
千葉大学教育学部・藤川大祐教授の研究室と共にACEが開催している「千葉授業づくり研究会」は、年間を通じて(年7回)、教育界に留まらない幅広い知見を取り入れる研究会です。
今話題の業界や教育トピックスに関わる企業の方など、その道の専門家やプロを講師としてお迎えし、専門的な講話の提供と、それを教育に活かすための参加者によるディスカッションを実施しています。
その「千葉授業づくり研究会」では、千葉大学教育学部および千葉県教育委員会との連携のもと、高校生インターンシップ参加者の皆さまを受け入れました。令和5年度から継続しているこの連携イベント。今年度は11月開催の第173回研究会にて実施いたしました。
インターンシップに参加してくれた高校生は、将来、教員になることに関心のある皆さんです。
私たちは、参加する高校生たちに、研究会運営への参加を通じて、「教員になっても学び続ける現役教員の姿」や、「新しい教育を追求する大人の熱意」を直接感じてもらい、また、教育学部の大学生との交流が、高校生たちの将来のイメージを具体的にする機会となることを期待し、受け入れを行っています。
さまざまなテーマで実施している研究会ですが、11月研究会のテーマは「探究的な学びに活かす『街歩き×宝探し』を考える」。
国内で「街歩き×宝探し」のユニークな事業を展開する株式会社タカラッシュ様を講師にお招きし、学校で実施されている地域課題の探究学習を、より創造的で魅力的なものにするためのヒントを探りました。謎解きというテーマは、高校生にとっても関心が高く、イメージしやすい内容です。
このブログでは、高校生インターンの皆さんの活動の様子をレポートします。
(研究会自体の詳細レポートはコチラに紹介しています)
1. イベント運営をサポート!
研究会準備のため、研究会開始前に集まってくれた高校生の皆さん。千葉県各地から集まってくれた初めて会う高校生同士でしたが、互いに声を掛けあい、会場はすぐに温かい雰囲気になりました。研究会がスムーズに進むように、準備や片付けといったお仕事で運営にご協力いただきました。



2. 研究会への参加
講演中は、他の参加者の方々と同じく、一参加者として研究会に参加。
後半のディスカッションでも、臆することなく質問する姿は頼もしく、私たちも嬉しくなりました。
教員志望であるインターン参加者の一人は、大学では地域活性化と謎解きのゼミに入りたいと考えているとのこと。そこで、タカラッシュの講師へ、「地域の方々と話し合う時に大切にしていること」を質問していました。
タカラッシュの講師は
「自治体との雑談を大切にしていて、特に、ロケハンの時など、地域の方々が、本当はここをこだわって欲しかったなどの心残りが無いようにコミュニケーションに注力しています。」というお話や、
「目標の共有を大切にしています。楽しい謎も大切だけど、100人来てもらいたいなど、指標を一緒に定めています。また、上手くいかなかったらすぐ悪いということではなく、改善点を探ったり共有化したりして、次に活かすようにしています。」と、真摯にお返事してくださいました。
この高校生にとって、このインターンの参加がとても貴重な機会になったのでは?と感じ、気持ちが熱くなりました。



研究会活動の時間とは別に、千葉大学教育学部とACEを紹介する時間も設けました。
1.千葉大学教育学部長(ACE理事である藤川教授)によるキャンパスツアー
千葉大学教育学部長の藤川大祐教授が、なんと自らの案内でキャンパスを紹介してくださいました。
千葉大学の敷地は広く、教育学部では、各教科に関わる研究室や建物がある他、隣接して教育学部附属の小学校・中学校があることは珍しい特徴の一つであることが紹介されました。立地を活かして大学の授業(90分)の時間内に隣接の附属小中学校で授業実践をすることもあるなど、研究と共にある大学の学びについて教えていただきました。
また、この日は土曜日でしたが、構内を回っていると教職大学院の講義をしている教室が…
講義を実施されていた伊藤裕志特任教授は快く高校生を教室内に招き入れて下さり、「教職大学院の学生は現職の教員が多いので、大学教員が教えるというよりも、協議を通して互いに学び合う活動を大切にしています。」と説明してくださいました。
さらに、教育学部には教員を目指す大学生の支援として「教職サポートルーム」があり、退職した元教員の方に日中相談ができ、教員採用試験に向け、模擬授業の練習などに付き添ってくれる体制があることも説明いただきました。
大学の先生方から直接、教育学部の役割や、教員を目指す皆さんに向けた期待のメッセージをいただき、大学のキャンパスを体感できたことは、大きな刺激になったことと思います。






2.ACEの事務所見学、大学生や職員との交流タイム
企業と連携した教育支援を実施しているACEの団体説明や授業づくり、オススメ書籍などについての紹介と、ACEに所属する学生スタッフでもある教育学部の大学生や、職員との交流の時間も設けました。
高校生インターンのみなさんにとって、将来や、教員、教育学部への進学に対して不安や疑問が和らぎ、より教育に対して関心が高まる時間になっていたら嬉しいです。



参加した高校生の皆さんからいただいた感想を一部抜粋して紹介します。
・企業の人などの講演を聞けてとても面白かった。難しい質問がきても、すぐに想像以上の回答をしていて、そのような人になりたいと思った。その裏にはたくさんの知識があるからこそ上手く言語化出来ているのだと思った。
・教育に強い思いを持つ方々のお話を聞いて、教師だけではなくこんな教育を受ける側のことをたくさん考え、時には研究して教育というものをより良くしていこう、新しくしていこうとしていく人達が凄くかっこいいなと思いました!
・自分ではなかなか知ることが出来ない日常のエンタメをどう教育に活かしていくべきかという観点から学びを深めることができた。
・今まで教員としての目線でしか将来を考えたことがなかったのですが、宝探しを作るという目線で教員の仕事との共通性を考えることができ、視野が広がったと感じます。
・普段の自分が受けている授業などを違った視点から見るきっかけになったので、よかった。
・進学先では観光映像や地域活性化事業を専攻します。元々教員志望で、教育に関わって行きたいと今でも考えています。今回の企画を通してより一層教育に関わっていたいと思いました。企業の方や教育現場で働いている現役の先生とお話しできたことは貴重な場だと思います。
・授業をよりよくしようと企業が活動してくれていたことを知ってもっと他の活動も知っていきたいなと思いました。
・千葉大学教育学部がどのようなつくりになっているのか、またどんなことをしていてどんな雰囲気なのか、どんな魅力があるのかを見学の中で藤川先生や教育学部の学生にフラットな雰囲気で聞くことができた。
・現役の中学校教員の方から話を聞いたり、授業づくりの新しい見方を知れてとても良い経験になったと思います!
・自分のなかにあった固定観念が大きく変わった。特に大人同士のディスカッションって何か堅苦しいというか、すごく真面目なイメージがあったが、実際はふとした雑談も交えられてて、むしろその雑談からひらめきやアイデアが生まれるんだなと知れた。こういった企画には今まで参加したことがなかった身だが、とても勉強になったし、楽しかった。ぜひまた機会があればこういったイベントや企画に参加してみようと思えました。
一生懸命活動してくれた高校生インターンの皆さんありがとうございました。
未来の教育を担う皆さんの今後のご活躍を、ACE一同、楽しみにしています!
日時:2025年 6月12日(木) 17:30~19:30 (集合 17:15)
場所:日本IBM 箱崎事業所
(最寄駅:半蔵門線水天宮前駅、東西線・日比谷線茅場町駅)
内容: 【講話】AIや最新技術について
【見学】世界最大規模の研究機関 IBM Research の各種先端技術
【体験】AIハンズオン(watsonx を触ってみよう)
【懇談会】IBM社員とのグループトーク
対象:大学生のほか、高専、短大、専門学校、大学院の学生の方もご参加いただけます。前提となるスキルはありません。初心者向けの内容となりますので、IT/AIに興味があれば文系の学生の方含めて、どなたでも参加できます。
人数:35名
(先着順。定員を超えた後の申込みは、キャンセル待ちとさせて頂きます)
申込締切:2025年6月10日(火)
申し込み受付フォーム:https://forms.gle/MXA8FrxF1CzqhdR29
当日の持ち物:AIハンズオンでパソコンを使用しますので、各自持ってきていただくことが前提となります。
事前準備:参加者は事前学習として、IBMが提供する無償の学習プラットフォーム IBM SkillsBuildにて”人工知能の概要”を履修していただきます。また、事前にIBM Cloudのアカウントを作成いただきます。
詳細はお申込みいただいた後、主催者もしくはNPO法人企業教育研究会より、ご案内いたします。
※本イベントは日本アイ・ビー・エムのCSR活動の一環として開催するもので、採用活動とは関係ありません。
※服装は特に規定はありません。私服でもご参加いただけます。
主催:日本アイ・ビー・エム株式会社
運営協力:NPO法人 企業教育研究会
日時:2025年 6月 6日(金) 17:30~19:30 (集合 17:15)
(最寄駅:JR横須賀線・新川崎駅から徒歩約15分、JR南武線・鹿島田駅から約20分)
内容: 【講話】量子コンピューターの技術
【見学】量子コンピューターの見学
【体験】量子の仕組みを学ぶボードゲーム「Entanglion」
【懇談会】IBM社員とのグループトーク
対象:大学生のほか、高専、短大、専門学校、大学院の学生の方もご参加いただけます。前提となる知識やスキルはありません。初心者向けの内容となりますので、ITに興味があれば、文系の学生の方含めてどなたでも参加できます。
(量子コンピューター見学登録に際して、国籍情報が必要となります。特定の国の国籍の方についてはセミナーにご参加いただけない場合がございます。)
人数:30名
(先着順。定員を超えた後の申込みは、キャンセル待ちとさせて頂きます)
申込締切:2025年6月2日(月)
申込フォーム:https://forms.gle/Q9AsRpwSjreUytZ67
事前準備:参加者は事前学習として、IBMが提供する無償の学習プラットフォームIBM SkillsBuild にて ”テクノロジーの基礎知識:AIと量子コンピューティング” を履修していただきます。
詳細はお申込みいただいた後、主催者もしくはNPO法人企業教育研究会より、ご案内いたします。
※本イベントは日本アイ・ビー・エムのCSR活動の一環として開催するもので、採用活動とは関係ありません。
※服装は特に規定はありません。私服でもご参加いただけます。
主催:日本アイ・ビー・エム株式会社
運営協力:NPO法人 企業教育研究会
日時:2025年 5月21日(水) 17:30~19:30 (集合 17:15)
場所:日本IBM 箱崎事業所
(最寄駅:半蔵門線水天宮前駅、東西線・日比谷線茅場町駅)
内容: 【講話】AIや最新技術について
【見学】世界最大規模の研究機関 IBM Research の各種先端技術
【体験】AIバンズオン(watsonx を触ってみよう)
【懇談会】IBM社員とのグループトーク
対象:大学生のほか、高専、短大、専門学校、大学院の学生の方もご参加いただけます。前提となるスキルはありません。初心者向けの内容となりますので、IT/AIに興味があれば文系の学生の方含めて、どなたでも参加できます。
人数:35名
(先着順。定員を超えた後の申込みは、キャンセル待ちとさせて頂きます)
申込締切:2025年5月14日(水)
申込フォーム:https://forms.gle/XCXYk4u3bw7DiZvp9
当日の持ち物:AIハンズオンでパソコンを使用しますので、各自持ってきていただくことが前提となります。
事前準備:参加者は事前学習として、IBMが提供する無償の学習プラットフォーム IBM SkillsBuild にて”人工知能の概要”を履修していただきます。また、事前にIBM Cloudのアカウントを作成いただきます。
詳細はお申込みいただいた後、主催者もしくはNPO法人企業教育研究会より、ご案内いたします。
主催:日本アイ・ビー・エム株式会社
運営協力:NPO法人 企業教育研究会
NPO法人企業教育研究会(以下、ACE)は、IBMとパートナーシップを結び、大学生を対象とした無料の学習プラットフォーム「IBM SkillsBuild」を大学教育の中で活用するサポートを行っています。
2024年10月から11月にかけて、千葉大学の全学副専攻プログラム「環境サステナビリティ実践学」の必修科目として「企業における環境サステナビリティ」が開講されました。
持続可能な社会の実現に向けて、特に、環境・サステナビリティの観点から、企業等がどのような取組を行っているか、それが組織経営にどのように関わっているのか、業界にどのような影響があるのか、企業経営者や企業に所属する社会人をゲスト講師として招き、千葉大学教員とのディスカッション等を通じて実践的な学びを深める講座になっています。
この講義の中のオンデマンド型メディア教材として、IBM SkillsBuildのサステナビリティに関する学習コース「保全を超えたサステナビリティーへ」を活用していただきました。持続可能な社会のために、「保全」だけでなくより広い視野に立って、データ分析などの情報技術を活用することの重要性が学べる点が講座のテーマと合致しているということで、受講生に学習していただきました。
履修登録した学生が500名を超える中で、ACEはIBM SkillsBuildの一括ユーザー登録や、学習結果の情報提供をサポートさせていただきました。
【 千葉大学大学院国際学術研究院 片桐大輔 教授より 】
環境・サスティナビリティを考える場合、ともすると、環境サスティナビリティとは「環境保全」の側面だけが強調されがちさかもしれません。しかし、「企業における“サスティナビリティ”」を考えますと、実際に企業が取り組んでいる活動は多種多様ですので、ゲスト講師の生の声をお聞きし、具体的な事例から学ぶことに大きな意味がありました。
一方で、どの企業や団体の環境サステナビリティ活動も、理化学、工学、医学、社会科学や、データサイエンスの活用など、横断的に知識や技術を活用しつつ、それぞれの得意な分野を活かしながら行われている点は共通しています。
その視点をストーリーに沿って学べるWeb教材として「保全を超えたサステナビリティーへ」はぴったり当てはまる内容でした。学習の最後にはそれまでのコンテンツで学んできた内容を理解していないと解けない確認テストもあり、大学の講義のオンデマンド教材として、ぜひ活用したいと考えました。
IBM SkillsBuildの中には、他にも魅力的なプログラムがあります。今後も学習目的と合致すれば、他の講義でも教材として採用して、学生の学びを豊かにしたいと思います。
IBM SkillsBuildでは無料で最新のIT技術を学べるだけでなく、コース修了後に取得できるデジタルバッジを通じてその成果を証明でき、将来のキャリアにとって非常に有益です。この取り組みにご興味のある全国の大学教育関係者のみなさまは、まずは以下のお問い合わせ先にご連絡ください。
本件に関するお問い合わせは以下までお願いいたします。
NPO法人企業教育研究会 IBM SkillsBuild事務局 MAIL:info@ace-npo.org

NPO法人企業教育研究会(以下、ACE)は、世界的なIT企業であるIBMとパートナーシップを結び、大学生を対象とした無料の学習プラットフォーム「IBM SkillsBuild」を大学教育の中で活用することになりました。この取り組みは、まず千葉県内の大学からスタートし、順次全国に広がる予定です。
IBM SkillsBuildとは?
「IBM SkillsBuild」は、最新のIT技術や仕事の進め方を学べるオンライン学習サイトです。AI(人工知能)、データサイエンス、モノのインターネット(IoT)、ブロックチェーンなど、現代社会で非常に重要な知識を提供しています。このプラットフォームは、業界の専門家が設計したコースを通じて、学生が自分のペースで学習できるようになっています。
学習のメリット
「IBM SkillsBuild」では、単に知識を得るだけでなく、学習の成果を証明するデジタルバッジを取得することができます。このバッジは、就職活動の際に履歴書に記載したり、LinkedInなどのプロフェッショナルなネットワーキングサイトで共有することができます。これにより、学生は学んだスキルを証明し、社会人としての競争力を高めることができます。
なぜ「IBM SkillsBuild」なのか?
現代のビジネス環境は急速に変化しており、新しい技術や知識を持つことが求められています。「IBM SkillsBuild」は、こうした変化に対応するためのスキルを無料で学べる絶好の機会を提供します。特に大学生にとって、在学中に最新のITスキルを習得することは、将来のキャリアに大きなアドバンテージとなるでしょう。
千葉県内の大学での取り組み
このパートナーシップの第一歩として、千葉県内の大学の講義で「IBM SkillsBuild」を活用するプログラムが開始されます。講義の一環として「IBM SkillsBuild」のコースを取り入れ、学生が実践的なスキルを学べるようにする計画です。学生は理論だけでなく実践的な知識を身につけることができます。
今後の展開
今後は、千葉県内の大学での成功を基に、全国の大学にも「IBM SkillsBuild」を展開していく予定です。この取り組みが広がることで、多くの学生が最新のITスキルを身につけ、日本全体の技術力向上に貢献することが期待されます。
「IBM SkillsBuild」を活用した新たな学習の機会は、学生にとって大きな力となるでしょう。無料で最新のIT技術を学べるだけでなく、デジタルバッジを通じてその成果を証明できることは、将来のキャリアにとって非常に有益です。この取り組みにご興味のある全国の大学教育関係者のみなさまは、まずは以下のお問い合わせ先にご連絡ください。
本件に関するお問い合わせは以下までお願いいたします。
NPO法人企業教育研究会 IBM SkillsBuild事務局 MAIL:info@ace-npo.org
学校・企業・大学とを結び、誰もが教育に関わり、貢献することができる社会をめざすNPO法人企業教育研究会(理事長:藤川大祐教授(千葉大学教育学部長))は、このたび、千葉大学学術研究・イノベーション推進機構(IMO)(機構長:藤江幸一(千葉大学研究担当理事)、千葉市稲毛区)と、アントレプレナーシップ教育の発展に寄与することを目的とし、相互協力の覚書を締結しました。

締結日:令和6年4月12日
目的: アントレプレナーシップ教育の分野において連携を図ることにより、起業家教育に貢献する
内容:
・アントレプレナーシップ教育教材の開発に関する研究活動
・学校へのアントレプレナーシップ教育の展開活動及び授業実施
・学校の教職員等へのアントレプレナーシップ教育の普及活動 等
具体的には、企業教育研究会が中学生を対象に開発したアントレプレナーシップ教育プログラム「ひな社長の挑戦」を用いて、幅広く学校現場で活用されるよう学校における教員研修等の授業支援をIMOとともに進めます。今回の覚書締結により連携を強化し、千葉県を中心に、アントレプレナーシップ教育の幅広い機会提供や機運醸成に貢献します。
学術研究・イノベーション推進機構(Academic Research & Innovation Management Organization: IMO)は、研究支援・産学連携機能の強化とイノベーション創出を加速する目的で千葉大学により設置されました。
IMOでは研究推進部とリサーチアドミニストレーター(URA)が連携して最先端研究の推進を支援するとともに、企業等とのコーディネート活動等の一層の強化によって、社会価値創出のための様々な取り組みを実施する体制の整備と強化を実現して参ります。多様なステークホルダーと連携しながら小中高校生向けのアントレプレナーシップ教育を進めていきます。
学術研究・イノベーション推進機構(IMO)|国立大学法人 千葉大学
【本件についてのIMOからのお知らせ】
NPO法人企業教育研究会(以下ACE)では、学校・学生(大学)・企業の三者が連携して誰もが教育に貢献する社会を目指し、所属する学生を主体とした授業開発も行っています。本ブログでは、そんな学生主体の授業開発プロジェクトの一つである、翻訳をテーマにした授業実践の様子をACE学生インターン生かつ授業者を務めた菅谷美玖がお届けします。
私は、英語科教員を目指し大学で中学校・高等学校外国語科(英語)の免許を取得、現在は大学院で英語教育を学んでいます。そんな私が、一貫してもっている想いがあります。それは、自分とは違う背景をもつ相手を尊重しながら、コミュニケーションをとることができる子どもを増やしたい!という想いです。
海外の人を道案内する場面など、実際に外国語を使ってコミュニケーションをとる場面においては、自分とは異なる背景を持っている人との違いをふまえながら、コミュニケーションをとる必要があります。しかし、私が教育実習やインターンシップ先で見学させていただいた英語の授業を振り返ると、気心の知れた友人と教科書の表現から単語を少し変えて口頭でやり取りするようなコミュニケーション活動が多く見られました。こういった活動を行うだけでは、生徒がコミュニケーションをする相手との違いをふまえて関わる必要があるという視点に気づきにくいという課題を感じています。
そこで、この課題を乗り越えるような授業を開発したいと思い、今回は相手をふまえた「手紙の翻訳」をテーマに授業を開発しました。手紙を翻訳をする際には、手紙を書いた人がどのような人物なのかや、込めた想いなど、一つ一つの言葉の意図を読み取ることが大切です。そして、翻訳文を読む相手の読解力にあわせて翻訳する必要もあります。中学生にとって手紙を翻訳することは、即興性が高い口頭でのコミュニケーションとは異なり、原文にしっかり向き合い、相手を意識して表現を工夫するという体験になると考えました。そしてそれは、私が感じている課題の解決に適した題材になるとも考えました。授業内容の検討においては、翻訳授業開発グループ※1で何度も話し合い、翻訳者の方にもご協力いただきながら、内容を固めていきました。
※1…NPO法人企業教育研究会学生インターン数名と職員から構成
演劇サークルに所属する大学生が、中学生向けの劇について台本作りをしているというストーリーの中で進める授業です。生徒は大学生から依頼を受け、アメリカで男性が女性をダンスパーティーに誘った内容の、実在する英文手紙を題材に翻訳に挑戦します。生徒は、台本として違和感がないように、手紙の持つ背景をふまえ、日本の中学生に伝わりやすい翻訳を目指します。
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①翻訳には、原文の書き手などのパーソナリティ、言語の違い、該当の文章の時代や文化的な背景などの諸要素が影響していることに生徒が気が付くことができる。 ②翻訳する時に、俺や僕、私など、どの人称代名詞を選択するかにより、翻訳文の印象に違いが生まれることなど、翻訳の効果について気づくことができる。 ③他者と協力しながら、パーソナリティや諸背景をふまえて、手紙の相手と、翻訳文を読む人に、書き手の想いを伝える翻訳文を作成する。 |
・1時間目
1965年以前に書かれた本物の手紙を用い、その手紙が書かれた時代背景や、当時の文化について調べ、原文についての理解を深める。
・2時間目
機械翻訳を参考に※2、生徒が手紙を翻訳する。
翻訳実務経験者から、生徒が書いた翻訳文についてフィードバックをしていただく。
※2…英文を読むことが難しい生徒に対して英文の読解を補助したり、機械翻訳では十分にコンテクスト(時代背景)や文化差を意識した翻訳にならないことへの理解を促したりするために、機械翻訳文を生徒に複数個提示しています。
「いちばん自由な出版社」を掲げ、千葉ロッテマリーンズや千葉ジェッツなどのプロスポーツチームとのコラボ、グラニフの人気キャラクターから生まれた「グラニフのえほん」シリーズ、ポッドキャストから生まれた「ホントのコイズミさん」シリーズなど、従来の出版のあり方を刷新した書籍を多数発行している。その他、小中学校の授業で活用される学校図書館図書を多数制作している。
◆ ご協力いただいた皆さま
代表取締役 常松心平さま、翻訳者 笠原桃華さま
授業内容を検討するにあたり、様々なコンテンツの翻訳経験をお持ちの笠原さまに具体的に工夫している点を生徒へお話しいただくことで、手紙の書き手や相手、翻訳文を読む人が属する文化などの背景をふまえるという視点を、より実感を持って学ぶことができるのではないかと考え、303BOOKSさまへご協力をお願いしました。
教育現場に精通され、細部までこだわりのある出版物を多く手掛けていらっしゃる常松さま、笠原さまには、当日の講話のみならず、授業の構成段階から示唆に富むアドバイスをいただきました。
生徒が授業を通し相手をより意識できるように、以下の2点について創意工夫を加えました。
1つ目は、実際に翻訳経験のある方に授業に関わっていただくことです。
授業を開発する過程で、何度か翻訳者の方にインタビューをする機会がありました。翻訳者の方は、文章がもつリズム、原文の書き手、翻訳文を読む人など、様々なことに気を配りながら翻訳されているそうです。生徒は、そのような工夫について話を聞いたり、翻訳者ならではの視点からフィードバックを受けたりすることができます。
2つ目は、実際に書かれた手紙を教材として使用することです。
教材は実際にアメリカで書かれた、アメリカ人の男子大学生が気になる女性をダンスパーティーに誘う趣旨の手紙※3です。特定の個人に出された想いが込められた手紙を用いることで、生徒が「この原文を書いた人はどんな人だったんだろう」、「翻訳文を読む人にとってどうしたら伝わりやすく訳せるのだろうか」など、よりリアリティをもって想像を膨らませることができます。
※3…村主よしえ・広田寿亮(1965)『英文手紙の書き方』、海南書房
ここからは、授業の様子を紹介します。当日は、2名の中学生と大学院生数名という少人数の受講者に向けて授業を実施しました。
まず、旅行記事やゲーム、漫画など様々なコンテンツの翻訳を手掛けてこられた笠原さまから、生徒に対して、翻訳する際に意識するとよいポイントについてお話しいただきました。そのポイントとは、それぞれの言語が持ち合わせているリズムへの意識と、各文化による単語の捉え方の差に対する意識です。
笠原さまからは、例として、英語の歌詞を日本語に訳す際は、歌いやすくするため、七五調のリズムを意識する場合があることや、単語についても、直訳をするだけでは不十分な場合があり、“vegetable”(野菜)という単語は、日本では生野菜を連想するが、アメリカでは冷凍野菜が想起されることなどをお話されました。翻訳の仕事は、双方の文化をふまえて翻訳しなければならないことを教えていただき、生徒も熱心に耳を傾けていました。
次に、アニメーションを用い、教材の手紙が書かれた当時の時代背景や、手紙を書いた男性と手紙を受け取る女性の関係性について生徒に示しました。
アニメを視聴した後は、ACE学生インターン生による劇を通して、生徒のみなさんに手紙の翻訳を行ってもらうことを伝えました。
演劇サークル監督役の学生が登場し、手紙を上手く翻訳できずに困っているとこぼしています。
演劇サークル監督からのお願いを受けて、まず生徒は手紙の書き手(ボブ)や当時の時代背景について、手紙に書かれたヒントから、調べ学習を行い、理解を深めていきました。



生徒たちは悩みながらも翻訳文を書き進めていました。途中、グループ毎に、翻訳文を作成する際に工夫した点などを共有する活動を行いました。生徒から、「手紙の書き手(ボブ)の育ちがよさそうなので、言葉づかいを丁寧にした。」や、「日本語らしく訳すべきか英語らしく訳すべきか迷ったが、翻訳文を読む人(日本の中学生)にとって分かりやすいように日本語として自然な表現になるように工夫した。」、「手紙に書かれているBig band やJazz Comboなどあまり日本の中学生にとってなじみがない単語について、大人数のバンドと少人数のバンドと工夫して訳し分けた。」など、文化的背景や時代の違いをより意識し、授業のねらいであった相手との違いをふまえながら工夫して翻訳している様子が見られました。
その後、2名の中学生が完成させた翻訳文と工夫した点・難しいと感じた点を発表し、翻訳者の笠原さまから、フィードバックをいただきました。
笠原さまより、”Last Friday’s dance was really great.”という文について、「とても素晴らしかったよ。」ではなく「とても素晴らしかったね。」とカロリンに同意を求めるような、語り掛けるように訳しているというところが、reallyの雰囲気をよく表していて素晴らしいなど、生徒の翻訳文が文章として読みやすくなるように意訳できていたとコメントをいただきました。笠原さまのコメントを受け、他の受講生も生徒たちの考え抜かれた工夫に驚いたり、感心したりしていました。


最後に、授業者(菅谷)より、今回の課題の場合、原文が書かれた背景や、手紙の書き手と相手の人物像を読み解いた上で、翻訳文を読む人にとって伝わりやすい言葉を選ぶことが大切であることをまとめとして伝えました。
アンケートでは以下のような声が見られました。
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翻訳者の方の話がとても参考になった。普段の生活の中で翻訳者の方と関わることはないのでとても興味深い話が聞けてよかった。また、翻訳する文章の背景、設定?がはっきりしていたので、色々な翻訳方法が考えられて難しかったが面白かった。(中学生)
ねらいがどこにあるのか。英単語の使われ方、その単語の用途を理解することなのか、時代背景やキャラクターを想像して作文することなのか。後者だと元の英文から離れていってしまわないかと気になりました。実際、翻訳の方はどのようにされるのかもっと聞いてみたいと思いました。(大学院生) |
今回の授業を通して、生徒は翻訳文を読む人に伝わりやすい翻訳になるように、日本の中学生にとってはなじみのない当時の音楽文化を示す単語を工夫して訳したり、日本語として自然になるように配慮したり、手紙の書き手であるボブのパーソナリティを読み解いたりするなど、様々な工夫をしながら活動していました。どうしたら伝わりやすい翻訳になるのか悩みながらも、原文をじっくり読み、時代背景や手紙の書き手のキャラクター性等をふまえ、慎重に言葉を選びながら翻訳している様子が多くの場面でみられました。
これらから、この授業を通して、授業目標に設定しており、開発当初から大切にしてきた原文に忠実に向き合い、翻訳文を読む人を意識しながら表現を工夫するという相手を十分にふまえるということを生徒が体験することができたと考えています。
今回の授業実践では、303BOOKS株式会社より、代表取締役の常松さまと、翻訳実務経験者である笠原さまに多大なご協力をいただきました。授業構成から授業内で提示する資料まで丁寧に見ていただいた上で、助言をいただいたり、当時の文化的な背景について調査をしてくださったりするなど多方面からサポートしてくださいました。また、授業後には、授業内で翻訳をどのように定義するのかや、より効果的な翻訳者との連携についても多くのアドバイスをいただきました。いただいた貴重な意見をふまえ、この授業をさらにブラッシュアップしていきます。誠にありがとうございました。