2024年12月19日(木)、小平市立小平第十四小学校5年生のみなさんへ、株式会社ブリヂストン(ブリヂストン)とNPO法人企業教育研究会(ACE)、そしてNPO早稲田環境教育推進機構の連携による出張授業 「ブリヂストン環境ものづくり教室」 を実施しました。

講義、実験、ボードゲームを通して、環境とものづくりのバランスについて考えるこちらの授業プログラム。

この記事では、当日の授業の様子を紹介します。

◆「ブリヂストン環境ものづくり教室」の授業プログラムとは

「ブリヂストン環境ものづくり教室」は、ブリヂストンの環境への取り組みについて知り、ゴムの性質について実験をしたり、ボードゲームで工場経営の疑似体験をしたりしながら、環境とものづくりのバランスについて学ぶプログラムです。

授業では、進行担当講師と、授業実施校近隣工場のブリヂストン社員が学校に伺い、工場の環境への取り組みなどを紹介します。

  

学校の授業においては、総合的な学習の時間(環境分野、キャリア分野)、社会「わたしたちの生活と工業生産」(5年)の発展学習、社会「わたしたちの生活と環境」(5年)の発展学習として、授業2コマ(45分×2)で活用いただける内容になっています。

「ブリヂストン環境ものづくり教室」の詳細はコチラ

◆環境問題とブリヂストンの取り組みについて

寒い日でしたが、元気いっぱい体育館に集まってくれた5年生のみなさん。

まず、ブリヂストンという会社について講師より説明を。

  

子どもたちは、まず、ブリヂストンは世界約130もの拠点を持つグローバル企業であることや、タイヤだけではなく、自転車や建物の免振ゴムなど、製造している製品について説明を聞きました。

  

また、小学校近隣の小平工場では飛行機のタイヤを扱っており、タイヤは新品のタイヤ製造だけではなく、リトレッドタイヤという溝が減ってしまったタイヤの接地している面のゴムを貼りかえるリサイクルタイヤも作っていること。また、同敷地内の技術センターでは雨や雪に強いタイヤの溝や、耐久性について研究していることなどが紹介されました。

ゴムの性質実験 ~跳ねるゴムボールと跳ねにくいゴムボール~

次は、ゴムの性質に対するミニ実験。

講師は、ピカピカしたゴムボール(ぴかっとボール)とくすんだ表面のゴムボール(くすっとボール)を見せ、「この2つのボールは、それぞれタイヤに適している性質を持っています。それぞれどういうところがタイヤに適しているのか、よく見てください。」と声掛けし、2つのボールを転がしました。

  

すると、ぴかっとボールは体育館の隅までスピードを保ったまま転がり、くすっとボールはかなり手前で転がりが止まりました。
  

この結果に対し、どういうところがタイヤに適しているかを子どもたちに考えてもらうと、

「ぴかっとボールは進みやすい」、「くすっとボールは冬用タイヤによさそう」などの意見が出てきます。

  

講師は、ブリヂストンでは安全のためにしっかりと止まるだけではなく、少ない燃料でも長く走ることができるタイヤを作っていることを紹介し、それは環境へ配慮するためだと説明しました。

そして、「なぜブリヂズトンは環境に配慮したタイヤを作るのでしょうか?」と疑問を投げかけ、環境問題が自分たちの生活にどう影響しているのか考えることを促します。

  

子どもたちは、「地球温暖化が進むと、今まで作っていた作物が取れなくなるかもしれない」など、環境に配慮しなければ日常が維持できない可能性について気づきました。

   

環境へ配慮する大切さを認識した子どもたち。

さらに講師より、「みんなも速く走りたいとき、靴が重いと大変だよね!」と、タイヤを軽量化するとはなぜ環境へよい影響があるのか、リトレッドタイヤは新品を作るのに比べ石油使用料が68%も削減できるという環境負荷の具体的軽減効果、もっと先を見据えたゴムの木に代わる植物の研究など、ブリヂズトンが環境に配慮して日々企業活動を行っていることを説明しました。

子どもたちはワークシートも活用しながら、これらについてしっかりと学びました。

◆工場長ゲーム活動 ~環境配慮とものづくりの関係を疑似体験~

1時間目に、環境に配慮することの大切さを学んだ子どもたち。2時間目はいよいよお楽しみのゲーム時間です‼

  

このボードゲームは、止まったマス目の指示に従いながら、お金を得たり払ったりしつつ、手元のお金と環境に優しいことをすると増えるエコポイント(EP)の増減を体験します。そのゲーム中で直面する出来事を通し、ものづくりは環境に影響があることや、環境へ配慮するには費用がかかることを疑似体験。ゲーム活動を通し、環境とものづくりのバランスについて考えます。

ゲームでは、子どもそれぞれが工場長という設定で、利益を最大にするのか、環境に配慮しエコポイントをたくさん得ることに重きを置くのか、意識的に、もしくは無意識に選択しながらコマを進めます。また、ゲームの中では『投資』『決算』という全員が立ち止まるポイントがあり、『投資』のマス目では手持ちのお金で設備投資等を、『決算』のマス目ではお金とエコポイント(EP)の精算をします。

決算マスでは、投資マスで得たカードに書かれているお金やエコポイント
(+の場合も-の場合もある)を受け取ります。

ゲーム中、班の中から「もっと投資しておけばよかった!」「エコを意識しすぎてもだめだ…」など、ゲームを通して気づきを得る子どももおり、どの班も学びながら楽しんでゲームを進めています。

  

終盤は体育館全体が熱気を帯び盛り上がっていく雰囲気が‼ 子どもたちから、「一番の人からお金をぶんどるマスがあって盛り上がった‼」、「無限にループできるすごろくになっているから何周もしたい!」などの声も聞こえました。

授業まとめ

2度の『投資』『決算』を経てすごろくを一周した子どもたち。

最後に、自分の手元に残ったお金の額とエコポイント(EP)から、自分の工場経営がどういう傾向にあるかを確認します。

  

講師より、手元のお金を守ってばかりだとお金やポイントがあまり増えないこと、最終的に得た金額とエコポイントの関係により、利益重視の傾向か環境重視の傾向か、それともバランスが取れていたのかなどの考え方について説明を受けました。

子どもたちは、改めてゲームの中での自分の判断が、どういう傾向にあったのか振り返る機会になりました。

  

最後に講師より、授業中盤でも説明のあったブリヂズトンは3つの環境宣言「自然と共生する」「資源を大切に使う」「CO2を減らす」を重要と考えて「ものづくり」をしていること。生活すべてを環境に優しくすることはなかなか難しいものの、できることから取り組み、自分なりのバランスを考えること。そして、社会全体でもそれぞれ『なにができるか』を考えることが大切だとまとめました。


【児童の感想より】

(アンケートより抜粋紹介・一部漢字に変換)

‣授業をして(ブリヂストンが)どのようなことをしているのかが分かった。
‣2つのゴムボールの転がり方がそれぞれ違い、面白かったです。
‣ゲームや実験などがあり、とても分かりやすかったです。ぼくも環境のことをよく考えて生活しようと思いました。
‣リトレットタイヤはまた再生するということに驚きました。
‣工場長ゲームが難しかったけど、工場長になった気分で楽しかった。
‣工場長ゲームは、利益や自然に優しいなどをバランスよくできるようにした。


ブリヂストンご担当者 小平さまより

このブリヂストンの「環境ものづくり教室」は環境問題について自分たちの身近なところ、企業の視点、ゲームを通じたビジネスの視点と多面的な要素を盛り込んだ内容となっています。生徒の皆さんが日々環境問題に直面していることを実感していただくとともに、企業も環境問題を考慮しながら、皆さんの生活にあるモノやサービスを提供しています。生徒の皆さんにとって今回の授業内容が改めて環境問題について考えるきっかけになったらうれしいです。


今回ご紹介した「環境ものづくり教室」に加え、ブリヂストンさまとは、グローバル化が進む社会で相手のことを考えてコミュニケーションを取ることの大切さを考える授業プログラム「ブリヂストングローバルコミュニケーション教室~世界につながる伝える力~」も展開しています。

【写真:松田康太郎】

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