2025年9月4日(木)、女子聖学院中学校高等学校 中学3年生の生徒のみなさんへ、ソニー株式会社(以下、ソニー)と企業教育研究会(ACE)とでお届けしている「カメラで学ぼう! ~光の原理と画像処理技術~」の出張授業を実施しました。

  

授業では、たくさんの活動や実験をするのですが、生徒のみなさんがキラキラした目で体験してくれている様子が印象的でした。

またこの日は、午後の授業がメディアに向けて公開され、テレビや新聞社など3社の取材が入りました‼

  

和やかに楽しく実施された授業。このブログ記事では、当日の授業の様子を紹介します。

「カメラで学ぼう! ~光の原理と画像処理技術~」の授業プログラムとは

誰もがスマートフォンやタブレットを手にし、美しく素敵な写真や動画が簡単に撮影できる時代になりました。言うまでもないことかもしれませんが、何気なく使っているこれらを支える高い技術力は、関連する基礎的な教科学習が存在します。

  

私たちACEは、学校での日々の学びが社会とどのように繋がっているのか、そしてその先にどんな世界が広がっているのか、子どもたちがワクワクした気持ちで学ぶ時間を大切にしています。

  

ソニーと連携し、カメラを入り口にした本授業プログラムでは、「理科・光の性質」との関連に注目し開発しました。授業の中で生徒たちは、凸レンズや凹レンズを使った実験を通して、光の性質やレンズの役割を体感し、カメラのレンズが複数のレンズの組み合わせでできていることを学びます。また身近なスマートフォンを取り上げ、レンズで集めた光がどのようにデータとして記録されるのかや、最近の画像処理技術等について知り、私たちの豊かな日常生活に活かされていることを学びます。

  

学校の授業においては、総合的な探究の時間、キャリア教育、理科(第一分野・身近な物理現象「光の性質やレンズの役割」)の発展学習として、授業1コマ(50分)で活用いただける内容になっています。ソニーで実際にカメラに関わる仕事を担当する社員の方と共に、美しい写真たっぷりのスライドを携え授業に伺います。

「カメラで学ぼう! ~光の原理と画像処理技術~」の詳細はコチラ

◆良い写真とは?

さっそく授業が始まりました。本日の授業はクラス毎4回実施。講師はソニーのソフトウェア技術部・大倉さんと商品設計部・高橋さん。進行役はACE職員の山田さん、学生スタッフ神崎さんが順番に担当しました。

  

授業はまず、鳥、イルミネーション、プリンの3つの異なる写真が提示され、「皆さんは、3枚の写真の中で、どれが『良い写真』だと思いますか?」という問いかけから始まりました。

食欲をそそったのか、女子聖学院のみなさんにはプリンの写真が大人気の様子です!

そして選んだ写真について、班ごとにそれぞれその写真が良いと感じた点について「奥まできれいに撮れている」「ボカシが入っていて雰囲気がいい」「すごくおいしそう」など意見を交わしました。

  

それに対し、ソニー講師の大倉さん、高橋さんは「実はこのなかで、これがいい写真ということは決められません。皆さんがそれぞれいいと思った理由があるように、撮る人や見る人によっていい写真は様々です。ソニーでは撮影者が楽しんで望む写真を取れるように色々と製品の工夫をすることを大切にしています」と説明しました。

  

今日の授業では、レンズ、イメージセンサー、画像処理の3つの工夫について、実際のカメラの部品を見たり、実験を交えたりしながら、学びを深めていきます

◆レンズの役割とは?カメラの仕組みとは? 凹レンズ凸レンズを用いて実験&体験!

さあ、まずはカメラの重要な部分であるレンズの役割と仕組みについての学習です。

  

「皆さん、小学生の頃、虫眼鏡で光を集めたことを覚えていますか?」とスライドを見せると、「おおー!」と反応が。

虫眼鏡で紙を燃やした経験について印象強く記憶がある様子です。

さらに、「虫眼鏡の役割は覚えていますか?」と問いかけると、生徒たちは「光を集める」「光を屈折させる」などの発言をしてくれます。凸レンズは光を屈折させ、一点に集めることができるという特徴をふりかえりました。

  

次に、カメラにも光を集めるレンズが入っていることを紹介し、「カメラのレンズを通して見る像、つまり写真として見る像と、凸レンズで見る像とでは、どんな違いがあるでしょうか?」と、カメラのレンズと凸レンズで見たそれぞれの像の画像を提示しました。

  

生徒たちは「凸レンズは拡大されているが少しぼやけている」「カメラの画像は画質がいい」「カメラの画像はピントが合っている」など、具体的な違いを挙げています。

  

ではカメラのレンズと凸レンズではなぜ見え方が違うのか…それはカメラレンズの中身に秘密が‼

  

その秘密を説明するため、この授業には特別に「切断されたカメラ用のレンズ」を用意しています。

真っ二つのレンズは、この授業のためにソニーが用意してくれた特別教材です‼

  

普段見ることのできないレンズの内部構造に、生徒たちは興味津々といった様子。

大倉さん、高橋さんは各班を回って切断されたレンズを直接見せてくださり、凹レンズとも凸レンズとも判断のつかない形のレンズについて質問するなど、生徒たちはその構造を熱心に観察していました。

生徒たちにレンズを見た感想を聞いてみると、「カメラレンズの中にこんなにたくさんのレンズが入っているとは知らなかったので驚きました」「デジタルカメラやインスタントカメラはどうなっているのか気になります!」などと教えてくれました。

  

また、なぜこんなにもたくさんのレンズをカメラレンズの中で重ねているのか考えてもらいました。

  

すると、「いろいろな距離の撮りたいものにピントを合わせるため?」「きれいな写真を撮るため?」「調節?」「レンズが一枚しかないと像が反転してしまうのかな?」などと生徒たち。

  

その意見に対し、ACE進行役の山田さん、神崎さんは各班を回りながら、「いいね。たとえば、どんな写真がキレイな写真だと思う?それはレンズがたくさんあることで可能になること?」「調節とは何を調節すると考えたのかな?」など、子どもたちの学びを深める声掛けを欠かしません。

ソニー講師より、「カメラのレンズの中には、凸レンズの他に凹レンズなど、様々な形をした複数のレンズが組み合わさっています。凸レンズは光を一点に集め、凹レンズは光を拡散する性質を持ちます。カメラのレンズは、撮影者が望むように像を映す必要があります。複数のレンズを組み合わせることで狙った光を集めているのです。」と解説がありました。

  

さらに、この光の集め方は中学校・理科で学習する(レンズの)「焦点」と関係していることが説明されました。

ちなみにこの焦点の位置はレンズによって変わります。複数のレンズを組み合わせこの焦点の位置を調整することで、望む写真が撮れるようになるのですね。

  

そしてこの原理を体験するため、生徒たちは実際に凸レンズと凹レンズを組み合わせて遠くを見る実験を行いました。

目から手前に凹レンズ、奥に凸レンズを持ち、凸レンズを動かしてレンズ間の距離を変えると焦点の距離が変わり、光の集まり方(像)が変わります。

  

実験中は「めっちゃ見える―!」「大きく見える!」などとレンズを2枚使うことで起きる変化をしっかりと実感しています。


レンズが1枚だけの時よりもレンズが複数になることで、しっかりとピントを合わせ見たいものを捉えられることを体感しました。

そうなると、実際のカメラのレンズにも興味がわきますよね。

そこで、さまざまなレンズの工夫によって撮影できる写真の違いについても紹介しました。

  

まずは望遠レンズです。

望遠レンズは、遠くのものを拡大して撮影できるレンズ。

ソニー講師は「小さな範囲の光を効率的に集めるため、複数の凸レンズを組み合わせています。」と紹介。

  

「では実際に撮ってみましょう!」と、大倉さん、高橋さんはバズーカ砲のような迫力あるレンズをカメラに付け、カメラをみんなに向けます!

生徒たちは、「待って!待って!」と言いつつポーズをしてくれる生徒や、「変に映ったら黒歴史!」とワイワイ楽しそう!

生徒さんと年齢の近いACE学生スタッフ神崎さんからも、「表情管理は大丈夫ですか?」と大盛り上がりです。

  

さてさて、どんな写真が撮れたのか結果は…

なんと、望遠で鮮明に撮ったのは教室最奥に位置する棚の中のメスシリンダーのメモリでした‼

これには生徒さんたちも拍子抜け。

  

その後、ズームレンズの紹介を踏まえ、広角に撮影すると手前から広く画角を取れることを紹介がてら、今度こそ生徒のみなさんを被写体とした写真も撮影しました。

他にも撮りたいシーンに合わせて様々なレンズがあることを紹介しつつ、カメラレンズも凸レンズと同じように光を集めており、様々なレンズを組み合わせることで光の集まり方を変え、目的に合った写真を撮れるようにしていることが理解できました。

◆レンズで集めた光は、どのように画像や映像になるの?イメージセンサーと光の三原色。 

授業前半では、カメラに欠かせないレンズについて理解を深めました。

では、レンズで集められた光は、どのようにして画像として記録されるのでしょうか。

次に学んだのは、イメージセンサーについてです。

  

今、私たちの身の回りにあるほとんどのカメラはデジタルカメラといい、映像や画像をデジタルデータとして記録しています。

そしてその撮影した画像を拡大してみると、一つ一つの色のブロックで表現されています。

  

イメージセンサーとは、このレンズで集めた光(像)をデジタルデータに変換するための部品です。

  

大倉さん、高橋さんは、実際にカメラからレンズを外して内部にあるイメージセンサーを見せ、また、部品として別に持ってきているイメージセンサーを班ごとに配ってくださいました。

イメージセンサーは、ホコリや指紋がつくとそれが映像として反映されてしまうので、普段は絶対触ったりできない部品とのこと‼一生触ることがないかもしれない貴重な部品を間近で観察します。中にはレンズで拡大して観察している生徒も!

  

「イメージセンサーは、フォトダイオードと呼ばれる無数の半導体が集まってできています。フォトダイオードに光が当たると電気が流れ、光の強弱を電気信号に変えることができます。しかし、フォトダイオードだけでは色の種類を判別できません。

光の色を情報として得るために、イメージセンサーではフォトダイオードの上に3種類の色分けされたカラーフィルターを置いています。」と説明し、フィルターの色の組み合わせは、光の三原色で構成され、全ての可視光はこの3種類の組み合わせで表現できることを伝えました。

  

レンズから入ってきた光は、カラーフィルターで光の三原色に分解され、それぞれの色ごとの光の強さを数値情報に変えて写真として記録されているのです。イメージセンサーの大きさが写真撮影に与える影響についての解説もあり、生徒のみなさんはイメージセンサーが要となる重要な部品であることを実感できたと思います。

スマホのカメラはなぜ複数あるの?最新技術「複眼」の秘密

いよいよ最後の要素、最新のカメラを支える画像処理技術について学びます。

私たちにとってもっとも身近なカメラであるスマートフォン。ソニーでもXperia™というスマートフォンを製造しています。

  

では、このスマートフォンの小さなボディに、これまで見てきたレンズやイメージセンサーはどのように収まっているのでしょうか?

  

実は、非常に小さい空間ですが、スマホにも複数枚のレンズとイメージセンサーが入っています。大きなレンズやセンサーをそのまま搭載することは難しいので、さまざまな工夫をしています。その一つが『複眼』といって、カメラを複数つける点です。

実際にXperiaの背面を見ると、3つのカメラレンズが見えます。

生徒たちはカメラアプリを起動し、スマホに搭載されている3つのカメラレンズのうちの1つを指で隠し、カメラアプリ内で倍率を変える実験を行いました。すると、とある倍率になるとスマホ画面が指で隠している暗い画面に。

  

実は、被写体が映らず、隠した指が画面に表示される時に選択していたカメラのズーム倍率は、自分たちが指で隠したカメラレンズが担当している倍率なのです!

  

普段スマホのカメラを使う時、何気なくズーム機能を使っていますし、その動きはとても滑らかですね。

しかし、ズームインアウトを繰り返している時、スマートフォンでは使用しているカメラが切り替わっているのですね。

その仕組みについて理解すると、「初めて知った知識だ!」と深く感心している生徒さんもいました。

さらに、スマートフォンならではの画像処理技術についても解説がありました。

  

一眼レフカメラでは大きなレンズで表現されているボカシについて、スマートフォンではコンピューターの処理によってボカシの要素を表せるようデータを変換しているという点や、スマートフォンには小さなイメージセンサーしかなくても明るく鮮明な画像を作り出せるのは画像処理の効果が大きいとの説明がありました。

スマートフォンで画像映像をたくさん撮るお年頃のみなさん、その技術に関心を持ち、驚いている様子でした。

  

生徒たちは普段何気なく使っているスマートフォンのカメラが、たくさんの技術に支えられていることを実感していました。

◆授業まとめ 

授業の最後は、ソニーの大倉さん、高橋さんからご自身の普段のお仕事について紹介がありました。

  

大倉さんは、私たちがスマホやカメラで簡単にピントを合わせられる「オートフォーカス」のソフトウェア制御開発を担当されています。動き回るJリーグの選手や、高速で走るバイクレースの撮影現場にも出張して性能を確認することもあるそうです。「改善した性能を、実際のカメラマンから『すごく良かった』と言っていただけるのが嬉しい」と、仕事のやりがいを話してくれました。

  

高橋さんは、バッテリー設計などカメラの電気設計を担当されています。例えば、バッテリーの持ちをよくすることと、カメラの性能を最大限に引き出す電気を十分に供給するという、一見矛盾する要素をどう両立させるかの検討などをしているとのこと。「この2つのバランスをどう最適化するか、その答えを導き出すのが私たちの役割です」とお話しくださいました。

  

最後にACEの山田さんから、「今日の授業で、学校で習ったことが、世の中のさまざまな仕事と深く関わっていることを感じてもらえたら嬉しいです」と授業を締めくくりました。


【児童の感想より】

(アンケートより抜粋紹介)

・フォトダイオードやカラーフィルターなどはじめて見る実は身近にあるものを見られて楽しかったです!
・最新のスマホのレンズの数が多い理由がわかりました。
・中学生で習うことが企業の製作で使われていると知って基礎的なことでもしっかり覚えておこうと思いました。
・今まであまり理科に興味がなかったけれど今回の授業を受けて理科も意外と面白いなと思えました。
・普段の授業とは違い、基礎知識を応用させる授業が楽しかったです。これからもいろんな人の話を聞きたいと思いました。
・私はこれまで、写真を単にそのまま貼り付けるように記録しているだけだと思っていたので、複雑な仕組みによって1枚の写真が成り立っていると知りとても驚きました。たくさんのセンサーが協力して情報を処理していることに、技術のすごさを実感しました。


女子聖学院 神作 純子 教諭より

中高一貫の本校では、近く高校進学判定テスト(主要5教科)が予定されているため少しでも既習項目への復習になれば…と2学期早々の実施を依頼しました。想像よりも生徒たちは現代の技術に関心を寄せ、快適さや便利さは日々の学習に基本があると関連付けられたようです。外部講師による実験授業も非常に新鮮で、沢山の見学者の存在も刺激的だった様子でした。授業1コマでは勿体ない内容で、様々な実物を手に取れたことも貴重な体験となりました。


ソニーご担当 山川 奈沙さまより

私たちは、理系人材の育成を目的に、ACEさんと本授業を実施していますが、理系人材の育成には、理科に関する興味関心の向上とともに、学んだ知識を生かす職業に対する認知の向上も大切です。

  

授業開発にあたっては、まずは皆さんが興味を持てるよう、題材を馴染み深い「カメラ」にすることに加え、講義を聞くばかりにならないよう「体験」の時間を重視しました。今日の授業でも、凸レンズ・凹レンズを使った実験や、切断したレンズの観察、望遠レンズの実演などを通して、何度も「すごい!」という驚きの声を聞くことができたので、今日を機に、理科への興味を高めてもらえると嬉しく思います。

  

また、今回講師を務めた2名は、実際にカメラの開発に関わっているエンジニアと呼ばれる社員です。中学生の皆さんには、もしかすると馴染みの薄い職業かもしれませんが、身近な製品に理科で学ぶ知識が生かされていることに加え、その知識を生かした職業があることを知ってほしいと思います!


この日の授業ではメディア3社が取材に訪問されました。
取材体験も、生徒のみなさんにとってよい思い出になったのではないでしょうか。

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