5月18日(土)に開催された、162回目を迎える「千葉授業づくり研究会」。

今回のテーマは、「地域課題の解決に向けた取り組み」です。
 「地域課題の解決」というワードから、総合的な学習の時間や社会科での学習のイメージを持つ方が多いかもしれません。確かに総合や社会科でよく扱われているテーマではありますが、実は地域課題の解決を「アントレプレナーシップ教育」の視点で学習に取り入れていくことも、近年注目されています。

アントレプレナーシップ教育とは起業家教育とも言われ、起業家に必要とされる精神(チャレンジ精神、創造性、探究心等)や資質・能力(情報収集・分析力、判断力、実行力、リーダーシップ、コミュニケーション力等)の育成を目指すものです。

文部科学省は小・中学校段階からのアントレプレナーシップ教育も必要であるとして、2016年度に「起業体験推進事業」の取組みを開始。子どもたちが地域課題を見出し、そこから解決方法を考え、実行に移すという学習が展開されるようになってきています。

そのような背景から今回の研究会では、各自治体の課題解決について、自治体ごとの目的に合わせてマーケティング活動を支援するアウモ株式会社(以下アウモ)の事業担当者をお招きしました。

アウモは、観光やグルメ、ショッピングに関する最新情報が見つかるおでかけメディア「aumo」をインターネット上で展開し、自治体・地域団体向けに「aumoローカルプラットフォーム」というプロモーション支援サービスも提供しています。「aumoローカルプラットフォーム」は、SNS配信やデジタルアンケートなどといったシステムやデジタルギフトなどを自治体・地域団体のニーズに合わせて包括的に提供するサービスです。

今回は、「aumoローカルプラットフォーム」の取り組みをお伺いしながら、学校が地域課題を解決する学習を行うためのヒントを参加者のみなさまと議論しました。

アウモ株式会社 事業担当者による講演

アウモが手がける4つのサービス

アウモは、現在では4つのサービスを提供しています。 

 

1つ目は、「aumo」(https://aumo.jp/)というおでかけメディアです。こちらは専属のライターがおり、社内でノウハウを共有しながら記事を作成・更新しているそうです。読者ターゲットを明確に絞り、複数の施設情報が掲載されている「まとめ記事」を作成したり、店舗情報を掲載している「お店・施設情報ページ」では、お店の方自身が情報を更新できるため、情報が常によりよいかたちで利用者に届くよう工夫されています。 

 

2つ目は、「aumoマイビジネス」という店舗向けマーケティングSaaSです。現代では、SNSをはじめとするネットワークを活用した集客は欠かせません。お店を経営する方のSEOやSNS、MEO等の活用を支援すべく、プロモーション記事や広告運用、さらにはお店の予約や口コミ投稿など、店舗集客に必要な機能を一手に担っているサービスです。 

 

3つ目は、「aumoギフトエクスチェンジ」というデジタルギフトを活用した企業支援サービスです。サイトを経由して予約をしたり口コミを投稿したりするとaumoポイントが貯まる仕組みで、そのポイントは、提携店舗で利用できる割引券やギフト券に交換することができます。 また企業はデジタルギフトを活用して販促キャンペーンやアンケートを実施することができるため、目的に応じた活用方法によりサービス改善や認知拡大効果が期待できます。

 

そして4つ目は今回の主役、「aumoローカルプラットフォーム」です。 

こちらは、各自治体や地域団体の課題に合わせて、最適なサービスやデジタルギフトを活用してマーケティングを支援し、地域貢献・地域活性化につなげていくサービスです。各自治体の実態に合わせるため、情報発信のサポートをする場合もあれば、すでに自治体がおこなっている情報発信を地域活性化につなげていくサポートをしたり、地元店舗の応援コンテンツを作成する場合もあるとのこと。 

 

このプラットフォームは、「飲食、宿泊、レジャー、観光など一気通貫で情報提供できるメディアであることが強み」だといいます。地元のスポーツチームと協力した地域活性化の仕組みや、地元の組合や協会と共同のプラットフォームなど、利用者のニーズと自治体の思いを実現させる導入事例を多く紹介いただきました。サポートは、PDCAを回しながら長期的にしていらっしゃるとのこと。その安心感もアウモの強みであることが伝わってきました。 

 

4つの事業の紹介においてアウモの事業担当者の方が繰り返しおっしゃっていたこと、それは、「利用者のみなさまに、情報を届けるための対策にかなり力をいれている」ということです。お話を伺うまでは、記事等のコンテンツ作成にかなり力をいれていらっしゃるのだろうと思っていましたが、コンテンツ作成と同じくらいに、利用者に情報を届けるための対策をされているのだと感じました。


「地域課題の解決」を学校で取り組むには −参加者とディスカッション−

アウモからのお話を受け、学校教育の中で「地域課題の解決」に向けた実践をどのように進めていくのかについて、参加者も交えてディスカッションを行いました。

参加者より、「地域課題の解決を子どもたちと考えていく際、子どもたちが自分たちの地域にマイナスな課題イメージをもってしまうことが多く、良いところに注目させながらポジティブに課題解決をしていくためにできるアイデアを知りたい」という意見があり、議論が盛り上がりました。 

 

それに対し、「子どもならではの気づきを発信することに焦点をもっていくことで、ポジティブに捉えられるのではないか。」というお話しもありました。

問題や課題を解決しようという問いかけではなく、「みんなしか知らない、(地域の)公園や放課後スポット紹介を作ろう」というプラスの問いかけから活動をスタートすることもできるとアドバイスされました。この一言をきっかけに参加者から、「そういった情報を集めたプラットフォームをつくり、その場所に行った人のコメントが溜まっていくシステムを作ることができたら、子どもたちにより利用者目線がつまったメディアをつくる体験をさせることができるのでは」、「それを地域貢献として落とし込んでいける可能性もあるのでは」と意見が出るなどアイデアが広がり、とてもわくわくする時間になりました。

 「地域課題の解決」の実践については、既に様々な方法で学習が行われているところではあります。その学習活動について、子ども自身が地域に貢献したと実感できる様々な方法について、活発に意見が交わされ、アイデアを深め合うことができました。

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