。
(ACEは千葉大学・教育学部 藤川研究室 を母体としたNPO法人です。)
説明の中では、事業内容のみならず1980年代からフレックスタイム、90年代には在宅勤務が開始されたことや、ダイバーシティ&インクルージョンがしっかり文化として根付いていること等、グローバル企業が事業のみならず、世界で謳われる社会的課題へ真摯に取り組んでいることを感じられる時間となりました。
展示コーナーでは、吉野さまより、様々な企業とタイアップして進めている事業、最新の技術を用いた事例等の説明をいただきました。
一つ一つの技術に純粋に驚くと共に、学生からは『IBMという大きくものづくりも行っている企業が、他社の方と共同して色々なことに取り組んでいることに驚いたと』いう話や、『具体的なお話を伺いB to Bのイメージを掴むことができた』、『IT企業でもITだけでなく、世の中の課題解決に向けた様々な仕事をすることができるのだと刺激になった』等の感想が出ていました。
展示では、以下の写真のように音声認識できる3Dホログラムや、一度はニュース等で目にしたことのある犬型ロボットSPOTにIBMのエッジAI(※1)を搭載した商品開発等、ご説明いただきました。
学生からは、ニュース文言をリアルタイムでAI分析し、視覚で認識できるように掲示するモニターについて、そこに感情を含んでいるところが非常に面白いという意見や、エッジAIのサイズがイメージよりもうんと小さいことに驚いたという意見が出ていました。
※1 エッジAI:膨大な量のデータを移動させる必要性を回避し、データをソースで分析する能力を提供するコンピューティングパラダイム。(参照:IBM Developer Learning Paths 日本語サイトより)したがって、エッジAI搭載の機器は、その場の機器(エッジAI)の判断で動くことができ、ネット環境が安定しない災害の場などでもミッションを進めることができる(吉野さま説明より)。 |
後半は、難波さま、萩本さまを囲んで、学生の質問にお答えいただきました。
学生からは、
「考えたり、課題解決したりすることはとても難しいと思うが、どうやって考えるのですか。」
「アイデアが生まれる過程を知りたいです。」
「何か具体的な物があって商品が生まれるのか、自ら企画した商品を作成するのとどちらが多いですか。」
「(萩本さまに)文系出身と思いますが、どのようにシステムのことを学びましたか。」
「(社員の方に対し)社会を経験した先生に教わりたいと思いますか。」
等、活発に質問が出ていました。
萩本さまからは、辛かった時期のことや、やりがいを感じた瞬間など率直にお話しいただき、学生たちも年の近い先輩から多くの刺激を受けた様子でした。
また、座談会の中で難波さまがお話し下さった
『もう文系理系は関係なく、ロジカルシンキングができることが大切。』という言葉や、
『教育に関わる方は、子どもの世界を拡げる人であって欲しい。先生とはその人のこと。企業と先生、どちらの世界もできる人ばかりではないので、企業人が教育に入っていく必要がある。』
という話は、学生のみならず職員の私たちの心にも響きました。
この度の学生インターンの企業訪問につきましては、お忙しい中、日本アイ・ビー・エム株式会社の難波さま、萩本さま、吉野さまには多大なるご協力をいただきました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。
学生たちにとって、なかなか経験することのできない有意義な時間となりました。
本当にありがとうございました。
特定非営利活動法人企業教育研究会(以下「ACE」)は今年度より
オンラインで実施できる企業と連携した遠隔授業の開発・研究を推進します。
ACEでは企業のリソースやスキルを活用した出張授業や教材の開発、
提供の支援を行って参りました。
現在、新型コロナウイルスの影響により学校が再開できない状況にあります。
また再開できたとしても、当面の間、出張授業等の地域や企業と連携した取組
が難しいことが想定されます。
そのような状況の中で
「学校と社会の繋がりを切らない、多様な学びを止めない」
ことは社会に開かれた教育の実現のためにも重要な社会命題だと捉え、
弊会ではオンラインで実施できる企業と連携した遠隔授業の開発・研究を推進します。
■この取組によって見込まれる成果
<学校向け>
・オンラインで実施できる企業と連携した遠隔授業の提供
・3密を避けるためのオンライン授業の知見の提供
<企業向け>
・社会貢献活動としてオンラインでの遠隔授業の展開
・本社や事業所がある地域外の学校に対する遠隔授業の展開上記に加え、
遠隔授業の推進により、これまで出張授業では接続の難しかった僻地・
中山間地域の学校や企業の接続も可能になると考えています。
■今後の予定
5月
・弊会主催の研究会のオンライン開催
・企業と連携したオンラインでの遠隔授業の試行
6月以降
・企業と連携したオンラインでの遠隔授業の提供
このプレスリリースに対するお問い合わせは以下の
「お問い合わせフォーム」より、
ご連絡くださるようお願い申し上げます。
https://ace-npo.org/wp/general-inquiry
以上
台風・大雨で被害に遭われた方へお見舞い申し上げます。10/26の研究会は予定通り実施いたします。参加者の皆さまは、お足元にお気をつけていらしてください。
日鉄ソリューションズ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:森田 宏之、以下 NSSOL)と、特定非営利活動法人 企業教育研究会(所在地:千葉県千葉市中央区、理事長:藤川大祐、以下ACE)は、2020年度から小学校で必修化されるプログラミング学習に対応した「教員向け指導案」「授業進行スライド」「ワークシート」をセットにした教材「データをめぐる謎を探れ!」を共同で開発し、NSSOLが運営するプログラミング学習サイトK3Tunnel\ケイサントンネル(https://k3tunnel.com/)に無料公開します。
プログラミング用のアプリケーション、授業指導案、授業進行スライド、児童用ワークシートはK3Tunnel サイトの「Mission09 データをめぐる謎を探れ!」(https://k3tunnel.com/mission/009/)より利用できます(授業指導案、授業進行スライド、児童用ワークシートの公開は8月1日開始予定)。
詳細は日鉄ソリューションズ株式会社から発表されたプレスリリース(https://www.nssol.nipponsteel.com/press/2019/20190718_110000.html)をご確認ください。
2018年9月1日付けで、NPO法人企業教育研究会の事務局長に和田 翔太(わだ しょうた)が就任しましたので、お知らせいたします。
今後ますます、社会的意義のある団体になれるよう努力してまいります。
これからもNPO法人企業教育研究会をよろしくお願いいたします。