2020年5月16日に第135回千葉授業づくり研究会「見えないものを可視化する」を、今回は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のため、オンライン会議ツールであるZoomを用いて開催いたしました。

 

「見えないものを可視化する」ということで、可視化することにおいて必要不可欠なコンピューター・シュミレーション技術について、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の池田様にお話いただきました。

池田様は環境カウンセラーの経歴をお持ちで、環境教育とコンピュータ・シミュレーションの関係に精通しており、現在では科学・工学分野の解析、シミュレーション技術で社会を取り巻く様々な課題解決へ取り組んでいらっしゃいます。以下講演の内容を概略的に記録させていただきます。

 

はじめに、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)や実際に行っている出前授業に関するご紹介を、CTC広報部 酒井様からいただきました。CTCはAI/IoTやクラウドサービス、SNSなどの分野で活躍している企業で、2015年に社会貢献活動として「未来実現IT教室」を、子ども向けのプログラミング教育として立ち上げました。その中で、現場の先生たちの「プログラミング教育ってどうやればいいのだろう?」という疑問に触れ、さらに現場のニーズに応えるために企業教育研究会と共同で「みんなでチャレンジ!ITエンジニア」という授業を2018年からはじめました。この授業では、プログラミングを教えることより、プログラミングの基礎である、論理的思考(プログラミング的思考)を養うことを大事にしたそうです。

 

次に、池田様から数値シミュレーションや環境教育などのお話をいただきました。数値シミュレーションとは、天気予報やCO2濃度分布、ウイルス飛散、設計(建築物や車の空気の流れや音など)などといった、私達の生活には欠かせないものに多く活用されており、目に見えないものを可視化するためになくてはならないものです。また、池田様は環境教育においてインタープリテーション(自然の解説)として、五感を使って感動を与えることや、体験を取り入れることを大事にしているそうです。環境教育においては、生物多様性と持続可能な開発目標について、「バイオミミクリー」を紹介しながら、今までたくさんの子どもたちに教えてきたそうです。バイオミミクリーとは「生物を模倣する」ことを意味し、例えば、ヨーグルトの蓋にヨーグルトがくっついていないのは、蓮の葉を模しており、蓮の葉には撥水性があり、そこからヒントを得て、ヨーグルトがくっつかない蓋が開発されたそうです。ほかにも500系の新幹線はカワセミの入水を模していたり、パンタグラフはフクロウの無音飛行を模していたりなど、とても興味深い内容でした。

これらの内容を踏まえ、数値シミュレーションと環境を組み合わせた教育プログラムの提案をいただきました。目的を満たすモデルを生き物からヒントを得て、プログラミング的思考で、試行錯誤して、見つけ出す力を養うことが目的だそうです。

 

休憩を挟んだ後の質疑応答では数値シミュレーションに関する質問が大多数を占めていました。数値シミュレーションの可能性や、初心者が扱うときのポイントについて、数値シミュレーションと子どもの学びへの繋がりなどの質問があり、それぞれ丁寧にお答えいただきました。中でも、バイオミミクリーを考えるにあたって、モノと生き物の関連性、例えば新幹線とカワセミはどのようにつながったのかなどを子どもたちに考えさせる必要があるが、そういった力をどのように考えさせるかという質問に対して、「なぜこの生き物は〇〇(速い、音がしないなど)なんだろう?」という視点を持ち、Whyを追求することが大切とおっしゃっており、まさに子どもたちに必要な力を養える教育コンテンツだと感じました。

 

最後に、グループに分かれてブレイクディスカッションを行いました。それぞれのグループに分かれて、今回の議題に関して様々なアイデアを考え、意見し合う場として、盛り上がりました。ここでも「どうすれば、学校の先生でも数値シミュレーションを授業に取り入れることができるのでしょうか?」という質問がありましたが、池田様いわく、簡単なソフトで計算をするとのことで、懸念が解消されたと思います。また、アート(黄金比)や感染拡大シミュレーション、暑い教室の効率よく冷やし方などといった様々な軸で授業が作れる可能性があり、日常とのつながりもあって、とても良い教育コンテンツだと思うといった意見が多くありました。

 

今回は、数値シミュレーションという、教育コンテンツとして可能性を秘めている内容でした。難しい内容ではありますが、子どもたちは自分自身でWhyを追求し、プログラミング的思考で試行錯誤して新たなモデルを開発し、もとよりいい結果を導き出すことで、今までにない感動を与えられるのではないかと感じました。

 

文責・企業教育研究会  堀内誠太

 

オンライン会議ツールであるZoomを用いて、各参加者のいる場所を繋いで実施しました。

特定非営利活動法人企業教育研究会(以下「ACE」)は今年度より

オンラインで実施できる企業と連携した遠隔授業の開発・研究を推進します。

 

ACEでは企業のリソースやスキルを活用した出張授業や教材の開発、

提供の支援を行って参りました。

現在、新型コロナウイルスの影響により学校が再開できない状況にあります。
また再開できたとしても、当面の間、出張授業等の地域や企業と連携した取組

が難しいことが想定されます。

 

そのような状況の中で

 

「学校と社会の繋がりを切らない、多様な学びを止めない」

 

ことは社会に開かれた教育の実現のためにも重要な社会命題だと捉え、

弊会ではオンラインで実施できる企業と連携した遠隔授業の開発・研究を推進します。

 

 

■この取組によって見込まれる成果
<学校向け>
・オンラインで実施できる企業と連携した遠隔授業の提供
・3密を避けるためのオンライン授業の知見の提供

 

<企業向け>
・社会貢献活動としてオンラインでの遠隔授業の展開
・本社や事業所がある地域外の学校に対する遠隔授業の展開上記に加え、

遠隔授業の推進により、これまで出張授業では接続の難しかった僻地・

中山間地域の学校や企業の接続も可能になると考えています。

 

 

■今後の予定
5月
・弊会主催の研究会のオンライン開催
・企業と連携したオンラインでの遠隔授業の試行

6月以降
・企業と連携したオンラインでの遠隔授業の提供

 

このプレスリリースに対するお問い合わせは以下の

「お問い合わせフォーム」より、

ご連絡くださるようお願い申し上げます。
https://ace-npo.org/wp/general-inquiry

 

以上

2019年12月21日に第134回千葉授業づくり研究会「教育コンテンツ開発の秘訣とは!?」を開催しました。

 

学校の情報化やアクティブラーニングへの注目など、世の中のニーズが移り変わる中、制作されるコンテンツも変化していきます。今回は教育コンテンツを制作されているプロをお呼びし、対談形式で教育コンテンツについてご講演いただきました。

講師にはディレクションズ学習コンテンツ開発部プロデューサーの楢崎匡さま、すなばコーポレーション代表の門川良平さまの二名をお呼びしました。以下講演の内容を概略的に記録させていただきます。

 

はじめに、それぞれご自身の取り組みについてご紹介いただきました。

楢崎さまの所属するディレクションズ社は、子ども向けのコンテンツを多数制作する映像制作会社です。楢崎さまが在籍する学習コンテンツ開発部では、特に教育に特化したコンテンツを制作されており、Eテレの番組やベネッセコーポレーションの動画教材、教科書のデジタル教材の制作などを行っているそうです。

 

門川さまは、10年間勤めたベネッセコーポレーションを退職後に通信制大学で小学校教員免許を取得し、小学校の教員として2年間勤めた後、文響社を経て、個人会社のすなばコーポレーションの代表を務めていらっしゃいます。ベネッセでは進研ゼミ小学講座の教材開発に、文響社では、うんこ事業部うんこプロデューサーとして、大ヒットドリルシリーズ「うんこドリル」のキャラクターである「うんこ先生」を用いて、交通安全からSDGsまで、幅広い分野の教育コンテンツ作りに携わってこられました。現在は文響社から委託を受けている業務のほか、対戦型計算カードゲーム「ミーデン」を開発したり、「不登校からのキャリアデザイン」というイベントの主催をしたりと、オリジナルのSDGsワークショップを開発したりと多岐にわたる活躍をなさっているそうです。

 

パネルディスカッションでは、まずコンテンツ作りで大切にしていることをテーマにお話しいただきました。門川さまは、そのコンテンツが楽しいかどうかを大切にしているのだそうです。かたいものを飲み込みやすく柔らかくするのがコンテンツ化するということであると仰いました。授業の導入が上手くいくと、その後の授業展開も上手くいくという、自らの経験をもとに、コンテンツへの入り込みやすさが重要だと考えているそうです。それを踏まえて楢崎さまは、学びはそもそも楽しいものであり、コンテンツはその本質的価値に気付くための入り口に過ぎず、コンテンツ自体に付加価値を求めてはいけないのではないかと仰いました。コンテンツが楽しいことは重要だけれど、それをきっかけに学びの楽しさという本質的な価値に気付けるようにもしなければいけない、という言葉に参加者の多くが頷いていました。楽しい中でも、何を学ぶかが重要なのだと考えさせられるお話でした。

 

次に、どのようにコンテンツを作っているかをテーマにお話しいただきました。楢崎さまは、本質を突くコンテンツを作るには、まず制作者が十分学んでいる必要があると考えているそうです。勉強をして、どこが本質なのか、どこがポイントなのかをはっきり理解することが重要だと仰いました。一方、門川さまは思いついたことを形にして、それを世の中のニーズとすり合わせていくようにしているそうです。実際に作っていく中でまた新たに学んでいくことができ、それが意欲にもなっていると仰っていました。高くアンテナを張って、価値のありそうなものを逃さないことがコンテンツ作りのコツと仰っていました。自身の取り組みの中で紹介のあったカードゲーム「ミーデン」も、トランプのスピードのゲーム性と計算を組み合わせたらどうなるだろうと考えて出来たと仰っていました。身近にも多くのコンテンツ作りのヒントが隠されており、いかにそれに気付くことができるかがカギなのだと感じさせられました。

 

最後に、教育コンテンツを取り巻く課題をテーマにお話いただきました。楢崎さまは、コンテンツを作る側の視点として、制作したコンテンツがどのように運用されているかを見届けることができないことが悔やまれる点であると仰いました。コンテンツが制作者の意図と異なる解釈や運用をされてしまったり、使用感のフィードバックが取りにくかったりと、現場と制作者の分離が大きいのだそうです。教員の経験のある門川さまも、良い教材なのに使いにくいといったことを感じていたそうです。お二方とも、コンテンツ開発の中で、現場の声が反映されづらいことに課題を感じているそうで、使う人と作る人が一緒になってコンテンツを開発していきたい、現場の先生方を助けられるコンテンツを広く一般に使えるようにしていきたいと仰っていました。

 

質疑応答では、講演を聞いた感想をはじめ、コンテンツ作りの“黄金レシピ”のようなものはあるのか等、多くの質問が寄せられ、それぞれ丁寧にお答えいただきました。中には「教育コンテンツは所謂“意識低い系”の先生にはハードルが高いのではないか」という質問もありました。これに対して、教育コンテンツをわざわざ取り入れるより自分で授業をした方が楽と考える教員がまだ多いのではないかと分析したうえで、制作者はコンテンツに頼った方が楽だというアピールが必要かもしれない、“意識低い系”を相手取るよりも使ってくれる“意識高い系”の教員を増やすことの方が重要ではないかといったディスカッションが起こりました。皮肉ではありますが、教員の意識の高さに関係なく、子どもたちが学びの楽しさを感じられるというところは教育コンテンツの良さであると感じました。講義全体を通して、学ぶべき事柄が増えていく現代で、先生を助け、子どもたちが学びたいように学べる教育コンテンツはとても価値があると感じました。

 

文責・企業教育研究会  西村崇一郎

2019年11月16日に第133回千葉授業づくり研究会「PrivacyVisor開発物語〜プライバシー保護の先端技術の研究開発から社会実装へ」を開催しました。

今回は、国立情報学研究所より越前功教授をお招きしました。越前教授はカメラによる顔検出を防ぐメガネを自治体と共同開発されるなど、プライバシー保護に関する技術開発を精力的に行っていらっしゃいます。様々なプライバシー侵害が起こりうる現代のインターネット空間の実態と、越前教授が実践されてきた技術開発について、お話いただきました。当ブログでは、研究会での様子をレポートいたします。

ご講演では、はじめにインターネット空間でのプライバシー問題についてお話いただきました。近年、カメラ付き携帯端末が爆発的に普及したことで、個人が手軽に風景を撮影でき、SNSなどに投稿することが当たり前になりました。個人が撮影した画像は通りがかりの人の写り込みを含め、多くのプライバシー情報が含まれています。それをインターネットに上げることによって、悪意がなくとも他者のプライバシー情報を世界中に拡散してしまうことがあります。生体認証によるセキュリティ保護が普及する中、カメラとネットワークによって生体情報が拡散されてしまう恐れは深刻になりつつあるのだとおっしゃっていました。

続いて、PrivacyVisorというメガネ開発についてお話しいただきました。このメガネは、装着した状態で画像を撮られたとき、顔検出を防ぐ効果があります。

スマートフォンなどで写真を撮るとき、映った顔が四角形で囲まれるのを見たことがありませんか。それが顔検出されている状態です。顔検出は、画像の明るさの特徴を分析して、その特徴が顔のようであれば、顔だと判断するという仕組みなのだそうです。越前教授が分析した結果、目の周辺が暗いこと、鼻筋が明るいことが顔としての大事な特徴なのだとわかりました。従来のサングラスでは、この特徴は崩せず、顔検出されてしまいます。そこで、この特徴を崩すようなメガネを開発されました。

2012年、最初に開発したメガネは、目の周辺にLEDを配置して明るくするものだったそうです。見事、顔検出はできないようになりましたが、電源が必要なことから、日常での使用が難しいという課題がありました。そこで、材質を工夫して光を反射もしくは吸収させ、電源不要で顔検出を防止するメガネを開発されました。しかし、製品化にはデザインや普及の面で課題がありました。

そこで、建築家の方にデザインを依頼し、メガネ産業が盛んな福井県鯖江市に製造協力を募って、共同開発に至ったということでした。当時、鯖江市のメガネ製造企業で、3Dプリンターを利用した新しいメガネ開発に着手した企業があったそうです。その企業では機能性メガネのアイデアを必要としていました。そこで、越前教授の開発したメガネのアイデアを活用し、2014年に3Dプリンターモデルができあがりました。さらに、量産化モデルとして、チタンフレームを利用した製品を開発。鯖江市で運営されている地域密着型クラウドファンディングを活用して資金調達し、2016年に発売を実現させたのだそうです。

今回、研究会の参加者にはプラスチック製PrivacyVisorがプレゼントされ、休憩時間に多くの方がメガネの装着を体験していました。実際に、スマートフォンで顔検出ができなくなることが確かめられ、感嘆の声が上がっていました。

デザインは、日本の伝統的な文様を取り入れているそうです!

 

PrivacyVisorによって顔認証が阻害されました!

 

PrivacyVisorの社会実装に向けては、メディアでの発信、博物館や美術館での展示など、継続的な取り組みをされていらっしゃるそうです。そのひとつに、教育現場での活用実績をご紹介いただきました。PrivacyVisorを使用しながら、ネット社会における情報モラルを学ぶ授業をされたということでした。

続いて、指紋盗撮防止技術のご研究についてお話しいただきました。ピースをしている写真から指紋を分析し、複製をつくれる場合があるそうです。越前教授はその可能性を実験で明らかにし、それを防ぐためのご研究をされました。それが、指に装着可能な擬似指紋シールです。このシールを貼り付けると、指紋センサーでの指紋認証は可能ですが、写真に写った指からは指紋を判別できなくなります。機能性と利便性の両立を意識して開発されたそうです。

最後に、フェイクビデオを検知する研究開発についてご紹介いただきました。フェイクビデオとは、ある人物の見た目や声などの特徴を模倣することで、その人になりすまして情報を発信し、それを見た人々を騙そうとする動画のことで、近年問題視されています。この問題は、見た人が真偽を確かめられるような仕組みをつくることで対抗できるということでした。

実際に、合成によって作られた顔や、有名人の話し方を模倣して架空の話をさせる動画を見せていただきました。目視では、見た目や声が合成かどうか、ほとんど見分けがつきませんでした。しかし、これらの画像や動画に、越前教授が開発された検知システムを適用すると、瞬時に本物か偽物かが判定されます。研究では、システムを使えば高精度で真偽判定できることが証明されており、国内外のメディアで注目されているそうです。お話の中で、「これからの時代、『百聞は一見にしかず』は成り立たなくなる。」とおっしゃっていたのが忘れられません。

ご講演の後の質疑応答では、犯罪対策の最新事情や、個人でのインターネット利用時の注意点など、様々な質問がありました。中でも、教育現場でのプライバシー保護について、現職の先生方を交えての議論が巻き起こりました。生徒が写る画像の取り扱いや、成績などの個人情報の運用について、どんなリスクが潜んでいるか、どんな対応が適切かを考える機会になりました。また、印象的だったのは、写真や動画に関する注意点です。写真に映り込む人には事前に許可を取ること、インターネット上で共有するときは不要な写り込みをなくすこと、できるだけ不特定多数の人が見られる状態にしないことなどを学びました。生活に浸透している写真や動画というツールに対して、改めてプライバシー保護の意識をもって接することが必要だと感じました。

 

文責・企業教育研究会  樋口健

2019年10月26日に第132回千葉授業づくり研究会「クイズを通したコミュニケーション術とは!?」を開催しました。

今回は、クイズ作家の日髙大介さまをお招きし、クイズの作り手と解き手とのコミュニケーション術というテーマでご講演をいただきました。

日高さまは、最近話題の「クイズで学ぶ」というコンセプトのyoutubeチャンネル“quiz knock”などにもゲスト出演されていらっしゃいます。「クイズで学ぶ」というコンセプトは、日髙さまも昔から持っていたそうで、塾講師をしていた頃に、生徒に対し「クイズは勉強と一緒、勉強はクイズの一種」と子どもに教えていたそうです。クイズと教育を交え、授業にどのように生かしていくのかをクイズづくりの視点からお話ししていただきました。

現在、テレビでは「99人の壁」、「東大王」をはじめ、クイズ番組が毎日のように流れています。今日の日本はクイズブームと言われていますが、「30年前から同じことを言われる」「今も昔もクイズ番組の数は変わらない」と日髙さまは仰っていました。

クイズ番組を見る視聴者というのは、年齢や性別、住むところ、経験してきた事柄、学んできたことも違っています。クイズ番組の問題が全く分からないのでは見ている人はつまらない、そのため、知っているか知らないかの絶妙なラインを攻めながら問題を作っていくのだそうです。

知っているか知らないかというのは常に回答者に依存します。したがって、クイズ番組の問題作成は出演者を見てから行うそうです。視聴者は答えられない問題を出して間違える姿よりも、問題を解いている姿のほうが見ていて楽しいだろうとおっしゃっていました。そのためにも、問題は理解できるが答えにたどり着くのが難しい、というラインを探ることが大切なのだそうです。そのラインの一つの指標が義務教育だと考えられているそうで、これは、義務教育はすべての人に共通する体験であるためであると述べておりました。

問題がわからないと楽しくないため、わかりやすいクイズづくりの工夫も教えていただきました。

まず、回答者が誰なのかなど、環境によって問題のわかりやすさは変わります。そのため、問題の文章は回答者がわかるように出題しなくてはなりません。

たとえば、読み上げで問題を解く際に指示、支持といった同音異義語を用いるのは不親切です。「選挙で応援することを支持するといいますが」などの言葉を使いながら、わかりやすい問題づくりをするのだそうです。

また、問題が長くなると、結局何を答えればよいのかわからなくなってしまいます。そういったことを避けるために、「ある人物についてお答えください。」などの言葉で答えるべき内容を明確化することが大切なのだとおっしゃっていました。

クイズの問題を授業の発問に生かすというお話もありました。塾講師をしていた時から、クイズを用いながら子どものやる気を引き出す授業を心掛けていたそうで、当時の経験をもとにお話しいただきました。

塾の生徒は義務教育と違って勉強をするために自らやってきていますが、それでもやる気はたいてい30分で切れてしまいます。そのため、クイズのように見立てて発問をして、生徒の興味関心を引き出していたそうです。子どもがクイズ好きなのは今も昔も変わらないはずと、楽しい授業づくりの重要性を説いていただきました。

発問を作る際には上記でも挙がっていた「知っているか知らないかの絶妙なラインを攻め」ることと、「答えるべき内容を明確化すること」が重要だとおっしゃっていました。わからない問題を出されてわからないという経験をするよりも、わかるという成功体験をする方が楽しいし、勉強へのやる気も引き起こしやすいのではないかと考えているそうです。

わかる問題(クイズ)を解かせる、そのうえで大げさなフィードバックをする、といった工夫で、子どもが意欲的に授業に参加できる枠組みを作ることが重要なのだとおっしゃっていました。間違えることを恐れて問題に取り組めない子も多くいるはずだとした上で、間違えないような出題の仕方の工夫や、間違えたとしてもそのままにせず、いい間違えを褒めるなど、ヒーローにしてあげる工夫も必要なのではないかとおっしゃっていました。

質疑応答では、「授業内の発問ではクイズでいうところの解説が肝であるが、どのようにしたらわかりやすい解説ができるのか」、「クイズを間違える楽しさというのもあるが、授業に生かせないだろうか」など、多くの質問が飛び交いました。

講義全体を通して、クイズと発問、また番組づくりと授業づくりには類似点も多く、児童生徒を楽しませるヒントを得ることができました。多くの人を楽しませるコンテンツには授業づくりに生かせるものが多くあるのではないかと感じされられました。

文責・企業教育研究会  西村 崇一郎

台風・大雨で被害に遭われた方へお見舞い申し上げます。10/26の研究会は予定通り実施いたします。参加者の皆さまは、お足元にお気をつけていらしてください。

2019年7月20日に第131回千葉授業づくり研究会「高校生が考える『ICT教育』のこれから」を開催しました。

今回は広尾学園中学校・高等学校を会場に、現場の職員である金子先生と小沼様、広尾学園高校2年生の髙橋様より、日頃からどのようにしてICTと向き合っているのかについてご講演いただきました。

 

研究会には、ICTに関して強い関心のある、教員や一般の方々、大学の教授や学生まで様々なバックグラウンドを持った多くの方々にお越しいただきました。

 

研究会の冒頭では、まず金子先生から広尾学園の今までの教育とこれからの教育についてのお話がありました。今までの教育は学校という枠組みの中を部活と勉強という要素が大部分を占めていましたが、これからの教育には、そこにプラスαの部分として、キャリアプログラムやICTを用いた活動、海外活動や、地域への貢献活動、企業と協力した活動、インターンシップなどが必要であると述べられていました。

具体的に学外での広尾学園の生徒の活動として、Unilever社と共同で行われたDoveブランドのプロモーション映像企画や、日本HP社の主催で行われた、「Mars Project」に大学と合同チームで優勝したお話、クリエイターの方とAIを用いて現代にモーツァルトを再現するプロジェクトに参加したことなどが挙げられ、高校生であっても発想力という面で様々な方面から求められており、そこにこれからの教育が見えてくるのではないかと述べていました。

また、学校内の活動では、学園祭の時に、ICTを用いた新たな表現として、映像と音楽と照明を組みわせたプログラミングなどを生徒たちが主体となって作り出し、教員が手を出せない領域まで、生徒の活動は広がっているということを述べていました。

 

次に高校生である髙橋様から、生徒目線のお話をいただきました。広尾学園には、ICTルームというものがあり、そこには3Dプリンターやレーザーカッター、iMac、Adobeのソフトなどがあり、そこで日々ものづくりや動画の編集、カメラ撮影、学内イベントの企画運営などを行っていると述べていました。また、ワークショップなども開いており、ミニチュアの車作りや、グライダー作成のワークショップなども開いており、髙橋様にとってICTルームは「『つくりたい』を叶えるコミュニティ」であると述べていました。

また、髙橋様がICTルームでの活動を通して学んだことして、4つのことを述べていました。1つ目は、「自分の中の比較優位を探す」です。これは、集団で役に立ちたい時に、自分の中で得意なことがなかったとしても、その中で比較的に得意なことを見つけ、それをやっていくことで、次第に得意になっていき、最終的には集団の役に立てるということです。2つ目は、「楽しいは共有するもの」です。ICTルームを使用するにあたって楽しいからこそ、活動しているのであることを忘れないことも大事ですが、それを押し付けずに自然に共有することができれば、より良い空間になっていくと感じたそうです。3つ目は、「教える側にとっての責任感」です。先輩の立場として、誰かに尋ねられた時、そこで答えを教えるのではなく、一緒に悩んでくれる人を求めているだということを学んだそうです。4つ目は、「信頼関係が、共創・試行錯誤を可能にする」というものです。ICTルームでは、他の場所よりも縦の責任が強く、それによって、シナジー効果が生まれているそうです。しかし、一方で新たな人間関係を構築し直すときに、多くの苦労が生まれるようで、どのような関係を作っていくのが良いのかを今も模索していると述べていました。

髙橋様にとってICTルームの存在は、教室以外で夢中になれるものであり、そこにICT環境の整備と先生方のサポートがあるおかげで、主体的に学べる場として、存在していると述べていました。

 

最後にICTルームの管理をされている小沼様から「教職員から見たICTルーム」についてお話がありました。広尾学園の生徒はChromebook、iPad、MacBookの三種類を用いており、それぞれ学校単位または個人で購入し、管理設定を導入して使用していると述べていました。問題が起こった時の対応として、今までは生徒、担任、担当教員、業者という流れであったものを、ICTルームを設置してから、その流れをまとめることができ、運営がスムーズになったそうです。ICTルームでは、業者任せにせず、生徒と先生であったり、生徒と生徒であったりが教え合う場面もあるそうで、より主体的な学びにつながると述べていました。また、破損したデバイスの状態から、生徒の抱える問題を発見することができるという副次効果も業者任せにしないことで得られたそうです。

質疑応答では、主に授業におけるICTについて、質問が飛び交いました。広尾学園では、ICTを使った特別な授業をしていないと述べていました。ICTはあくまでも授業を行う時に、生徒や先生が、自然に使っていくもので、特定のICTを使うための授業は行なっていないそうです。講義全体を通して、今後ICT教育という言葉は死語になっていくこと、ICTを使うことで問題が生じることもあるが、マイナス面ではなく、それ以上に大きなプラス面に目を向けていかないといけないということを感じました。

 

文責・企業教育研究会  石川 鉄平

 

 

~新学習指導要領に準拠、Webサイトからすぐに使える教材セット~

日鉄ソリューションズ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:森田 宏之、以下 NSSOL)と、特定非営利活動法人 企業教育研究会(所在地:千葉県千葉市中央区、理事長:藤川大祐、以下ACE)は、2020年度から小学校で必修化されるプログラミング学習に対応した「教員向け指導案」「授業進行スライド」「ワークシート」をセットにした教材「データをめぐる謎を探れ!」を共同で開発し、NSSOLが運営するプログラミング学習サイトK3Tunnel\ケイサントンネル(https://k3tunnel.com/)に無料公開します。

 

プログラミング用のアプリケーション、授業指導案、授業進行スライド、児童用ワークシートはK3Tunnel サイトの「Mission09 データをめぐる謎を探れ!」(https://k3tunnel.com/mission/009/)より利用できます(授業指導案、授業進行スライド、児童用ワークシートの公開は8月1日開始予定)。

 

詳細は日鉄ソリューションズ株式会社から発表されたプレスリリース(https://www.nssol.nipponsteel.com/press/2019/20190718_110000.html)をご確認ください。

 

 

2019年5月18日に第129回千葉授業づくり研究会「若者が主役になる学び、とは何か?」を開催しました。

今回は、JK(女子高生)が主役の市役所の課、ニートが主役の会社、変人が主役の研究奨励制度など、様々な実験的プロジェクトを仕掛けてきた若新雄純さまを講師としてお招きいたしました。

今回の研究会では、若い人が主役になれる学びとは何かということをテーマに若新さまよりお話をいただきました。学生から大人まで様々な専門性を持った多くの方々にお越しいただきました。

 

研究会の冒頭では、今後は答えがないという時代を受け入れ、そのことを前提として、あえて答えを見つけないという価値観が必要であることが述べられていました。様々な実験的なプロジェクトを手がけてきた若新さまがなぜ斬新なプロジェクトを考え出すことができたのか、きっかけは幼少期に感じた厳格な親と自分の感覚のズレだそうです。こうあるべきであるという価値観を教えられてきた若新さまは自分の持っている価値観とのズレを感じており、そんな思いが、慶應大学SFC研究所で研究を始めてラボを立ち上げ、「ゆるいコミュニケーション」をテーマに様々な実験的なプロジェクトを仕掛けるきっかけになったそうです。

若新さまのお話の中では、試行錯誤という言葉がキーワードの一つとして述べられていました。試行錯誤とは試みと失敗を繰り返しながら次第に見通しを立てて策や方法を見出していくことであると述べながら、現代の人は失敗を恐れていると若新さまは語ります。失敗することがいけないという価値観が試行錯誤の邪魔をしているが、今後は答えを導くのではなく「新しい〇〇」を試行錯誤することが必要となるということでした。わからないこと「?」を楽しんでいく中で発見が連鎖して何かが生まれる、この発見の連鎖が結果として成果につながると若新さまは述べていました。

 

具体的な事例としてニートが主役の株式会社や鯖江市のJK課などを設立する過程を挙げながら、新しい〇〇を試行錯誤するということは具体的にどういうことなのかお話いただきました。

 

質疑応答では新しい〇〇を試行錯誤するということをどのように教育に取り入れていくかが活発に議論されました。講義全体を通して、今後学校教育で若者が活躍できる学びをどのように取り入れていくのか試行錯誤していくことが必要なのではないかと感じました。

 

文責:企業教育研究会  貸熊 大揮

2019年度の「関西授業づくり研究会」の開催を予定している日程は下記のとおりです。

 

2019年 5月26日(日)
2019年 10月27日(日)
2020年 2月16日(日)

 

内容によっては日時を変更する場合がございますので、各回の詳細の案内をご確認ください。
詳細の案内は開催日時より1ヶ月〜2週間前に企業教育研究会・定例研究会ページにてご案内いたします。

2019年度の「千葉授業づくり研究会」の開催を予定している日程は下記のとおりです。

 

2019年 5月18日(土)
2019年 6月15日(土)
2019年 7月20日(土)
2019年 10月19日(土)
2019年 11月16日(土)
2019年 12月21日(土)

 

内容によっては日時を変更する場合がございますので、各回の詳細の案内をご確認ください。
詳細の案内は開催日時より1ヶ月〜2週間前に企業教育研究会・定例研究会ページにてご案内いたします。

12月15日(土)に第127回千葉授業づくり研究会「小麦粉から見る日本の食糧事情と食品安全」を開催しました。

 

今回は、日清製粉グループ本社CR室の南澤陽一さまを講師としてお招きいたしました。日清製粉グループは、小麦をこねてグルテンを取り出したり、石臼で小麦を挽いたりする体験型の授業を行なう活動を実施しています。

 

 

今回の研究会では、小麦を題材とした新しい授業づくりを目指す一歩として、南澤さまより日本の小麦利用に関する様々なお話をいただきました。

 

まずは、小麦粉のもとである、小麦についてのお話からレポートします。

現在、日本で使われる小麦のおよそ9割は海外から輸入したものです。小麦は世界の様々な国で生産されていますが、日本では主にアメリカ、カナダ、オーストラリアから小麦を輸入しています。例えば、タンパク質が高いパン用の小麦はカナダとアメリカから輸入していますが、アメリカからは、天ぷらやお菓子用の薄力粉として利用するタンパク質の低い小麦も輸入しているそうです。また、オーストラリアからはうどん用の小麦を輸入していますが、讃岐うどんのモチモチした歯ごたえと、つるっとしたのど越しはこの原料の特徴とのことです。様々な国から色々な品種の小麦を輸入している日本だからこそ、料理ごとに小麦を使い分けることができるそうです。

 

しかし、日本の食糧自給率は低く、今後小麦も含めて生産力を高めていく必要があります。その一環として、国内産小麦の新品種の育成も進められています。かつては日本の小麦はパンには適さないと言われていましたが、最近は北海道でパン用に適した小麦の開発に成功しているそうです。しかし、日本で育成された小麦の品種はまだ生産量が少なく、全国に行き渡るには至っていないとのことでした。

 

小麦は8000年以上前にメソポタミアで栽培化されたと言われており、その後世界中に広まって各地で多様な品種が作られていきました。日本では世界の様々な品種の小麦を輸入して使い分けている……と考えると歴史的な観点では大変興味深く思われます。その一方で、食料自給率の低さを解決するために、国内産小麦の生産量を増やすという課題があることも忘れてはいけないのですね。それでは、日本では小麦をどのように加工して小麦粉にしているのでしょうか。

 

日本では、まず外国から小麦を政府(農水省)が買い取ります。企業は政府から小麦を買い、工場で製粉して販売しているのです。外国から船で運搬された小麦は、企業のサイロに移されます。その後、小麦は工場に運ばれ、ミリング(小麦を砕く)、シフティング(砕いた小麦をふるいにかける)、ピュリファイング(白い小麦粉を取り出す)という段階を繰り返して製粉されます。

 

こうして私たちが家庭で使う白い小麦粉が出来上がるのです。最後に、消費者が安心して小麦粉を使用できるようになされている工夫についてお話をいただきました。

 

小麦粉の袋をよく見ると、「開封後は吸湿、虫害などを防ぐため、袋口のチャックをお閉めになり、お早めにお使いください。」や「小麦粉の使用にあたっては、必ず加熱調理してお召し上がりください」という注意表示や、食品素材と添加物を明確に区別した表記、アレルギー表示、原料原産地表示、遺伝子組換え表示などが書かれています。これらは、消費者の声や医学などの研究成果、消費者庁と企業のやりとりなどをふまえて表記されているそうです。また、輸入小麦の安全性の確保のために、小麦を乗せた船が原産地を発つ前にサンプルを飛行機で日本に送り、船が日本に着くまでの間に安全性の検査を終了するようにしているそうです。「企業は安全なものを作る。安心できるかどうかは、消費者の信頼次第」という言葉で、講義は締めくくられました。

 

以上の講義を受けて、新しい授業づくりに向けた討論を行ないました。研究会に参加されていた小学校の先生からは、総合的な学習の時間で小麦粉を作る授業を行なったという報告がありました。この先生は、小麦粉は世界の様々な国で利用されていることに着想?して、国際理解教育の一環として小麦粉づくりを行なったそうです。また、小麦を題材とした流通の授業の提案や、栽培化に伴う形質変化を題材とした理科の授業の提案など、様々な授業案が生まれました。

 

小麦は文明の黎明期から私たちのお腹を満たしてきた作物です。長い間人々の生活の中にあったからこそ、小麦は様々な切り口で教育に活かすことが出来る可能性を秘めていると感じました。

 

第126回千葉授業づくり研究会「SDGsカードゲームで持続可能な社会と世界とのつながりを考えよう!!」を開催しました。

 

11/17(土)に、第126回千葉授業づくり研究会「SDGsカードゲームで持続可能な社会と世界とのつながりを考えよう!!」を開催しました。今回は、株式会社チームイノベーションから、「2030SDGs」 カードゲーム公認ファシリテーターとして尾崎 麻紀様に来ていただきました。

近年、世界全体でSDGsに対する関心が高まっており、日本でも様々な取り組みがなされています。昨年には、国内外で人気を集めるタレントのピコ太郎さんが動画投稿サイトにてSDGsを紹介したことが話題になりました。

ここで、SDGsについてまずは整理しておきましょう。「SDGs(エスディージーズ)」とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年から2030年までの間に国際社会において達成されるべき17の目標と169のターゲット(具体目標)が定められています。

株式会社チームイノベーションは、「組織開発」、「ダイバーシティ推進」、「女性活躍推進」、「コーチング」に普段から取り組んでおり、組織のお悩み解決を専門にされているとのことです。「SDGsを組織の力に」ということを掲げ、SDGsとカードコーチングを掛け合わせたプログラムを独自に開発しているとのことで、今回はSDGsカードゲームを使ったワークを実際に私たちも体験させていただきました。

このブログでは、その様子をレポートいたします。

 

参加者は総勢18名。子供から大人まで様々な方々にお越しいただきました。なかには、3歳の子や受験生親子のご参加も。

以下のような流れで、全体のワークは進行していきました。

 

①司会からのご挨拶

②目的・ゴールの確認

③ワークを取り組むに当たってのマインドの確認

④写真カードを使って自己紹介

⑤SDGsの概要説明

⑥カードゲーム

⑦2030年までの自分のビジョンをつくる

⑧全体のまとめ

 

 

カードゲームでは、教室を一つの地球と捉え、プロジェクトカードを実行し、報酬をもらいながら各自に与えられたゴールの達成を目指していきました。流れは以下の通りです。

 

⑴ルールの確認

⑵10分間の行動タイム

⑶中間報告

⑷14分間の行動タイム

⑸最終発表

⑹カードゲームの振り返り、まとめ

地球の状況、自分の状況、周りの人の状況を気にしながら、時には交渉も必要となる、とても楽しいゲームとなっていました。なかには早々にゴールを達成してしまう人もいましたが、自分のゴールだけに満足してしまうと、他の人がゴールを達成するのが難しくなってしまいます。地球全体でSDGsの達成を目指すということがどういうことなのか体験することができました。

カードゲームでの振り返りを踏まえつつ、最後に2030年までに自分はどういうことをしていくかについて考え、全体のワークは終了しました。

 

 

振り返りの際には参加者から様々な意見があがり、「世界は全てつながっている、そして私もその起点の一つである!」といった声も上がりました。これから、学校教育のなかでどのようにSDGsに取り組むべきか、学校だけでなく個人でどのように関わっているべきかを考える重要な機会となりました。

 

文責:清水 浩貴(企業教育研究会)

2018年9月28日(金)~30日(日)に行われた、日本教育工学会第34回全国大会(於:東北大学)(https://www.jset.gr.jp/taikai34/)にて、研究成果を発表いたしました。

 

ITと社会のつながりを学ぶプログラミング教育
 配達におけるルートを考える実践から

○竹内 正樹(企業教育研究会),市川 陽子(伊藤忠テクノソリューションズ),藤川 大祐(千葉大学),和田 翔太,関谷 紳吾(企業教育研究会),阿部 学(敬愛大学)

 

 

SOSの出し方について考える授業プログラムの開発
 いじめ防止教材シリーズ「私たちの選択肢」の方法を用いて

◎阿部 学(敬愛大学),藤川 大祐,山本 恭輔(千葉大学),谷山 大三郎(ストップイットジャパン)

 

 

VR,ARを題材とした社会と最新技術についての授業開発

◎遠山 敬之,古林 智美,樋口 健(千葉大学)

※企業教育研究会の助成金を用いて授業開発を行った

 

 

多様な性について学ぶ動画教材の開発
 いじめ防止教材シリーズ「私たちの選択肢」の拡充

○藤川 大祐,片岡 洋子,山本 恭輔(千葉大学),阿部 学(敬愛大学),谷山 大三郎(ストップイットジャパン)

こちらは口頭発表を行いました。

 

 

研究や実践にご協力くださった皆様、ありがとうございました。

今後も、研究的な視点をもちつつ、授業開発をすすめてまいります。

 

10/20(土)に、第125回千葉授業づくり研究会「『プログラミングで学ぶ』をテーマとしたプログラミング教育」を開催しました。
今回は、新日鉄住金ソリューションズ株式会社より今野奈穂子様に来ていただきました。新日鉄住金ソリューションズ株式会社は、「プログラミングで学ぶ」をコンセプトに、小学生から大人まで学びを楽しむことができる ビジュアル・プログラミング・アプリケーションK3Tunnel(ケイサントンネル)を教育機関に無償提供し、プログラミング教育の推進活動を行なっています。
本ブログでは、その様子をレポートいたします。

近年、プログラミング教育に対する関心が高まっており、様々な教材がつくられています。
教材の多くは、『プログラミングを学ぶ』ことを目的としており、子どもたちが試行錯誤しながらプログラムを組むことが重視されています。
新日鉄住金ソリューションズ株式会社では「道具としてのプログラミング、特に数理的な分野への適用を重視したプログラミング学習ツールがあってもいいのではないか。 理科や社会、算数・数学をはじめ、さまざまな学習におけるより深い考察を促すツールとして利用できるサービスを提供できるのではないか」という思いよりK3Tunnel(ケイサントンネル)を開発されました。

今回は、そのK3Tunnelの中でも、実際に小学生を対象として授業実践が行われている2つの教材を体験しました。
①家電買い替え大作戦
②パン屋さんアドバイザー
参加者の中にはプログラミング未経験の方も多く、試行錯誤しながら真剣にプログラミングをする様子が見られました。
大人にとってもなかなか難しいもので、「ちょっと待って!」「今どこまで進んだ?」などの声が上がる場面も。
子どものほうが呑み込みが早いため、大人よりもできるスピードが速いそうです。

 

 

どちらの教材にも共通して大切にしていることは、
・プログラミング「で」教科を学ぶことができること。
・身近な問題を解決できる内容にすること。
・プログラミングそのもので困ることがないような手立てをすること。
・そのうえで、プログラミングの醍醐味も失わないこと。
・授業が入り口となり、その先の世界を垣間見ることができるようにすること。
とのことでした。

 

 

例えば、プログラミングをする際には、児童が手軽に”ヒント動画”やプログラムの”できあがり例”を確認できるため、マネをすれば誰でもプログラムを完成することができるような仕組みになっています。
プログラミングそのものについて考えるよりも、プログラミングを用いることでいかに問題解決ができるのかという点を実感できるようになっていることが分かりました。

非常に興味深い内容で、質疑応答の時間も活発な意見交換が行われました。
教科教育の中でプログラミング教育をどのように取り入れるか考える貴重な機会となりました。

 

 

文責:古川 孝太(企業教育研究会)

2018年9月1日付けで、NPO法人企業教育研究会の事務局長に和田 翔太(わだ しょうた)が就任しましたので、お知らせいたします。

今後ますます、社会的意義のある団体になれるよう努力してまいります。
これからもNPO法人企業教育研究会をよろしくお願いいたします。

6/16(土)に、第123回千葉授業づくり研究会「企業が取り組む教育CSR活動の意義と課題」を開催しました。

今回はアクセンチュア・イノベーション・ハブ東京にて、二部構成の研究会を行いました。

第1部では地方創生イノベーションスクール等において先進的なアクティブラーニングの取り組みを、第2部では先進的な教育貢献活動を行う企業様より具体的な取り組みとその背景にある思いをご講演いただきました。本ブログでは、その様子をレポートいたします。

 

 

休日にも関わらず、たくさんの皆様にお越しいただきました。企業、NPO、大学、学校等様々な立場の方にご参加いただき、有意義な時間となりました。

 

 

会場は「イノベーション・センター」、「ベンチャー」、「ラボ」、「スタジオ」の4つを結集させた「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京」。最先端のテクノロジーが揃った会場で盛大に行いました。

 

 

第1部の講師は、福島大学理事・副学長の三浦浩喜様。「プロジェクト学習と企業連携」というテーマのもと、地方創生イノベーションスクール等において取り組まれている先進的なアクティブラーニングの事例や企業と連携した教育を行う際のメリットや課題をお話しいただきました。

 

 

第2部の講師は、先進的な教育貢献活動を行う3社様より具体的な取り組みとその背景にある思い、今後の展望を伺いました。

 

 

日本アイ・ビー・エム株式会社様

テーマ:「日本IBMが取り組む社会貢献活動〜東京都共助社会づくりを進めるための社会貢献大賞受賞の取り組み〜」

実施プログラム詳細参照先:https://ace-npo.org/wp/archives/project/ibm

 

日本モンサント株式会社様

テーマ:「農業を支えるバイオテクノロジーとSTEM教育」

実施プログラム詳細参照先:https://ace-npo.org/info/monsanto-stem/

 

アクセンチュア株式会社様

テーマ:「Skills to Succeed~ アクセンチュアが取り組む企業市民活動と次世代人材育成」

実施プログラム詳細参照先:https://ace-npo.org/wp/archives/project/accenture

 

 

当日のTwitterでの発言がまとめられていますので、是非御覧ください。

 

第123回千葉授業づくり研究会「企業が取り組む教育CSR活動の意義と課題」

#千葉授業づくり研究会

 

これまで多くの企業様と授業づくりを行ってきました。今後は各企業様とのつながりをつくり、横断型の出張授業やカリキュラムづくりに取り組むことの意義と可能性を見出した有意義な研究会となりました。

今後も引き続き研究会を実施してまいります。ぜひ多くの方のご参加お待ちしております。

 

 

文責:谷山(NPO法人企業教育研究会)

 

雑誌「教職研修」 (2018年5月号)の記事の中で、熊本大学の鈴木克明先生より『企業とつくる「魔法」の授業』の書評をいただきました。

 

 

※記事画像について
教職研修2018年5月号〈特集:教員の「行き過ぎた指導」をどう防ぐか〉
[刊行日] 2018-04-19
[雑誌コード] 03059-05
p.112

無断転載を禁止します。

朝日新聞 (2018年4月15日)「日曜に想う」に、日本IBMと企業教育研究会の連携授業「数学が分かると未来が見える!?」の杉並区立井草中学校の実践事例が記事として扱われました。

 

ソフトバンク株式会社とNPO法人企業教育研究会が共同して進めている「考えよう、ケータイ」シリーズから第5弾「みんなで考えよう、スマートフォン」教材が登場します。

 

この取り組みは青少年が安心・安全なスマートフォン利用のための普及啓発を目的とし、情報モラル授業、また保護者会などで活用できるDVD教材をお送りしてきました。

 

4/1より「みんなで考えよう、スマートフォン」のお申し込み受付を開始致します。(なお4/1(日)は休日のため、お電話での対応は4/2(月)からとなります。)

 

詳細はソフトバンク株式会社から発表されたプレスリリース(以下のURL)をご確認ください。

https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2018/20180328_01/

 

「企業とつくる『魔法』の授業」発売いたました!

2002年の発足以来、NPO法人企業教育研究会は、多くの企業の方々とともに学校で求められる新たな授業プログラムを開発し、毎年数百件の出前授業を行ってきました。そして今、落合陽一さんが言う「魔法の世紀」にふさわしい授業を学校現場に提供すべく、新しい内容について新しい方法を用いて、授業づくりを進めています。新学習指導要領が求めている「社会に開かれた教育課程」に向けて、本書収録の「魔法」の授業にご注目ください。

『企業とつくる「魔法」の授業』特設サイト
http://ace-npo.org/book/

中学校・高等学校の授業支援を開始

日本モンサント株式会社(取締役社長:中井秀一)と、NPO法人企業教育研究会(理事長:藤川大祐、以下企業教育研究会)は、このたび、全国の中学校・高等学校で活用できる教材『農業を支えるバイオテクノロジー』を共同で開発し、全国の先生に無料配布を開始しました。

 

高校理科の生物分野、中学校・理科の遺伝に関わる単元、また中学校・家庭科の食品の選択に関わる単元で「遺伝子組換え作物」や「遺伝子組換え食品」が、教科書の中にも登場しています。日本モンサントが企業教育研究会と共同で開発した「農業を支えるバイオテクノロジー」は、理科や家庭科などの授業で、DNAや遺伝子の仕組み、遺伝子組換え技術や遺伝子組換え作物について、写真や動画、スライドや科学実験を用いて学習できる教材です。先生方が理科や家庭科、社会科などの授業の中で遺伝子組換え技術について解説したり、実験を行ったりできるようサポートするものです。教材は、映像教材やスライド、ワークシートのデータDVDと、指導案や解説をまとめた冊子がセットになっていて、無料配布となります。

 映像教材(一部)

授業進行用スライド(抜粋)

 

また、見た目では違いがわからない遺伝子組換えダイズと非遺伝子組換えダイズについて、タンパク質を検出することによって違いを確認できる実験キットも、遺伝子組換えダイズの実験用サンプルと共に無償での提供となります。このほか、企業教育研究会からは、学校教員の研修会や教育に関するイベントを対象に、授業実践のデモンストレーションや実践を行う講師派遣も実施します。

 

教材や講師派遣のお申し込み・お問い合わせは、「農業を支えるバイオテクノロジー」授業支援事務局(NPO法人企業教育研究会)までお問い合わせください。

 

教材は「農業を支えるバイオテクノロジー」Webサイトからもお申し込み可能です。

http://ace-npo.org/info/monsanto-stem/

 

「農業を支えるバイオテクノロジー」
企画 日本モンサント株式会社
制作 NPO法人企業教育研究会
監修 NPO法人くらしとバイオプラザ21

 

「農業を支えるバイオテクノロジー」授業支援事務局(NPO法人企業教育研究会)
TEL:03-5829-6108 受付時間 10:00~18:00(土日祝日を除く) Email:monsanto-stem@ace-npo.org

2017年9月15〜19日に行われた、日本教育工学会第33回全国大会(於:島根大学)(https://www.jset.gr.jp/taikai33/)にて、研究成果を発表いたしました。

 

Pepperを授業の進行役として活用する可能性:話し合いを中心とした情報モラル授業の実践から

◎竹内 正樹(企業教育研究会),藤川 大祐(千葉大学),阿部 学(敬愛大学),古林 智美(千葉大学),石原 友信(ソフトバンク)

 

集団における意思決定を学ぶ授業プログラムの開発(2):教材「ゆら社長のジレンマ」で取り上げるテーマと議論の実際

◎小牧 瞳,佐藤 康平(千葉大学),谷山 大三郎,和田 翔太(企業教育研究会),藤川 大祐(千葉大学),藤井 篤之(アクセンチュア)

 

また、大会1日目に行われたワークショップ企画にも参加いたしました。本企画では、弊会理事長・藤川大祐と副理事長・阿部学らが、株式会社LITALICOの野口晃菜さんとともに、「ゲーミフィケーションとケアとの対話」を主催しました。

このワークショップは、ゲームの要素やゲームデザインの手法を活用する「ゲーミフィケーション」と、何かしらの学校での営みで傷ついた学習者への「ケア」という2つの観点からの意見交流の場の提供を目的に開催されました。

 

また、学会最終日に開催されましたSIGセッションでは、「SIG-05ゲーム学習・オープンエデュケーション」にて副理事長・阿部が発表いたしました。自身が千葉大学で2016年に講師をつとめたグリー株式会社との共同授業「メディアリテラシー教育演習」での実践を取り上げながら、将来の「教育の情報化」の担い手育成に関してプレゼンしました。

 

研究や実践にご協力くださった皆様、ありがとうございました。

今後も、研究的な視点をもちつつ、授業開発をすすめてまいります。

2016年9月17〜18日に行われた、日本教育工学会第32回全国大会(於:大阪大学)(https://www.jset.gr.jp/taikai32/)にて、研究成果を発表いたしました。

ゲーム機でのネット接続を題材とした情報モラル教材の開発―アニメ教材の活用と話し合いを中心として―

竹内 正樹 [企業教育研究会], 阿部 学 [敬愛大学], 古林 智美 [千葉大学], 福永 憲一 [ソニー・インタラクティブエンタテインメント]

IoTをテーマとした高校生対象授業プログラムの開発

古林 智美 [千葉大学], 和田 翔太, 荒崎 智史, 吉田 尚央 [企業教育研究会], 藤川 大祐 [千葉大学], 小川 愛, 高良 理 [日本アイ・ビー・エム]

集団における意思決定を学ぶ授業プログラムの開発―教材「ゆら社長のジレンマ」の有効性と課題―

小牧 瞳 [千葉大学], 谷山 大三郎, 和田 翔太 [企業教育研究会], 藤川 大祐 [千葉大学], 藤井 篤之 [アクセンチュア]

また、大会前日に行われたワークショップ企画では、弊会理事長・藤川と副理事長・阿部が、マンガ家・すがやみつる先生とともに、「教材開発におけるクリエイティビティとは何か?―学習効果の周辺を考える」を主催しました。これまで企業教育研究会が制作した教材も取り上げながら、これからの時代の教材づくりについて、参加の皆様とともに検討しました。
※ ワークショップについての簡単なまとめがアップされています。 http://togetter.com/li/1025436

研究や実践にご協力くださった皆様、ありがとうございました。
今後も、研究的な視点をもちつつ、授業開発をすすめてまいります。

NPO法人企業教育研究会と株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントが開発した教材「オンラインゲームとの付き合い方を考えよう!」が、第32回学習デジタル教材コンクールにて、奨励賞を受賞いたしました。開発や実践にご協力くださった皆様に、感謝申し上げます。

本教材では、流行するオンライン対応ゲームで起こりうるトラブルを、オリジナルのアニメーションで描きました。アニメの主人公らがトラブルに遭いそうになってしまう場面までを描いています。アニメの視聴後、「どうしてトラブルになってしまったのだろう?」「トラブルにならないためにはどう行動すればよかったのだろう?」ということを、子どもたち自身で話し合い、考えてもらいます。「暴言編」「個人情報編」「長時間編」の3つのテーマがあります。

今後、本教材を活用する出前授業を行っていく予定です。募集開始については、企業教育研究会HPにてお知らせいたします。

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