2025年8月29日、中央区立佃中学校にて「デジタルシチズンシップ教育」をテーマにした教員研修を担当させていただきました。今回ご参加くださったのは32名の先生方。スマホやインターネットとのより良い関わり方を、先生方と一緒に考える貴重な時間となりました。
| 日時 | 2025年8月29日(金曜日) |
| 場所 | 中央区立佃中学校(学校名) |
| 対象 | 教員(対象者:生徒、教員など)の皆さん 32名 |
| テーマ | デジタルシチズンシップ教育 |

千葉県の元教員で小・中学校で25年、行政9年、通算34年間勤務。
平成15年に 千葉大学教育学部発の教育NPOである「NPO法人企業教育研究会」の立ち上げに関わり、以降理事として企業と連携した授業開発を中心に活動。
令和3年度末をもって富里市立富里南小学校の校長を定年より5年早く退職し、令和4年度から「NPO法人企業教育研究会」で授業開発研究員として勤務し、企業と連携してキャリア教育や食育、情報モラル教育等々の授業開発を担当。
その傍ら、千葉大学や敬愛大学で教職を目指す学生に教鞭をとったり、千葉県教育庁情報モラル授業派遣講師や千葉市のアントレプレナーシップ教育事務局を担当したりする等している。
私が中学校に初めて勤務したのは2018年度のことです。SNSをめぐるトラブル指導をした翌月に、また同じようなトラブルが起きる。そんな繰り返しに、どうしたら根本的に解決できるのかと悩んだことをよく覚えています。
授業を参観すると、生徒たちはグループで「正しい対処方法」をしっかり語っている。にもかかわらず、トラブルは減らない。この経験から「危険だからやめよう」という指導だけでは限界があるのではないかと感じました。
そこで私が意識し始めたのが、「負の側面を避ける」から「どうポジティブに活用するか」へと視点を転換すること。
その考えを土台に、「Facebook」や「Instagram」を運営するMetaの日本法人、Facebook Japanと連携した「デジタルシチズンシップと情報発信」の出張授業が生まれました。
研修では、SNSの好事例を紹介しながら「自分や仲間、社会にとって幸せな使い方とは?」をテーマにディスカッションを行いました。
先生方からは、
「従来の情報モラル教育とは異なる切り口で新鮮だった」
「これからの生徒指導のヒントになった」
といった感想をいただきました。
特に「禁止」や「注意」から一歩進んで、「活用」へと視点を広げることの可能性を感じていただけたことは大きな成果だと感じています。
研修を通じて改めて実感したのは、大人も子どもも一緒に「どうテクノロジーを活かすか」を考えることの大切さです。
スマホやネットは、避けて通れない存在です。だからこそ、否定ではなく「どう使えば社会をより良くできるか」を問い続けることが重要だと考えています。
今回の研修が、その第一歩になっていれば嬉しいです。
佃中学校の先生方、本当にありがとうございました。
2025年9月2日(火)、板橋区立赤塚第二中学校3年生の生徒の皆さんへ、ソニー株式会社(以下、ソニー)と東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)、そして企業教育研究会(以下、ACE)の3社でお届けしている「キャッシュレスってなんだろう?~電子マネーから学ぶ、キャッシュレスと経済のしくみ~」の出張授業を実施しました。
この日は学年を3つのグループに分け、2コマ×3回の授業を展開しました。このblog記事では1~6時間目まで実施した授業のうち、3、4時間目の様子を紹介します。
近年、キャッシュレス決済の活用の場がさらに広がり、私たちの生活にとても身近なものになっています。それに伴い、多様化した購入・支払い方法の特徴やメリット・デメリットを子どもたちも理解した上で活用していくことが求められています。本授業では、子どもたちが社会との関わりを実感しながらキャッシュレス決済の技術や意義を理解し正しく活用できるように、キャッシュレスに関わる事業者であるソニーとJR東日本と共に学びます。
この授業は、教科横断的な内容が特徴です。家庭科や社会科、理科と結びつきながら、キャッシュレスの技術や経済の仕組みを学びます。50分×2コマの構成で、座学とグループワークをバランス良く取り入れた充実した授業プログラムとなっています。
3,4時間目の講師を務めるのは、ソニーの早乙女(そうとめ)さん、JR東日本の山口さん、宮澤さん、そしてACEの瀬尾さんの4名です。教室でない部屋、2クラス合同、そして講師4名の他にも関係者の大人が複数名後ろで見学しているという状況だったので、生徒たちはいつもと違う雰囲気に少し緊張気味での授業スタートです。



まず、「モノを買ったりサービスを受けたりするとき、普段どのような方法で支払っていますか?」というシンプルな問いが投げかけられました。近くの人と話しながら考える中で、最初の緊張感は一気に溶け、様々な支払い方法の意見が出てきました。現金、PayPay、交通系ICカード、クレジットカード、プリペイドカード、図書券などなど。「PayPayは使うけど結局現金かなー」「クレジットカードってどんな仕組みなのかよくわからない」「9割がキャッシュレス」と様々な声が聞かれましたが、全体的には現金支払いとそれ以外の併用をしている実態のようでした。その後、現金以外の支払い方法を「キャッシュレス決済」と呼ぶことや支払い方法の移り変わりを確認したのち、キャッシュレス事業者として、ソニーとJR東日本の講師3名がそれぞれ自己紹介・会社紹介をしてくださいました。
続いて、キャッシュレス決済の技術のひとつとして、ソニーが開発した非接触技術FeliCaが紹介されました。生徒にとっても馴染みがある、カードやスマートフォンを端末にかざして「ピッ!」と支払う技術のひみつを紐解いていきます。まずは生徒1人1枚ずつ、スケルトンカードが配布され、カードの中身を観察しました。生徒の皆さん、手に取ると興味津々で「こんなふうになっているんだー」「すごいなぁ」と嬉しそうにカードを眺めています。ソニーの早乙女さんから全体に向けてスケルトンカード内の中身について詳しい紹介もありました。



カード内の中身がわかったところで、それを使ってどうやって決済しているのかという疑問を実験で解説していきます。下部写真にあるようなスケルトンカードと同じ仕組みを模したコイルを巻いたシートをICカードリーダーにかざすと、電池がないのにLEDランプが点灯!「どうして光ると思いますか?」という問いかけに、「電磁誘導・・・」とつぶやきが聞こえました。中には、フレミングの法則で手をかたどっている生徒も。中学3年生にとっては既習内容ということもあり、電磁誘導の原理を生かしてFeliCa技術が成り立っていることをすんなり理解できたようです。生徒たちは、電磁誘導の原理が私たちの身近なところで活用されていることに驚いていました。



このあと、キャッシュレス決済におけるお金のやりとりや3つの支払い方法(前払い・即時払い・後払い)について、JR東日本の山口さんからスライドのアニメーションを使って丁寧に解説されました。


続いてキャッシュレス決済の利便性について考えました。「持ち運びやすいよね」「残高が分かりやすい」「おつりが出ないのがいい」など各グループで様々な意見が出ていました。生徒の皆さん、キャッシュレス決済のメリットについてすでに実感している様子です。「履歴が見やすい」というメリットについては、実際の利用履歴を見てみようということで、今回はなんと学年担当の城山先生のSuicaの履歴を見せていただくことに!城山先生のSuicaをリーダーにかざし、スクリーンに利用履歴一覧が表示されると、「わぁー!!」と盛り上がる生徒たち。履歴から先生の日常を垣間見ることができ、身近な情報が記録されていることに皆、興味津々な様子でした。
また、消費者の視点だけでなく、店舗側のメリットについても考察しました。初めは「なかなか思い浮かばない~」と嘆いていた生徒も、グループの友達と話し合う中で、「おつりの間違いがない」「売上を数えなくてよくなるのでは?」「店員の不正も防げる」などどんどん意見が挙がってきました。この学年の皆さんは普段の学校生活の中で話し合い活動を意識的に行っているそうで、皆で話し合うことに慣れており、意見を出し合い互いに高め合うことがとても上手な印象がありました。
と、ここで3時間目が終了の時間に。4時間目は「キャッシュレス決済のメリットとデメリットを具体的に考えるワークを行う」ことを予告し、休み時間に入りました。
4時間目がスタートしました。グループワークでは、消費者と店舗、それぞれの立場にキャラクター設定をすることで、キャッシュレス決済のメリットを具体的に考察していきます。都内で一人暮らしをする社会人や、商店を営む店主など、生徒はそのキャラクターの立場に立って考え、グループの皆で議論し合います。ときに机間支援してくれている講師の方々と対話しながら、話し合いは盛り上がっていました。時間目いっぱいまで各グループわきあいあいと活動していました。


発表は、各グループが自分たちの端末で作ったGoogleスライドをスクリーンに提示し全体に共有するスタイルで行われました。どのグループも各キャラクターの性格や置かれた状況をしっかり把握した上でメリットを考え、発表してくれていました。


また、中には追加課題「キャッシュレスがもっと広まった社会はどうなるか」にチャレンジしたグループもあり、「すでに海外で普及し始めている‘手首にチップを埋め込んで決済する方法’がもっと広がる未来があったらより便利になると思います。」と発表してくれました。JR東日本の宮澤さんから「日本でも利用が広がる未来は近いかもしれませんね。皆さんの気付きというのは、未来へのヒントとして重要だと思います」とのコメントが。中学生のような若い世代から生まれる気付きやアイディアは大人にはない発想や視点もあるので、とても参考になる、とおっしゃる企業の方々も多いです。出張授業をすることは、子どもたちだけでなく、企業の方々にとっても有意義な機会となるようです。
このグループワークを通して、生徒の皆さんはキャッシュレス決済を利用するメリットを具体的により深く考えられたことと思います。
一方で、ワークを進める中でキャッシュレス決済の「気を付けなくてはいけない面」に気付いていていたグループもありました。そこで全体で考えてみることに。生徒からすぐに手が挙がり、「使いすぎてしまうことが危険」「詐欺に合ってしまうかもしれない」という意見が出ました。まさにその通り、ということでJR東日本宮澤さんからもどんなことに気を付けていけばいいか、注意点や問題が起こったときの対処方法について具体的な解説がありました。リスクをしっかりと把握した上で気を付けながら賢く活用していくことが大事だということです。
便利なキャッシュレス決済ですが、実際日本でのキャッシュレス決済普及率は意外にも40%ほどで、世界から見るとまだまだ後進国。国としてもコストのかかる現金決済からキャッシュレスへシフトするべく、普及率80%の目標を掲げています。各キャッシュレス事業者の企業も様々な取り組みや試みを行っており、社会全体でキャッシュレス決済の普及を目指しているそうです。そこで、ソニーとJR東日本の企業としての取り組みを紹介。ソニーは海外での活用例について、JR東日本は「Beyond Station構想」やSuicaの機能拡充について、それぞれ未来に向けた挑戦について語っていただきました。生徒のみなさんは熱心に耳を傾けていて、内心とてもわくわくしていたことと思います。
最後に、キャッシュレス事業者の講師の3人から、ご自身の仕事内容とそのやりがいについてお話をいただきました。
ソニーの早乙女さんからは「いろいろな業界の人と仕事して視野を広げたり、事業を盛り上げたいという同じ思いをもった仲間がたくさんできたりすることが楽しくて嬉しい」というお話が。JR東日本の山口さんと宮澤さんからは、自分の関わっている仕事について、お客さまに喜んでもらったり世の中で認められたりしたときに達成感や喜びを感じる」とのお話がありました。こうやって実際に社会で働く大人から働く様子ややりがいを直接うかがえるのは、生徒の皆さんにとって自分の将来について考える際のヒントや貴重なきっかけになったと思います。

ここまで充実の内容の100分。最後に授業のまとめを行い、授業はここで終わりました。今回の授業を通して、生徒の皆さんがキャッシュレス決済を賢く使いこなすためのヒントを得て、未来の社会を「自分ごと」として捉えるきっかけになったことを願っています。
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キャッシュレスは現金を持ち歩かなくて良いので便利だし、後払いや前払いが選べるから支払いに融通が利くし、支払いが早く済むなどのメリットがあると思いました。一方で、やっぱり不正利用などのセキュリティが心配だったり、使いすぎたりというデメリットもあるから、そこのバランスを考えて、自分はキャッシュレス決済と向き合っていきたいなと思います。
社会の第一線で活躍されている企業の方々から直接お話を聞ける機会をつくりたいと思い、この授業を申し込みました。この内容は社会科の公民分野の経済のところに関連する学習ですが、今回の体験が生徒たちにとってキャッシュレス決済をより自分事として捉えるきっかけになっていたら嬉しいなと思います。
お金の払い方には色々な方法があることが分かったのではないでしょうか。今回の授業をきっかけに、自分に合うお金の使い方を自分たちで考えてほしいと思います。また、キャッシュレスの仕組みやその利点に興味を持っていただけたら嬉しいです。将来の生活に役立つ知識を身につけて、より良い選択ができるようになってほしいです。
キャッシュレス決済によって、皆さんの生活がどのように便利になるのかを実感していただきたいという思いで、今回の授業プログラムへ参加いたしました。グループワークの時間では、生徒の皆さん一人ひとりにキャッシュレス決済の具体的な利用シーンとそのメリットについて真剣に考えていただきました。今回の授業がきっかけとなり、皆さんにとってキャッシュレス決済がより身近な存在となってくれていたら嬉しいです。
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2025年9月4日(木)、女子聖学院中学校高等学校 中学3年生の生徒のみなさんへ、ソニー株式会社(以下、ソニー)と企業教育研究会(ACE)とでお届けしている「カメラで学ぼう! ~光の原理と画像処理技術~」の出張授業を実施しました。
授業では、たくさんの活動や実験をするのですが、生徒のみなさんがキラキラした目で体験してくれている様子が印象的でした。
またこの日は、午後の授業がメディアに向けて公開され、テレビや新聞社など3社の取材が入りました‼
和やかに楽しく実施された授業。このブログ記事では、当日の授業の様子を紹介します。
誰もがスマートフォンやタブレットを手にし、美しく素敵な写真や動画が簡単に撮影できる時代になりました。言うまでもないことかもしれませんが、何気なく使っているこれらを支える高い技術力は、関連する基礎的な教科学習が存在します。
私たちACEは、学校での日々の学びが社会とどのように繋がっているのか、そしてその先にどんな世界が広がっているのか、子どもたちがワクワクした気持ちで学ぶ時間を大切にしています。
ソニーと連携し、カメラを入り口にした本授業プログラムでは、「理科・光の性質」との関連に注目し開発しました。授業の中で生徒たちは、凸レンズや凹レンズを使った実験を通して、光の性質やレンズの役割を体感し、カメラのレンズが複数のレンズの組み合わせでできていることを学びます。また身近なスマートフォンを取り上げ、レンズで集めた光がどのようにデータとして記録されるのかや、最近の画像処理技術等について知り、私たちの豊かな日常生活に活かされていることを学びます。
学校の授業においては、総合的な探究の時間、キャリア教育、理科(第一分野・身近な物理現象「光の性質やレンズの役割」)の発展学習として、授業1コマ(50分)で活用いただける内容になっています。ソニーで実際にカメラに関わる仕事を担当する社員の方と共に、美しい写真たっぷりのスライドを携え授業に伺います。
さっそく授業が始まりました。本日の授業はクラス毎4回実施。講師はソニーのソフトウェア技術部・大倉さんと商品設計部・高橋さん。進行役はACE職員の山田さん、学生スタッフ神崎さんが順番に担当しました。
授業はまず、鳥、イルミネーション、プリンの3つの異なる写真が提示され、「皆さんは、3枚の写真の中で、どれが『良い写真』だと思いますか?」という問いかけから始まりました。


食欲をそそったのか、女子聖学院のみなさんにはプリンの写真が大人気の様子です!
そして選んだ写真について、班ごとにそれぞれその写真が良いと感じた点について「奥まできれいに撮れている」「ボカシが入っていて雰囲気がいい」「すごくおいしそう」など意見を交わしました。
それに対し、ソニー講師の大倉さん、高橋さんは「実はこのなかで、これがいい写真ということは決められません。皆さんがそれぞれいいと思った理由があるように、撮る人や見る人によっていい写真は様々です。ソニーでは撮影者が楽しんで望む写真を取れるように色々と製品の工夫をすることを大切にしています」と説明しました。
今日の授業では、レンズ、イメージセンサー、画像処理の3つの工夫について、実際のカメラの部品を見たり、実験を交えたりしながら、学びを深めていきます
さあ、まずはカメラの重要な部分であるレンズの役割と仕組みについての学習です。
「皆さん、小学生の頃、虫眼鏡で光を集めたことを覚えていますか?」とスライドを見せると、「おおー!」と反応が。
虫眼鏡で紙を燃やした経験について印象強く記憶がある様子です。

さらに、「虫眼鏡の役割は覚えていますか?」と問いかけると、生徒たちは「光を集める」「光を屈折させる」などの発言をしてくれます。凸レンズは光を屈折させ、一点に集めることができるという特徴をふりかえりました。
次に、カメラにも光を集めるレンズが入っていることを紹介し、「カメラのレンズを通して見る像、つまり写真として見る像と、凸レンズで見る像とでは、どんな違いがあるでしょうか?」と、カメラのレンズと凸レンズで見たそれぞれの像の画像を提示しました。
生徒たちは「凸レンズは拡大されているが少しぼやけている」「カメラの画像は画質がいい」「カメラの画像はピントが合っている」など、具体的な違いを挙げています。
ではカメラのレンズと凸レンズではなぜ見え方が違うのか…それはカメラレンズの中身に秘密が‼
その秘密を説明するため、この授業には特別に「切断されたカメラ用のレンズ」を用意しています。
真っ二つのレンズは、この授業のためにソニーが用意してくれた特別教材です‼
普段見ることのできないレンズの内部構造に、生徒たちは興味津々といった様子。
大倉さん、高橋さんは各班を回って切断されたレンズを直接見せてくださり、凹レンズとも凸レンズとも判断のつかない形のレンズについて質問するなど、生徒たちはその構造を熱心に観察していました。


生徒たちにレンズを見た感想を聞いてみると、「カメラレンズの中にこんなにたくさんのレンズが入っているとは知らなかったので驚きました」「デジタルカメラやインスタントカメラはどうなっているのか気になります!」などと教えてくれました。
また、なぜこんなにもたくさんのレンズをカメラレンズの中で重ねているのか考えてもらいました。
すると、「いろいろな距離の撮りたいものにピントを合わせるため?」「きれいな写真を撮るため?」「調節?」「レンズが一枚しかないと像が反転してしまうのかな?」などと生徒たち。
その意見に対し、ACE進行役の山田さん、神崎さんは各班を回りながら、「いいね。たとえば、どんな写真がキレイな写真だと思う?それはレンズがたくさんあることで可能になること?」「調節とは何を調節すると考えたのかな?」など、子どもたちの学びを深める声掛けを欠かしません。


ソニー講師より、「カメラのレンズの中には、凸レンズの他に凹レンズなど、様々な形をした複数のレンズが組み合わさっています。凸レンズは光を一点に集め、凹レンズは光を拡散する性質を持ちます。カメラのレンズは、撮影者が望むように像を映す必要があります。複数のレンズを組み合わせることで狙った光を集めているのです。」と解説がありました。
さらに、この光の集め方は中学校・理科で学習する(レンズの)「焦点」と関係していることが説明されました。
ちなみにこの焦点の位置はレンズによって変わります。複数のレンズを組み合わせこの焦点の位置を調整することで、望む写真が撮れるようになるのですね。
そしてこの原理を体験するため、生徒たちは実際に凸レンズと凹レンズを組み合わせて遠くを見る実験を行いました。
目から手前に凹レンズ、奥に凸レンズを持ち、凸レンズを動かしてレンズ間の距離を変えると焦点の距離が変わり、光の集まり方(像)が変わります。
実験中は「めっちゃ見える―!」「大きく見える!」などとレンズを2枚使うことで起きる変化をしっかりと実感しています。
レンズが1枚だけの時よりもレンズが複数になることで、しっかりとピントを合わせ見たいものを捉えられることを体感しました。



そうなると、実際のカメラのレンズにも興味がわきますよね。
そこで、さまざまなレンズの工夫によって撮影できる写真の違いについても紹介しました。
まずは望遠レンズです。
望遠レンズは、遠くのものを拡大して撮影できるレンズ。
ソニー講師は「小さな範囲の光を効率的に集めるため、複数の凸レンズを組み合わせています。」と紹介。
「では実際に撮ってみましょう!」と、大倉さん、高橋さんはバズーカ砲のような迫力あるレンズをカメラに付け、カメラをみんなに向けます!
生徒たちは、「待って!待って!」と言いつつポーズをしてくれる生徒や、「変に映ったら黒歴史!」とワイワイ楽しそう!
生徒さんと年齢の近いACE学生スタッフ神崎さんからも、「表情管理は大丈夫ですか?」と大盛り上がりです。
さてさて、どんな写真が撮れたのか結果は…
なんと、望遠で鮮明に撮ったのは教室最奥に位置する棚の中のメスシリンダーのメモリでした‼
これには生徒さんたちも拍子抜け。
その後、ズームレンズの紹介を踏まえ、広角に撮影すると手前から広く画角を取れることを紹介がてら、今度こそ生徒のみなさんを被写体とした写真も撮影しました。
他にも撮りたいシーンに合わせて様々なレンズがあることを紹介しつつ、カメラレンズも凸レンズと同じように光を集めており、様々なレンズを組み合わせることで光の集まり方を変え、目的に合った写真を撮れるようにしていることが理解できました。



授業前半では、カメラに欠かせないレンズについて理解を深めました。
では、レンズで集められた光は、どのようにして画像として記録されるのでしょうか。
次に学んだのは、イメージセンサーについてです。
今、私たちの身の回りにあるほとんどのカメラはデジタルカメラといい、映像や画像をデジタルデータとして記録しています。
そしてその撮影した画像を拡大してみると、一つ一つの色のブロックで表現されています。
イメージセンサーとは、このレンズで集めた光(像)をデジタルデータに変換するための部品です。
大倉さん、高橋さんは、実際にカメラからレンズを外して内部にあるイメージセンサーを見せ、また、部品として別に持ってきているイメージセンサーを班ごとに配ってくださいました。
イメージセンサーは、ホコリや指紋がつくとそれが映像として反映されてしまうので、普段は絶対触ったりできない部品とのこと‼一生触ることがないかもしれない貴重な部品を間近で観察します。中にはレンズで拡大して観察している生徒も!
「イメージセンサーは、フォトダイオードと呼ばれる無数の半導体が集まってできています。フォトダイオードに光が当たると電気が流れ、光の強弱を電気信号に変えることができます。しかし、フォトダイオードだけでは色の種類を判別できません。
光の色を情報として得るために、イメージセンサーではフォトダイオードの上に3種類の色分けされたカラーフィルターを置いています。」と説明し、フィルターの色の組み合わせは、光の三原色で構成され、全ての可視光はこの3種類の組み合わせで表現できることを伝えました。
レンズから入ってきた光は、カラーフィルターで光の三原色に分解され、それぞれの色ごとの光の強さを数値情報に変えて写真として記録されているのです。イメージセンサーの大きさが写真撮影に与える影響についての解説もあり、生徒のみなさんはイメージセンサーが要となる重要な部品であることを実感できたと思います。


いよいよ最後の要素、最新のカメラを支える画像処理技術について学びます。
私たちにとってもっとも身近なカメラであるスマートフォン。ソニーでもXperia™というスマートフォンを製造しています。
では、このスマートフォンの小さなボディに、これまで見てきたレンズやイメージセンサーはどのように収まっているのでしょうか?
実は、非常に小さい空間ですが、スマホにも複数枚のレンズとイメージセンサーが入っています。大きなレンズやセンサーをそのまま搭載することは難しいので、さまざまな工夫をしています。その一つが『複眼』といって、カメラを複数つける点です。

実際にXperiaの背面を見ると、3つのカメラレンズが見えます。
生徒たちはカメラアプリを起動し、スマホに搭載されている3つのカメラレンズのうちの1つを指で隠し、カメラアプリ内で倍率を変える実験を行いました。すると、とある倍率になるとスマホ画面が指で隠している暗い画面に。
実は、被写体が映らず、隠した指が画面に表示される時に選択していたカメラのズーム倍率は、自分たちが指で隠したカメラレンズが担当している倍率なのです!
普段スマホのカメラを使う時、何気なくズーム機能を使っていますし、その動きはとても滑らかですね。
しかし、ズームインアウトを繰り返している時、スマートフォンでは使用しているカメラが切り替わっているのですね。
その仕組みについて理解すると、「初めて知った知識だ!」と深く感心している生徒さんもいました。


さらに、スマートフォンならではの画像処理技術についても解説がありました。
一眼レフカメラでは大きなレンズで表現されているボカシについて、スマートフォンではコンピューターの処理によってボカシの要素を表せるようデータを変換しているという点や、スマートフォンには小さなイメージセンサーしかなくても明るく鮮明な画像を作り出せるのは画像処理の効果が大きいとの説明がありました。
スマートフォンで画像映像をたくさん撮るお年頃のみなさん、その技術に関心を持ち、驚いている様子でした。
生徒たちは普段何気なく使っているスマートフォンのカメラが、たくさんの技術に支えられていることを実感していました。
授業の最後は、ソニーの大倉さん、高橋さんからご自身の普段のお仕事について紹介がありました。
大倉さんは、私たちがスマホやカメラで簡単にピントを合わせられる「オートフォーカス」のソフトウェア制御開発を担当されています。動き回るJリーグの選手や、高速で走るバイクレースの撮影現場にも出張して性能を確認することもあるそうです。「改善した性能を、実際のカメラマンから『すごく良かった』と言っていただけるのが嬉しい」と、仕事のやりがいを話してくれました。
高橋さんは、バッテリー設計などカメラの電気設計を担当されています。例えば、バッテリーの持ちをよくすることと、カメラの性能を最大限に引き出す電気を十分に供給するという、一見矛盾する要素をどう両立させるかの検討などをしているとのこと。「この2つのバランスをどう最適化するか、その答えを導き出すのが私たちの役割です」とお話しくださいました。
最後にACEの山田さんから、「今日の授業で、学校で習ったことが、世の中のさまざまな仕事と深く関わっていることを感じてもらえたら嬉しいです」と授業を締めくくりました。
・フォトダイオードやカラーフィルターなどはじめて見る実は身近にあるものを見られて楽しかったです!
・最新のスマホのレンズの数が多い理由がわかりました。
・中学生で習うことが企業の製作で使われていると知って基礎的なことでもしっかり覚えておこうと思いました。
・今まであまり理科に興味がなかったけれど今回の授業を受けて理科も意外と面白いなと思えました。
・普段の授業とは違い、基礎知識を応用させる授業が楽しかったです。これからもいろんな人の話を聞きたいと思いました。
・私はこれまで、写真を単にそのまま貼り付けるように記録しているだけだと思っていたので、複雑な仕組みによって1枚の写真が成り立っていると知りとても驚きました。たくさんのセンサーが協力して情報を処理していることに、技術のすごさを実感しました。
中高一貫の本校では、近く高校進学判定テスト(主要5教科)が予定されているため少しでも既習項目への復習になれば…と2学期早々の実施を依頼しました。想像よりも生徒たちは現代の技術に関心を寄せ、快適さや便利さは日々の学習に基本があると関連付けられたようです。外部講師による実験授業も非常に新鮮で、沢山の見学者の存在も刺激的だった様子でした。授業1コマでは勿体ない内容で、様々な実物を手に取れたことも貴重な体験となりました。
私たちは、理系人材の育成を目的に、ACEさんと本授業を実施していますが、理系人材の育成には、理科に関する興味関心の向上とともに、学んだ知識を生かす職業に対する認知の向上も大切です。
授業開発にあたっては、まずは皆さんが興味を持てるよう、題材を馴染み深い「カメラ」にすることに加え、講義を聞くばかりにならないよう「体験」の時間を重視しました。今日の授業でも、凸レンズ・凹レンズを使った実験や、切断したレンズの観察、望遠レンズの実演などを通して、何度も「すごい!」という驚きの声を聞くことができたので、今日を機に、理科への興味を高めてもらえると嬉しく思います。
また、今回講師を務めた2名は、実際にカメラの開発に関わっているエンジニアと呼ばれる社員です。中学生の皆さんには、もしかすると馴染みの薄い職業かもしれませんが、身近な製品に理科で学ぶ知識が生かされていることに加え、その知識を生かした職業があることを知ってほしいと思います!
この日の授業ではメディア3社が取材に訪問されました。
取材体験も、生徒のみなさんにとってよい思い出になったのではないでしょうか。

