2002年の発足以来、NPO法人企業教育研究会は、多くの企業の方々とともに学校で求められる新たな授業プログラムを開発し、毎年数百件の出前授業を行ってきました。そして今、落合陽一さんが言う「魔法の世紀」にふさわしい授業を学校現場に提供すべく、新しい内容について新しい方法を用いて、授業づくりを進めています。新学習指導要領が求めている「社会に開かれた教育課程」に向けて、本書収録の「魔法」の授業にご注目ください。

 

第1章
「未来」の授業をつくる

リアルな社会とのふれあいを子どもたちへ。では、その「リアルな社会」とは一体? 私たちのくらす社会は目まぐるしく変化していきます。それに応じて、教育も変わっていかねばなりません。学校内でしか通用しない知識だけではなく、半歩先を見据えながら、その先の未来を生きる子どもたちにとって本当に必要な、本当にリアルなことを教えたい。第1章では、そのように考えながら開発してきた授業を紹介します。また、半歩先の未来の出来事であってもリアリティをもって学べるよう、教材や授業の構成・演出に、それぞれ魅惑的な「魔法」をかけています。「魔法」のチカラでつくりあげた、「未来」の授業へ、いざ。

参考教材動画

数学が分かると未来が見える !?
─ プロに学ぶデータ分析とデータに関わる仕事の今 ─
日本アイ・ビー・エム株式会社

第2章
環境・健康学習の新しいかたち

自分自身の身体のこと、あるいは遠い先までかかわる環境のこと……子どもたちはそうしたことも学校で学んでいきます。しかし、案外自分の身体のことは分からないものですし、その中身はもちろんカンタンには見えません。今の自分の行動が遠い未来にどう影響するかも、アタマでは分かってもなかなか腑に落ちづらいかもしれません。第2章では、そうした「見えづらい」「分かりづらい」環境・健康学習に「魔法」をかけます。「見えづらい」ブラックボックスには科学的な光をあて、「分かりづらい」話にはそれがスッと入っていくような斬新な教材を。環境・健康を自分ゴトとして引き受け、考えてもらうための授業です。

参考授業動画

コンセントの向こう側はどうなっているの?
─ 実験から学ぶエネルギー環境教育 ─
株式会社東芝

第3章
ストーリーのチカラで教科学習を楽しく

教科の授業にもイノベーションを。教科の授業を楽しくする「魔法」の一つのが、ストーリーの導入です。私たちは、子どもならずとも、よくできたファンタジーに魅せられます。映画、ドラマ、小説、誰かの語るエピソード……そうしたストーリーの世界に入り込み、登場人物に時に共感し時に反発しながら、様々なことを考え学んでいきます。そのチカラを、教科学習にも。第3章では、様々なストーリー導入の事例を紹介します。ストーリー性あるドラマ自体を教材としたり、授業展開をドラマチックにしたりと、たくさんのオリジナルストーリーが描かれています。その世界をお楽しみください!

参考教材動画

宇宙観測を支える情報技術とエンジニア
─ 数学とコンピュータのチカラで、地球から星までの距離を正確に測ろう!─
国立天文台、日本アイ・ビー・エム株式会社

特別対談

落合陽一 × 藤川大祐 学校教育は『魔法使い」の夢を見るか?

コンピュータ研究者として、またメディアアーティストとして、多方面で活躍する落合陽一氏。落合氏は、著書『魔法の世紀』(2015年)の中で、来るべき新しい時代を次のような言葉で照らします。

20世紀が「映像の世紀」なら、21世紀は「魔法の世紀」。あらゆる虚構、リアル/バーチャルの対比を飛び越えて、僕ら自身が魔法使いや超人になる世界。
――『魔法の世紀』(p.18/落合陽一/2015年)――

こうした魅惑に満ちた言葉に触発されながら、私たち企業教育研究会も、子どものハートに火をつける「魔法」のような授業をつくろうと日々探究を続けています。ここでは、「現代の魔法使い」落合氏本人をお招きし、今後の社会や学校教育のあり方について語り合います。私たちの社会はどうなっていくのか?私たちは学校に「魔法」をかけることができるのか?教師たちは「魔法使い」になることができるのか?
─これからを生きる私たちが見る夢は、はたして!?「魔法」と「教育」の越境的ダイアローグ。

落合 陽一(おちあい・よういち)

1987年生、2015年東京大学学際情報学府博士課程修了、2015 年より筑波大学図書館情報メディア系助教 デジタルネイチャー研究室主宰。専門は CGH、HCI、VR、視覚聴覚触覚ディスプレイ、デジタルファブリケーション。著書に「魔法の世紀(Planets)」 など。

Digital Nature Group - 落合陽一 デジタルネイチャー研究室

参考動画

2015年7月18日
第100回 千葉授業づくり研究会『魔法の世紀』と『教育』
講演内容

目次

はじめに

「企業とつくる授業」の最前線
─ 子どものハートに火をつける、「魔法」の授業をつくる!
敬愛大学国際学部専任講師・NPO 法人企業教育研究会副理事長 阿部 学

第1章 「未来」の授業をつくる

CASE 1
キミのアイディアで社会が変わる !?
─ あらゆるモノがインターネットにつながる、IoT って? ─
日本アイ・ビー・エム株式会社 × 阿部 学・古林智美
CASE 2
数学が分かると未来が見える !?
─ プロに学ぶデータ分析とデータに関わる仕事の今 ─
日本アイ・ビー・エム株式会社 × 古林智美・和田翔太
CASE 3
ゆら社長のジレンマ
─ 会社経営シミュレーションを通して集団における意思決定を学ぶ ─
アクセンチュア株式会社 × 小牧 瞳
CASE 4
国際社会での活躍に向けた道徳教材シリーズ
─ ゲーミフィケーションの手法を用いて ─
大日本印刷株式会社 × 竹内正樹
CASE 5
環境ものづくり教室
─ ボードゲームで工場長を体験、ものづくりと環境配慮の学習 ─
株式会社ブリヂストン × 和田翔太
CASE 6
アニメの制作とそのシゴトに関わる人たち
─ 制作の裏側を知り、アニメ制作の一部を体験 ─
株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント × 和田翔太

第2章 環境・健康学習の新しいかたち

CASE 7
アレルギーはなぜ起きるの?
─ アレルギーが起きるしくみを理解し、適切な対処方法を学ぶ授業 ─
株式会社ジンズ × 古谷成司
CASE 8
食育時間 0 時間目 “ 朝ごはんってなぜ大切なの? ”
─ 科学的な根拠をもとに学ぶ食育の授業 ─
日本マクドナルド株式会社・株式会社NHKエデュケーショナル × 古谷成司
CASE 9
コンセントの向こう側はどうなっているの?
─ 実験から学ぶエネルギー環境教育 ─
株式会社東芝 × 和田翔太・関谷紳吾
CASE 10
オンラインゲームとのつきあい方を考えよう!
─ マンガ風アニメーション教材で考える ─
株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント × 阿部 学
CASE 11
将来のシゴトとエコ
─ 未来の夢から考えるキャリア教育と環境教育の融合 ─
富士通株式会社 × 和田翔太

第3章 ストーリーのチカラで教科学習を楽しく

CASE 12
みんなで考えよう、ケータイ・スマートフォン
─ 情報モラル学習プログラム ─
ソフトバンク株式会社 × 竹内正樹
CASE 13
キャラクターのジェスチャーを考えよう!
─ 映像教材でできるインタラクティブ授業の試み ─
株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント × 阿部 学
CASE 14
川とくらしを守る仕事
─ 建設の現場をのぞいてみよう!─
千葉県魅力ある建設事業推進協議会(CCIちば)× 市野敬介
CASE 15
宇宙観測を支える情報技術とエンジニア
─ 数学とコンピュータのチカラで、地球から星までの距離を正確に測ろう!─
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台、日本アイ・ビー・エム株式会社 × 小池翔太
CASE 16
記事を書こう! “中学生版”
─ プロの新聞記者に学ぶ、新聞記事の書き方 ─
読売新聞東京本社 × 山田恵李
CASE 17
私たちの選択肢
─ 脱・いじめ傍観者をテーマとした授業 ─
ストップイットジャパン株式会社 × 谷山大三郎

特別対談

落合陽一 × 藤川大祐
学校教育は「魔法使い」の夢を見るか?

おわりに

学校に魔法を、授業にイノベーションを
─ 本書を手にされた企業の方々、学校教員の方々へ
千葉大学教育学部教授/副学部長・NPO法人企業教育研究会理事長 藤川大祐

編著者紹介

藤川 大祐(ふじかわ・だいすけ)

1965年東京都生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。金城学院大学助教授等を経て、2001年より千葉大学勤務、2010年より教授、2015年より副学部長。メディアリテラシー、ディベート、数学等の教科・領域を越えた授業づくりやいじめ防止対策等を研究。NPO法人企業教育研究会理事長。著書『スマホ時代の親たちへ』(大空出版)、『授業づくりエンタテインメント!』(学事出版)、『教科書を飛び出した数学』(丸善出版)他、多数。

藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

阿部 学(あべ・まなぶ)

1982年秋田県生まれ。千葉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在、敬愛大学国際学部専任講師。NPO法人企業教育研究会の創設時から活動にかかわり、現在は副理事長をつとめる。専門は、教育方法(授業・教材づくり、幼児教育)。著書に『子どもの「遊びこむ」姿を求めて─保育実践を支えるリアリティとファンタジーの多層構造』(白桃書房)、『授業づくりをまなびほぐす─ここからはじめるクリエイティブ授業論』(静岡学術出版、共著)。

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NPO法人 企業教育研究会

NPO法人企業教育研究会は、2003年に千葉大学教育学部授業実践開発研究室から発足した、大学を基盤として活動する「企業と連携した授業づくり」を専門とするNPOです。
連携した企業はこれまで100社以上あり、企業のノウハウを活かした授業コンテンツはもちろんのこと、実施校募集、授業実施までを、企業教育研究会が一貫してサポートしています。

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