企業教育研究会(ACE)は、アウモ株式会社(以下、アウモ)と協力して、2024年10月から12月にかけ、渋谷区立中幡小学校6年生の探究学習を支援しました。
渋谷区は令和6年度から文部科学省の「授業時数特例校制度」を活用し、午後の授業時間を「探究『シブヤ未来科』」として全区立小・中学校で展開。この時間を活用して、教科を横断する総合的な学習や特別活動を推進しています。
その学習の1つ「テーマ探究」にて、中幡小学校6年生の子どもたちは、『魅力ある街づくり~NAKAHATOWN~』をテーマに、前期から自分たちが暮らす地域についての調査をし、その良さと課題を見つけてきました。
アウモとACEは、後期10月から学習支援を開始し、先月12月23日に開催された発表会まで、子どもたちに寄り添い支援を行いました。
この記事では、アウモとACEの支援内容や、探究活動中の子どもたちの様子をお届けします‼
アウモの社員とACEメンバーが子どもたちに初めて対面したのは10月24日(木)です。
アウモからは代表取締役社長の生方さん、社員の幸田さんの2名、ACEからは元校長の職員古谷と学生スタッフ4名の支援体制にてスタートしました。
子どもたちが進める探究活動は、ただ調べるだけではありません。自分たちが暮らす地域の課題解決へ向け活動を行います。
この日は、「課題解決の手段に子どもたちが記事作成を選ぶとしたら?」との想定で、アウモ社員から子どもたちへ、記事作成のレクチャーをしました。
まずはアウモの会社紹介。
おでかけ・観光・グルメ・ホテルのメディア「aumo」をインターネット上で展開し、たくさんの記事を扱うアウモですが、その中で子どもたちは、検索で上位に表示される記事を書くことは、検索した人も、記事で紹介されたお店も、さらにその周辺のエリアも恩恵を受けることを知りました。
そして、子どもたちは自分たちが今まで調べてきた地域の現状や課題について報告します。
子どもたちは、ごみの放置や交通ルールが守られないことによる住環境の悪化、交流の機会が少ないこと、イメージが悪い検索候補が表示されるなどの課題があると発表しました。
これに対し、幸田さんからは子どもたちが多くの課題を感じている公園についてむしろ魅力を発信することや、ごみ問題に対しては自分がごみを拾いその輪を広げていくことも、課題解決に繋がることなどをアドバイスしました。
またこの日は、子どもたちへのインタビューをもとに、地域の魅力を紹介する記事作成の実演も行いました。
実演では、子どもたちに地域の魅力をインタビューし、PREP法(結論→理由→事例→結論の順に構成する方法)によって簡易的に記事を作成。その実演の中で、子どもたちは、記事に必要な画像は無許可で掲載できないことも教わりました。
自分たちが話した内容が記事になる過程に、子どもたちから歓声が‼
後日、子どもたちは記事作成も含めたいくつかの案から、自分たちに適した課題解決方法を選択します。
課題解決に記事作成を選ぶ子どもたちは何班出てくるのかな?
班ごとに掲げた課題について、「どうすれば解決できるか」を考えてきた子どもたち。
検討の上、記事作成を課題解決の目標にしたのは13班でした。
記事を書くことにした班の子どもたちへ向け、アウモの持つ記事作成の技術を活かしつつ、アウモとACEにて引き続き支援をしていきます。
子どもたちが記事の準備を進めていたところ、アウモよりインタビューへ行き、それをもとに記事を作成するのが良いのではとのアドバイスが。
子どもたちはそのアドバイスを受け、街へ出てインタビューを実施することに。
質問の作成や、いつどんな写真を撮るのかなどの準備をし、この日はいよいよ実際に街へ繰り出しました。
しかし、いざインタビューに出向いてもなかなか声を掛けられない子どもたち…。
「10人聞いて1人答えてくれればよい方だから数打ちゃ当たるで頑張れ!」
「前に回り込んでから、目を見て声をかけること。後ろから声をかけても気づかれないよ!」
と、同行したACEの古谷が具体的にアドバイスし激励しつつも、大人が直接手助けするのではなく、子どもたちが自らインタビューを完結できるよう見守りました。
私たちが付き添った班では、作成した台本に沿い、「ポイ捨て」について3名の方へのインタビューに成功しました。
みんな、よく頑張ったね‼
この日、記事作成班の子どもたちは、いよいよ記事作成に取り組み始めました。
子どもたちは、アウモからインタビュー内容をExcelシートで一覧にするという作業の説明を受け、各自で図や表を用いながらまとめました。インタビューをもとに新たな疑問を発見した班もあり、インターネットでさらに調べたり、どうすれば分かりやすく伝わるかを考えたりしながら、12月の発表を視野に入れつつ活動を進めました。
アウモからは、記事の構成について「インタビュー内容と自分たちが伝えたいことを分けて書くと読みやすい」「記事には必ず見出しをつけること」などのアドバイスがあり、最終的には検索(SEO・検索エンジン最適化)で1位を狙えるようなショート記事になる展望も話され、子どもたちも期待が膨らんでいる様子でした。
子どもたちは、実際に活動する中でたくさんの大人に許可をとる必要がある事や、アンケートの回答数がなかなか集まらない事など、思い通りにいかない難しさを感じている様子でした。それらについてどうすればよいのか自分達で考えたり、先生に聞いたりしながら着々と準備を進める姿が印象的でした。
課題解決のため、自分たちのWeb記事を作成したいと希望した13班の子どもたち。
約2カ月間の学習を経て記事を完成させるとともに、発表用のプレゼンテーションを作成し、いよいよ12月23日の発表会に臨みました。
発表会では、学年全体で約20の班が3つのグループに分かれ、決められた時間内で聞き手を変えながら3回発表するという「屋台方式」で実施されました。1回目は緊張した面持ちで発表していた子どもたちも、回を重ねるごとに慣れていき、次第に表情がほころんでいきます。
発表では、記事作成の中で実施したインタビューや全校児童へのアンケート、町内会の方々への聞き取り調査などを含めながら、自分たちの取り組みとその成果をわかりやすく説明することができました。
例えば、「町の落書きをなくしたい」と考えた子どもたちは、調査を進める中で、自分たちで勝手に落書きを消してはいけないというルールがあることを知りました。しかし、この思いを渋谷区に伝えたところ、担当の職員が協力し、落書きを消す取り組みを一緒に実施してくださることが決まりました。このエピソードを発表で共有すると、聞いていた他の子どもたちから「私も手伝うよ」「私もやりたい」という声が上がりました。
このように、少人数で始めた探究活動が仲間に共有されることで、次第に大きな広がりを見せていきそうです。
2カ月という短い時間では、思ったような実践にまでは至らなかったグループもありましたが、本日の発表会は探究学習の締めくくりではなく、新たな始まりを予感させる場となりました。
今回の一連の支援においては、私たちが何を支援し得るのかについては試行錯誤の面もあり、私たちも議論を重ねつつ実施しました。具体的にはホームページの親記事(タイトル記事)以外の子記事(タイトル記事にリンクされる関連記事)を担当した12チームの相談相手および進行管理、その12班の子どもたちの様子について担当学校教員と情報連携、記事をベースにした発表準備などの支援を行いました。
この活動支援が、ACEのミッションでもある「誰もが教育に関わり、貢献することができる社会」を実現する一歩として、子どもたちの活動の充実に寄与できたのであれば嬉しく思います。このような機会をいただきました渋谷区教育委員会、シブヤ未来科、中幡小学校、また一緒に支援活動を実施してくださったアウモの皆さま、全ての関係者の皆さまへ、この場をお借りして御礼申し上げます。
令和6年4月から渋谷区の公立小中学校では、探究「シブヤ未来科」をスタートしました。午前中は通常の授業を行い、主に午後を中心に子供主体の探究の学びが展開されます。文部科学省の「授業時数特例校制度」を活用し、総合的な学習の時間を全区立小・中学校で拡充させています。
先生が教える授業から、子どもたちが学びを創る授業へ
幼児期に経験した、遊びに没頭したときに抱くワクワク感や好奇心、一人一人に備わった、自ら学ぶ力や感受性を発揮し、学んだ知識を生かして新たな知見を創造していく探究「シブヤ未来科」が本格稼働しました。地域や様々な企業・団体とコラボした魅力ある体験を通して、子どもたちの感動・発見を創っていきます。
探究シブヤ未来科 | 教育DX | 渋谷区ポータル (city.shibuya.tokyo.jp)
国内最大級のおでかけメディア「aumo」や店舗向けマーケティングSaaS「aumoマイビジネス」、デジタルギフトを活用した企業支援サービス「aumoギフトエクスチェンジ」、自治体・地域団体の課題解決サービス「aumoローカルプラットフォーム」を展開するグリーホールディングス株式会社100%子会社です。
【支援担当・記事分担執筆】
職員 古谷成司
学生スタッフ 岡田雪寧・瓦家千華子・黒田夢奈・水坂優希