昨年度より千葉大学大学院教育学研究科の「横断型授業づくり実践研究Ⅱ」の講義において、大学院と企業教育研究会(以下ACE)が連携を取ることになり、本年度も継続して協力しています。

本ブログでは、本年度に実践された授業の様子(第3報)をお届けします!

(講義概要や初年度の取り組みについてはこちら                    https://ace-npo.org/wp/archives/date/2022/03  )

今年度、3つの会社にご協力頂いた連携授業、最後は、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下CTC)さまのご協力の下、1月25日、2月1日にわたり、千葉⼤学教育学部附属中学校3年生へ向け実施されました。

 

■授業タイトル

『 効率よく宅配する道を考えよう 』

■授業数 2時間(50分授業×2回)

■学習目標

生徒たちは配送トラック(センサーロボット)教材を用い、3か所に荷物を効率よく配達するルートを検討する活動に取り組みました。

 

具体的には、自分たちが最適だと想定したルートが実際に一番よいルートなのか、教材を用いて計測実験を行いました。その際、くじ引きで決まる渋滞などの不確定要素が反映された実計測値を統計的に比較検討し、自分たちの考える最適ルートを決定することに挑戦しました。

 

※センサーロボットは、底面のセンサーを使って色の組み合わせを読み取って指示通りに動くことのできる小型ロボットです。こちらの教材を用いた『みんなでチャレンジ!ITエンジニア』の出張授業の様子は、CTCさまのHPをご覧ください。
https://www.ctc-g.co.jp/company/sustainability/mirai_ctc/workshop_02.html          

 

◆1時間目◆

1時間目は、CTCさまの会社紹介の後、ネットショッピングやコロナ禍で配達事業は右肩上がりに需要が伸びている一方で、配送業の方々の多忙化が深刻になっていることなど説明がありました。

 

今回の授業では、その解決のため 『ITエンジニアとして、配達によい道を探してください』 とミッションが与えられました。

 

『よい道』とは何かを、教師側で条件指定をしていなことがこの授業のミソ。

まずは、みんなで『よい道』について意見を出し合います。

 

「短い」「道幅が広い」「時間が短い」「信号が少ない」等の意見が出、生徒の皆さんもイメージを膨らませます。

その後、班ごとに自身で決めた『よい道』のルートについて、実際にロボットを走らせ所要時間を計測しました。

 

計測では、実際の配達イメージに近い要素を盛り込むため、ルート上には何箇所かくじ引きを引くように指示のある場所があり、ハズレが出ると渋滞が発生して通過時間が長引くという設定がなされていました。

各班に付いた大学院生サポーターが、くじ引きで不確定要素を引き当てます。引き当てたくじによっては、渋滞による時間追加等を計測値に盛り込み、最終的なデータとします。

 

◆2時間目◆

 

2時間目は、1時間目の続きで追加のデータ計測から開始し、その後はいよいよデータ分析に挑戦。

分析方法のおさらいと、スプレッドシートでできること(設定済みのグラフ項目等)を確認してから分析作業に入ります。

 

使用データについては、1時間目の授業でデータ計測に想定以上の時間がかかると判明したことを受け、授業担当の大学院生が、気が狂いそうになりながら終日家に籠ってデータ取りをしたという渾身の実測データも追加しました。

分析結果、ルートDを一番『よい道』と考えた生徒たちが多くなりました。ルートDには1つだけ数値の大きい(配送時間のかかる)計測値があり、それを「はずれ値」とみなした班は、平均値や中央値が最も低くなることを『よい道』の理由として考えました。

しかし、その数値を「はずれ値」ではなく、起こり得る最大値と捉えた班は、ルートDを最も『悪い道』と想定。したがって、最大値が一番小さいルートCを一番『よい道』としました。『よい道』と『悪い道』の結論は、他班と真逆の結論となりました。

 

どちらの意見も納得できる理由であり、生徒同士がルートDの最大値を「はずれ値」とみなすかどうか、雑談タイムのような楽しい雰囲気で意見を交わしている場面もあり、考え方の違いにより結論が違うことを実体験できた授業となりました。

 

◆◆◆ CTC 伊庭様より ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

大変、面白い画期的な授業作りに大学院生さん達が取り組まれたと思います。

実際の授業では、生徒達の柔軟な考え方に驚き、取り組みを興味深く拝見することができました。

今年も微力ながら、(授業作りと授業に)企業として連携させて頂く中で、学校教育や青少年への関わり方を、改めて考え、見直す良い機会になったように感じています。

そして、今後、更に今回の授業をブラッシュアップされたものを見たいと思っています。

 

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最後になりましたが、授業当日には直接学校に足をお運びいただき、授業準備においても大学院生と連絡を取り合っていただくなど、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社さまにはお忙しい中多大なるご協力いただきました。

この場を借りて心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

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