2025年12月20日(土)に、第174回「千葉授業づくり研究会」が開催されました。今回のテーマは、「ファイナンシャルプランナーと考える、これからの金融教育と資産形成」保険や金融商品の専門職であるファイナンシャルプランナーの大久保成椰さんを講師にお招きして講演いただきました。

  

近年、学校の金融教育でライフステージの各段階で必要なお金を準備するために、資産形成や、自己の価値観に基づいた計画的なお金の使い方に関する内容が扱われています。また、高等学校の探究学習などで、投資や金融をテーマに選ぶ生徒も増えているそうです。

  

今回の研究会では、まず資産形成に関わる資産運用など金融に関わる基礎的なところから大久保さんに教えていただき、研究会後半に「自己のライフプランに基づく資産形成」に着目した金融教育についてディスカッションを行いました。

  

「テーマが金融教育で、講師が保険会社の方!?」と、意外に感じる方もいらっしゃるでしょうか。

  

今回の企画の背景には、金融教育に資産形成の内容が取り入れられる中で、専門知識の不足を感じている先生が多いことや、投資について探究学習に取り組んでいる高校生から「資産運用を始める際の注意点」などの質問が寄せられたことがあります。

  

「ライフステージの各段階で、どのようなリスクを想定して、どのように資産に関する意思決定をすれば良い?」

  

「リスクシミュレーションや資産運用の具体事例は?」

  

こうした点について、資産形成とリスクのコントロールの両面に専門性を持つ保険会社の方のご知見を伺い、先生や児童生徒の疑問に即した金融教育を考える研究会を企画しました。

  

本レポートでは講演会と、教員・大学生・高校生を交えたディスカッションの様子を詳しくお伝えいたします。資産形成や金融教育に関心のある方は、ぜひ最後までお読みください。

 

ファイナンシャルプランナーは、資産形成というゴールに向かう、多様な道程の案内人

ファイナンシャルプランナー 大久保成椰さん

今回の研究会では、保険や金融商品の専門職であるファイナンシャルプランナーの大久保 成椰さんに講演いただきました。

  

講演に先立ち、今回は参加者の自己紹介を行い、各自の名前や参加理由を共有しました。

現職の学校の先生(中には、ファイナンシャルプランナーの資格を持っている方も!)や、教育や資産形成に関心のある大学生、探究学習で投資や金融商品を調べている高校生など、多様な参加者がいらっしゃいました。

  

一人一人の自己紹介を丁寧にメモしながら聞いてくださっていた大久保さん。

講演の最初に、高校生の1人を指名し、「資産形成や資産運用って、どんなイメージがありますか?」と問いかけました。

突然の質問に驚いた様子の高校生でしたが、「何から手をつけて良いかわからない」と率直な意見を回答してくださいました。

この回答を聞くなり、大久保さんは「来てよかったです!!」と明るい声で返し、「本当にそうですよね」と高校生の疑問を真摯に受け止めました。

  

大久保さんによると、「資産形成とはゴールで、資産運用とはゴールに行くための手段」とのこと。

例えば、目的地を決めずにタクシーに乗る人がいないように、資産運用も「どのくらい資産を持ちたいのか」というゴールを決めずに始めるものではないそうです。

資産形成というゴールから逆算して、どのような手段で資産を運用するのかを考えることがとても大切だと、大久保さんは強調しました。

  

とはいえ、高校生の回答にあったように、ゴールを決めたり、手段を検討したりするために「何から手をつけたら」良いのでしょう……?

  

そこで、大久保さんは次のように述べました。

「これをやったら人生勝ち組ですよ、これをやったら絶対儲かりますよ、という話はできません。今日は、実際のお客さんの具体事例を交えてお話しますが、人それぞれ相談事が違うので、これが正解ですということは言えないのです」

  

近年の学校教育では、家庭科を中心にライフステージの各段階で必要な資産を準備するために必要な学習内容として、自己の価値観に基づいた計画的なお金の使い方や、金融に関する知識が扱われています。

価値観は人によって多様なので、1つの定まった正解がないことや、それゆえにどうすれば良いのかわからないという意識を多くの先生や児童生徒が持っていると言われています。

参加者の注目が集まる中、大久保さんは、しっかりした口調で続けました。

  

「ただ、こういう選択肢があるんだなとか、自分だったらこうしてみようかな、こうしたいかなって思い浮かべるようになっていただけたら良いかなと思っています」

  

会場を見渡しながら、そう語った大久保さんの頼もしさが、参加者に伝わっていったようでした。

多くの人々のライフプランに寄り添い、資産形成などのゴールへ向かうための相談に乗ってきた大久保さんは、多様な手段・道程の頼れる案内人なのだなと感じました。

日本を取り巻く経済環境と、資産形成の重要性

個人の資産形成が重視される背景として、はじめに大久保さんから現在の日本の経済状況を概説していただきました。

世界的にはGDPが右肩上がりの状況がある一方で、日本の伸び率は他国に比べて上がっていない傾向があります。

また、日本では2008年をピークに人口が減少傾向になり、先進国の中でも高齢化が進んでいます。

生産年齢人口が減少し続けるという予測は、今後の日本の経済成長の大きな課題です。

  

大久保さんによると、こうした状況に鑑みて、現在ではグローバルに視野を広げて資産形成をしていくという選択肢が重視されるようになっているそうです。

「どういうことだろう?」と注目する参加者に、大久保さんはクイズ形式で問いかけながら解説してくださいました。

突然のクイズを受けて、即座に運用益を暗算した大学生・高校生たち

例えば、1000万円の資産形成を目標にした時、毎月3万円をタンス預金(金利0%)すると目標を達成するまでに27年以上かかります。一方で、年率5%の利回りで運用しながら積み立てると、手数料や課税を考慮しなければ17年ほどで目標を達成できます。

経済成長率が高い国では、利回りも良くなるので、より効率的に資産形成ができる可能性があるということです。

日本の経済環境では銀行の金利が上がったとしても、まだ運用した場合の金利とは大きな差があるため、経済的な成長傾向にある世界の国々を視野に入れた資産運用が重視されているそうです。

  

さらに補足して、大久保さんは物価上昇率にも言及しました。今の大学生や高校生が50歳、60歳になる時には、現在よりも物価が上がっていることが予測されます。このことに鑑みると、ライフステージが上がった際に必要な資産を準備するために資産運用の重要性が高まっているということでした。

人生の三大資金として、必要な資産とは!?

資産形成というゴールを設定するにあたり、人生の各段階で、どれくらいの資産が必要なのでしょうか。

大久保さんによると、人生の三大資金とは「子どもの教育資金」「住宅購入資金」「老後の生活資金」であり、実際にお客さんの相談も多いとのことです。

子どもを持つか持たないか、私立と公立のどちらで教育を受けるか、どこに住み家を構えるかなどによって金額は変わりますが、それぞれの参考値は以下の通りです。

  

子どもの教育資金・・・約1118万円

住宅購入資金  ・・・約3603万円

老後の生活資金 ・・・約6973万円

  

いずれも多額の資産を要しますが、大久保さんはファイナンシャルプランナーとして相談を受ける際に心がけていることを次のように語りました。

  

「必要資金を貯めるために今の生活を苦しくするのも間違っているし、今豪遊して将来が心配になるのも避けなければならない。そこで、お客さんと一緒に目的を決めて、ゴールを決めて、それに向かっていく手段を一緒に決めるということが大事なのかなと思います」

  

ライフプランにおいて重視したいこと、実現したいことなどを決めることで、必要な資産が明確化され、資産形成というゴールが設定できる。

導入で提示された、「資産形成はゴール、資産運用は手段」ということが、改めて腑に落ちました。

資産形成のための意思決定のポイント

ここで、大久保さんは参加者全員に質問を投げかけました。

  

「老後資金を貯めるために、A:自宅でタンス貯金、B:金融商品を活用して運用、C:社会保証制度(国民年金や厚生年金)に任せる、の中で、どの手段を選びますか?」

  

多くの参加者がBを選ぶ中で、どの選択肢も選ばなかった参加者がいらっしゃいました。
大久保さんが理由を訊ねると、「全部ちゃんとやるのが良いと聞きました」とのこと。

実は、その回答が大正解。
大久保さんは「金融商品を用いた運用には相応のリスクがあるため、いずれかに振り分けるのではなく、安全に資産を貯める方法と、リスクを取りながら効率的に資産を増やす方法をバランス良く決めるのが重要」とポイントを示してくださいました。

  

大久保さんいわく、金融商品の中でも積立NISAは利益に対して課税されないことに鑑みると、国としても社会保障制度だけに頼らず、リスク・リターンのバランスを考えて資産形成を促したい意向が窺えるそうです。

資産運用の仕組みとリスクとの向き合い方

では、実際に資産運用を行う際、どのようなリスクや注意点に気をつけるべきでしょうか。この点については、事前に高校生からも質問が寄せられており、いよいよ講演も核心に迫ります。

  

大久保さんは、参加者全員が理解しやすいように、金融商品の基礎的なところから解説してくださいました。
金融商品には元本保証があるもの(預貯金など)と、価格が変動するもの(投資信託など)があります。
前者は、金利が低い場合は資産が増えづらい一方で、資産が目減りするリスクは低いと言えます。
後者は、預貯金以上の資産を増やせる可能性がある一方で、状況によって資産が目減りするリスクがあります。
そこで、分散投資や積立投資など、ある程度リスクを分散しながら長期に運用することで、リスクとリターンのバランスを取ることが重要とのことです。

  

ここで、「なぜ、長期運用が重要になるのだろう?」という疑問を持った参加者もいたのではないかと思います。
大久保さんは、金融商品をみかんに例えて、分かりやすく説明してくださいました。
例えば、みかんの価格は時期により変動します。そのため、毎月決まったタイミングで一定の金額を投資すると、同じ金額でも時期によって購入できるみかんの数が変わります。
投資のプロであれば、最もみかんの価格が低い時にたくさん購入して、みかんの価格が高い時に売却して利益を出すことができますが、一般の人はそう上手くはできません。
そこで、長期的に運用しておけば、みかんの価格が高い時期・低い時期を繰り返す中で総合的に利益を出しやすいということでした。

  

一方で、1つの金融商品(みかん)だけに投資すると、その商品の人気が下がった時に利益が得られなくなるというリスクにも注意が必要だと、大久保さんは指摘しました。
そのため、いくつかの金融商品に分散投資して、リスクをコントロールすることが重要とのことです。

  

また、金融商品の価格が下がった時に、すぐに見切りをつけるのではなく「たくさん買って価格が上がった時に利益を出せるかも!」という見方をするのも大切だと、大久保さんからアドバイスもいただきました。

資産形成に関する意思決定のポイント

資産形成と資産運用の基礎的な仕組みや注意点について理解が深まった所で、最後は実際に自ら意思決定を行う際のポイントについてお話しいただきました。

  

金融商品には、国内外を含めて、様々な銘柄があります。
資産形成のために、金融商品を活用した資産運用を検討する際、「金融商品の性格」に注目する必要があるそうです。

  

大久保さんによると、金融商品の性格を捉える際、「収益性」「流動性」「安全性」という視点が重要とのことです。
これらを全て満たす金融商品は存在しませんが、様々な金融商品の長所・短所をそれぞれの視点で評価し、最も自分の目的に合ったものを選択することが意思決定のポイントになると大久保さんは強調しました。

  

では、実社会の人々は、目的に応じてどのように資産形成に関わる意思決定を行っているのでしょうか。大久保さんに、実際のお客さんの事例を元に紹介していただきました。

  

具体例1:25歳、年収400万円、一般企業勤務
数年の間に結婚のための資金が要るが、ほとんど貯金はない。
→この人の目的を達成するためには、数年の間にお金を貯めて、結婚が決まったタイミングで引き出せるようにする必要がある。そこで、流動性が高くいつでも引き出すことができ、安全性も高い銀行貯金を選択した。退職金が多い企業に勤めていたので、月々の資産運用を増やす必要はあまりなく、投資は貯金にゆとりができた時に検討することにした。

  

具体例2:35歳、年収550万円、公務員
子どもの教育資金を貯めるために積立NISAを検討している。
→この人の目的を達成するためには、子どもの就学などのタイミングで必要な資金を使えるようにする必要がある。NISAは長期運用することで強みが発揮されるので、タイミングによっては十分な利益が得られる前に資金を使うことになり、もったいない。そこで、リスクが少なく確実に資金を増やすことができる国債や固定金利の金融商品を選択した。

  

具体例3:60歳、年収1200万円、公務員
65歳までは働く予定で、貯金も豊富なので、退職金の置き場に困っている。
→この人の目的を達成するためには、退職金を預けることが有効だが、同時に資産を増やすことができれば老後資金も心配しなくて済む。そこで、利率が15年間固定されているアメリカの株式など、退職までの期間に運用益が見込める金融商品を活用した運用を選択した。

  

具体事例からも、大久保さんが一人一人のお客さんのライフプランや目的に寄り添い、その達成に必要な資産を準備するための手段を一緒に考えていらっしゃることが窺えました。

   

「自分がどうなりたいか、将来どういう風に生活したいかといった目的を決めて、そこに向かうための手段として、どのようなお金の持ち方が良いのか、適している金融商品は何なのか、性格や価値観もふまえて考えていく」
講演の結びに大久保さんがおっしゃったことが、私たちが自ら資産形成のために意思決定をする際の本質的なポイントなのだと思いました。

ディスカッション

研究会の後半には、千葉授業づくり定番のディスカッションが行われました。オンライン上で質問ができるサービス「Slido」を使い、参加者と登壇者で議論を行います。

  

質疑応答では、多様な視点の質問を通して、資産形成について多角的に理解を深めることができました。

また、普段は「教える側」である大学・高等学校・中学校の教員と、「教わる側」である大学生・高校生が共にアイディアを出し合い、新しい金融経済教育の授業や教材について考えることができました。

  

ここからは、ディスカッションの内容を一部抜粋要約してご紹介します。ぜひ最後まで読んでくださいね。

Q.現在17歳の高校生です。18歳になったら投資ができるようになりますが、どのくらいの金額で、何から始めたら良いのでしょうか?

  

まずは、原資をどのように得るかが大切になります。例えば、大学生になって一人暮らしをする場合、学費や生活費がかかる中で運用に回せるお金は多くありません。18歳になったら、ぜひ投資を始めてみてほしいですが、その際に自分の生活に支障が出ない範囲で原資にする金額を決めた方が良いです。

例えば、5万円のバイト代があるなら5000円投資に回すなど、生活や、自分がやりたいことに差し支えがない範囲で始めるとやりやすいですよ。また、18歳から始めるなら、途中で引き出す可能性も考えて、流動性が高い運用方法が良いと思います。

ちなみに、生活費のシミュレートができるアプリや家計簿アプリを使って必要なお金を試算した上で、運用に回る金額を決めることもできます。

Q.資産運用について勉強したいのですが、おすすめの本などはありますか?

  

ファイナンシャルプランナーの資格の勉強がとても参考になると思います。

資産運用を始める時に、世の中の情報に流されてしまうのは怖いことなので、勉強することはとても大切です。

例えば、ファイナンシャルプランナーの勉強の中で、不動産や様々な金融商品について学ぶ中で、自分に合うものに気づくこともありますよ。

  

  

Q.来年社会人になる大学生です。奨学金の返済が始まるのですが、月々の返済金額をどうするか悩んでいます。

  

まずは、早く返済を終わらせたい、投資を優先して資産を増やしたいなど、ゴールを決めるのが大切だと思います。例えば、なるべく返済期間が長いプランで考えて、大きな収入が得られた時に繰上げ返済するという方法もあります。

ゴールから逆算して、ご自身で納得できる方法を考えられると良いですね。

  

  

Q.中学校の教員です。中学生にとって、資産形成は遠い未来の話のように思われがちだと思います。中学生でも実感できる金融教育の切り口はありますか?

  

金融経済教育推進機構のホームページに、様々な教材が公開されているのでお勧めです。

例えば、カードゲーム形式で、人生設計と資産形成を学ぶことができる「生活設計・マネープランゲーム」という教材があります。

このゲーム教材では、トラブルが発生した時に保険のカードで解決できるルールがあって、リスクへの備え方も扱うことができます。

まずはゲームで関心を高めた上で、資産形成の基本を学ぶような流れが良いと思います。

なんと、今回参加した高校生の1人は、このゲームを中学校の進路学習で体験したことがあるそうです!

なんと、今回参加した高校生の1人は、このゲームを中学校の進路学習で体験したことがあるそうです!

Q.老後の備えと、今の生活を楽しむことのバランスを、自分の価値観に鑑みて考える必要があると思いました。大久保さんは、どのような価値観をお持ちなのでしょうか?

  

私は概ね「今」派ですね。「今」を充実させることが、仕事への活力にもなると思います。資産運用を将来への安心材料にして、さらに「今」を楽しめるようにしていると思います。

中高生にも、まずは自分の価値観を醸成することが、金融教育において大事ですよね。価値観を教わる最も身近な相手は保護者かと思います。

一方で、これから子ども自身が投資できる制度が始まります。バランス感覚の勉強になるという側面もありますが、一方で知識や価値観が身につく前に投資を始めるのはリスクもあるので慎重に考える必要があるかと思います。

また、学校の金融教育では外部講師を呼ぶことがありますよね。私も講師を担当することがあるのですが、講演を聞いた子どもたちが「じゃあ、これで良いじゃん!」となってしまうと、価値観の醸成につながらないのではないかと思っています。

そこで、講演の後に学校の先生にフォローしていただいたり、できれば複数の立場の講師を呼んで価値観を相対化できたりすると良いかと思います。

Q.社会科の教員です。今の金融教育において、間接金融から直接金融に注目が移っているように思います。ただ、間接金融から、金融と社会や企業のつながりを学ぶことも大切ではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

  

※間接金融:https://www.j-flec.go.jp/public/learn/glossary/k_kansetsu_kinyu/
※直接金融:https://www.j-flec.go.jp/public/learn/glossary/t_chokusetsu_kinyu/

直接金融であれば、自分の興味がある会社に投資してみると金融と社会のつながりがわかりやすいと思います。興味がある会社であれば自然と動向に目が向くので、会社の動きと株価の変動に気づくこともできます。

投資信託では、投資する会社は選べませんが、市場社会への投資について学ぶことができるかと思います。会社の社会的信頼についての学びにもつながるかもしれませんね。

中学校の先生からの情報提供:

昨年、廊下に経済新聞を掲示して、生徒が1週間ごとに気になる企業を調べたり、模擬的に株を買うシミュレーションをしたりする活動をしていました。毎週、生徒たちが株価の変動に注目していて、上がり下がりに一喜一憂する様子などがみられて面白そうでした!

  

  

Q.金融商品を選ぶ際に、AIを使って判断することについて、どう思われますか?

  

「どの銘柄を買うのが良いか」を判断するためにAIを頼りにするのはリスクがありますが、想定しうるリスクの洗い出しや、リスクを避けるための選択肢(分散投資など)を検討する時に使うのは良いかと思います。

ただ、リスクを洗い出す際に、家計の課題などを総合的に見ないといけないのですが、人には意外と「見ないふり」をしている課題があるものです。お客さんの相談に乗っていても、旦那さんが席を外した時に奥さんが「実はね……こういうことがあるの」みたいにこっそり教えてくれることもあります。逆に、私の方から突っ込んで訊くこともあります。一人でAIを使うと、そういった隠れた課題を見落としてしまう可能性があるかもしれません。

生成AIの教育活用を研究している参加者からの情報提供:

生成AIに「資産運用について聞いても良いですか」と入力してみたら、「良いですが、価格予測、売買のタイミングの判断、勝てるかどうかの判断は任せてはいけません」と言っています!使えるところと、使えないところが、AIもわかっているみたいです。

  

  

Q.金融教育を担っていく学校の先生には、不安もあると思います。ここを押さえておけば大丈夫というポイントはありますか?

  

講演でも触れましたが、収益性、安全性、流動性の3つは抑えるべきだと思います。全てを満たす金融商品はないので、長所・短所をよく考える必要があるということですね。

また、みかんの例で説明した長期運用・積立投資の話も重要です。実は、NISAを2年で解約する人が70%もいるのです。価格が下がると「もうダメだ」とすぐに辞めてしまう人が多いのですが、根気よく続けていくことが利益を得る上で大切です。

また、毎日株価の上がり下がりを見る必要はあまりないと思います。気持ちも落ち込みますし、長期運用ならそこまで気にしなくて大丈夫かと。家賃や光熱費くらいの頻度で見て、「あ、増えてる!」と思うくらいで良いと思いますよ。

  

  

Q.数学の教員です。数学の良いところは、価値観などを抜きにしてシンプルに構造として仕組みを理解できることだと思っています。価値観をすぐに醸成するのは難しい面もあるかもしれませんが、数学的に構造を捉えるような学び方はできるでしょうか?

  

数学は金融経済の学習でも重要ですよね。

構造を理解した上で、最終的にどのような判断をするかが重要になると思います。

数学の先生からの情報提供:

資産運用に関する数学は、ほとんどが大学で学ぶ内容なのが難しい点です。期待値の学習で、自分の感覚と実際の利益率のズレを体験することはできるかもしれません。分散投資のメリットが数字で見られる一覧表を使った学習もわかりやすいと思います。

複利の計算なら、中学生でもできると思います。

生成AIの教育活用を研究している参加者からの情報提供:

シミュレーターの裏側の一部に関わる数学的な仕組みを学ぶ教材は、生成AIでつくれるかもしれませんね。

ただ、ファクトチェックは必要なので、数学の先生や、大学の研究者に監修していただけると良いと思います。

Q.自分の価値観やリスク・リターンを考えて意思決定を行うということは、身につくまでに時間がかかると思います。小学生にどう伝えていったら良いでしょうか?

  

中学生以上なら、リスクはこちらから指摘するというよりも、自分で気がつくものになっていくと思います。また、少子高齢化など、リスクの背景にある社会情勢についても、知識があるので理解しやすいでしょう。

ただ、小学生の場合はまだ難しいので、「何かあった時に備えておく必要性」から学ぶのが良いのではないかと思います。「何かあるかもな」で止まるのではなく、何かあったらどうするか、どういう対応ができるかなどを、少しずつ伝えるのが良いのではないでしょうか。また、先ほど紹介した「生活設計・マネープランゲーム」は小学6年生くらいでも出来るので、導入に活用しても良いと思います。


以上で、第174回千葉授業づくり研究会のレポートのご報告とします。ご講演いただきました大久保さん、参加者のみなさま、誠にありがとうございました。

今回の研究会が、先生方の今後の教育活動や、大学生・高校生の今後の学びにつながったら幸いです!

千葉授業づくり研究会の参加方法

千葉授業づくり研究会にはどなたでも参加できます。

興味がある方は、こちらの開催情報をチェックしてくださいね!

2025年9月2日(火)、板橋区立赤塚第二中学校3年生の生徒の皆さんへ、ソニー株式会社(以下、ソニー)と東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)、そして企業教育研究会(以下、ACE)の3社でお届けしている「キャッシュレスってなんだろう?~電子マネーから学ぶ、キャッシュレスと経済のしくみ~」の出張授業を実施しました。

 

この日は学年を3つのグループに分け、2コマ×3回の授業を展開しました。このblog記事では1~6時間目まで実施した授業のうち、3、4時間目の様子を紹介します。

「キャッシュレスってなんだろう?~電子マネーから学ぶ、キャッシュレスと経済のしくみ~」の授業プログラムとは?

近年、キャッシュレス決済の活用の場がさらに広がり、私たちの生活にとても身近なものになっています。それに伴い、多様化した購入・支払い方法の特徴やメリット・デメリットを子どもたちも理解した上で活用していくことが求められています。本授業では、子どもたちが社会との関わりを実感しながらキャッシュレス決済の技術や意義を理解し正しく活用できるように、キャッシュレスに関わる事業者であるソニーとJR東日本と共に学びます。

 

この授業は、教科横断的な内容が特徴です。家庭科や社会科、理科と結びつきながら、キャッシュレスの技術や経済の仕組みを学びます。50分×2コマの構成で、座学とグループワークをバランス良く取り入れた充実した授業プログラムとなっています。

キャッシュレスってなんだろう

3,4時間目の講師を務めるのは、ソニーの早乙女(そうとめ)さん、JR東日本の山口さん、宮澤さん、そしてACEの瀬尾さんの4名です。教室でない部屋、2クラス合同、そして講師4名の他にも関係者の大人が複数名後ろで見学しているという状況だったので、生徒たちはいつもと違う雰囲気に少し緊張気味での授業スタートです。

 

まず、「モノを買ったりサービスを受けたりするとき、普段どのような方法で支払っていますか?」というシンプルな問いが投げかけられました。近くの人と話しながら考える中で、最初の緊張感は一気に溶け、様々な支払い方法の意見が出てきました。現金、PayPay、交通系ICカード、クレジットカード、プリペイドカード、図書券などなど。「PayPayは使うけど結局現金かなー」「クレジットカードってどんな仕組みなのかよくわからない」「9割がキャッシュレス」と様々な声が聞かれましたが、全体的には現金支払いとそれ以外の併用をしている実態のようでした。その後、現金以外の支払い方法を「キャッシュレス決済」と呼ぶことや支払い方法の移り変わりを確認したのち、キャッシュレス事業者として、ソニーとJR東日本の講師3名がそれぞれ自己紹介・会社紹介をしてくださいました。

FeliCa技術の秘密に迫る!

続いて、キャッシュレス決済の技術のひとつとして、ソニーが開発した非接触技術FeliCaが紹介されました。生徒にとっても馴染みがある、カードやスマートフォンを端末にかざして「ピッ!」と支払う技術のひみつを紐解いていきます。まずは生徒1人1枚ずつ、スケルトンカードが配布され、カードの中身を観察しました。生徒の皆さん、手に取ると興味津々で「こんなふうになっているんだー」「すごいなぁ」と嬉しそうにカードを眺めています。ソニーの早乙女さんから全体に向けてスケルトンカード内の中身について詳しい紹介もありました。

カード内の中身がわかったところで、それを使ってどうやって決済しているのかという疑問を実験で解説していきます。下部写真にあるようなスケルトンカードと同じ仕組みを模したコイルを巻いたシートをICカードリーダーにかざすと、電池がないのにLEDランプが点灯!「どうして光ると思いますか?」という問いかけに、「電磁誘導・・・」とつぶやきが聞こえました。中には、フレミングの法則で手をかたどっている生徒も。中学3年生にとっては既習内容ということもあり、電磁誘導の原理を生かしてFeliCa技術が成り立っていることをすんなり理解できたようです。生徒たちは、電磁誘導の原理が私たちの身近なところで活用されていることに驚いていました。

このあと、キャッシュレス決済におけるお金のやりとりや3つの支払い方法(前払い・即時払い・後払い)について、JR東日本の山口さんからスライドのアニメーションを使って丁寧に解説されました。

キャッシュレスの利便性や価値とは?

続いてキャッシュレス決済の利便性について考えました。「持ち運びやすいよね」「残高が分かりやすい」「おつりが出ないのがいい」など各グループで様々な意見が出ていました。生徒の皆さん、キャッシュレス決済のメリットについてすでに実感している様子です。「履歴が見やすい」というメリットについては、実際の利用履歴を見てみようということで、今回はなんと学年担当の城山先生のSuicaの履歴を見せていただくことに!城山先生のSuicaをリーダーにかざし、スクリーンに利用履歴一覧が表示されると、「わぁー!!」と盛り上がる生徒たち。履歴から先生の日常を垣間見ることができ、身近な情報が記録されていることに皆、興味津々な様子でした。

履歴に合わせて、そのときの行動について話してくださる城山先生

また、消費者の視点だけでなく、店舗側のメリットについても考察しました。初めは「なかなか思い浮かばない~」と嘆いていた生徒も、グループの友達と話し合う中で、「おつりの間違いがない」「売上を数えなくてよくなるのでは?」「店員の不正も防げる」などどんどん意見が挙がってきました。この学年の皆さんは普段の学校生活の中で話し合い活動を意識的に行っているそうで、皆で話し合うことに慣れており、意見を出し合い互いに高め合うことがとても上手な印象がありました。

と、ここで3時間目が終了の時間に。4時間目は「キャッシュレス決済のメリットとデメリットを具体的に考えるワークを行う」ことを予告し、休み時間に入りました。

「キャッシュレスは私たちにとってどんないいことがあるか考えてみよう!」

4時間目がスタートしました。グループワークでは、消費者と店舗、それぞれの立場にキャラクター設定をすることで、キャッシュレス決済のメリットを具体的に考察していきます。都内で一人暮らしをする社会人や、商店を営む店主など、生徒はそのキャラクターの立場に立って考え、グループの皆で議論し合います。ときに机間支援してくれている講師の方々と対話しながら、話し合いは盛り上がっていました。時間目いっぱいまで各グループわきあいあいと活動していました。

発表は、各グループが自分たちの端末で作ったGoogleスライドをスクリーンに提示し全体に共有するスタイルで行われました。どのグループも各キャラクターの性格や置かれた状況をしっかり把握した上でメリットを考え、発表してくれていました。

また、中には追加課題「キャッシュレスがもっと広まった社会はどうなるか」にチャレンジしたグループもあり、「すでに海外で普及し始めている‘手首にチップを埋め込んで決済する方法’がもっと広がる未来があったらより便利になると思います。」と発表してくれました。JR東日本の宮澤さんから「日本でも利用が広がる未来は近いかもしれませんね。皆さんの気付きというのは、未来へのヒントとして重要だと思います」とのコメントが。中学生のような若い世代から生まれる気付きやアイディアは大人にはない発想や視点もあるので、とても参考になる、とおっしゃる企業の方々も多いです。出張授業をすることは、子どもたちだけでなく、企業の方々にとっても有意義な機会となるようです。

このグループワークを通して、生徒の皆さんはキャッシュレス決済を利用するメリットを具体的により深く考えられたことと思います。

一方で、ワークを進める中でキャッシュレス決済の「気を付けなくてはいけない面」に気付いていていたグループもありました。そこで全体で考えてみることに。生徒からすぐに手が挙がり、「使いすぎてしまうことが危険」「詐欺に合ってしまうかもしれない」という意見が出ました。まさにその通り、ということでJR東日本宮澤さんからもどんなことに気を付けていけばいいか、注意点や問題が起こったときの対処方法について具体的な解説がありました。リスクをしっかりと把握した上で気を付けながら賢く活用していくことが大事だということです。

キャッシュレスが広まる社会とは?

便利なキャッシュレス決済ですが、実際日本でのキャッシュレス決済普及率は意外にも40%ほどで、世界から見るとまだまだ後進国。国としてもコストのかかる現金決済からキャッシュレスへシフトするべく、普及率80%の目標を掲げています。各キャッシュレス事業者の企業も様々な取り組みや試みを行っており、社会全体でキャッシュレス決済の普及を目指しているそうです。そこで、ソニーとJR東日本の企業としての取り組みを紹介。ソニーは海外での活用例について、JR東日本は「Beyond Station構想」やSuicaの機能拡充について、それぞれ未来に向けた挑戦について語っていただきました。生徒のみなさんは熱心に耳を傾けていて、内心とてもわくわくしていたことと思います。

キャッシュレスに関わる仕事のやりがい

最後に、キャッシュレス事業者の講師の3人から、ご自身の仕事内容とそのやりがいについてお話をいただきました。

ソニーの早乙女さんからは「いろいろな業界の人と仕事して視野を広げたり、事業を盛り上げたいという同じ思いをもった仲間がたくさんできたりすることが楽しくて嬉しい」というお話が。JR東日本の山口さんと宮澤さんからは、自分の関わっている仕事について、お客さまに喜んでもらったり世の中で認められたりしたときに達成感や喜びを感じる」とのお話がありました。こうやって実際に社会で働く大人から働く様子ややりがいを直接うかがえるのは、生徒の皆さんにとって自分の将来について考える際のヒントや貴重なきっかけになったと思います。

ここまで充実の内容の100分。最後に授業のまとめを行い、授業はここで終わりました。今回の授業を通して、生徒の皆さんがキャッシュレス決済を賢く使いこなすためのヒントを得て、未来の社会を「自分ごと」として捉えるきっかけになったことを願っています。

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【生徒の感想より(授業後のインタビュー)】

キャッシュレスは現金を持ち歩かなくて良いので便利だし、後払いや前払いが選べるから支払いに融通が利くし、支払いが早く済むなどのメリットがあると思いました。一方で、やっぱり不正利用などのセキュリティが心配だったり、使いすぎたりというデメリットもあるから、そこのバランスを考えて、自分はキャッシュレス決済と向き合っていきたいなと思います。

【板橋区立赤塚第二中学校学校 城山教諭より】 

社会の第一線で活躍されている企業の方々から直接お話を聞ける機会をつくりたいと思い、この授業を申し込みました。この内容は社会科の公民分野の経済のところに関連する学習ですが、今回の体験が生徒たちにとってキャッシュレス決済をより自分事として捉えるきっかけになっていたら嬉しいなと思います。

【ソニーご担当者 早乙女さまより】 

お金の払い方には色々な方法があることが分かったのではないでしょうか。今回の授業をきっかけに、自分に合うお金の使い方を自分たちで考えてほしいと思います。また、キャッシュレスの仕組みやその利点に興味を持っていただけたら嬉しいです。将来の生活に役立つ知識を身につけて、より良い選択ができるようになってほしいです。 

 【JR東日本ご担当者 山口さまより】 

キャッシュレス決済によって、皆さんの生活がどのように便利になるのかを実感していただきたいという思いで、今回の授業プログラムへ参加いたしました。グループワークの時間では、生徒の皆さん一人ひとりにキャッシュレス決済の具体的な利用シーンとそのメリットについて真剣に考えていただきました。今回の授業がきっかけとなり、皆さんにとってキャッシュレス決済がより身近な存在となってくれていたら嬉しいです。

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2021年度より千葉大学大学院教育学研究科の講義において、大学院と企業教育研究会(以下ACE)が連携を取ることになり、今年度も継続して協力しています。今年度から本講義は、教員としての高度な専門的職業能力の習得を目指す専門職大学院(教職大学院)の講義としても認定され、履修生の幅を拡大し実施されています。

このブログでは、本年度に実践された授業の様子(第3報・株式会社メルカリ(以下メルカリ)さま編)をお届けします!

 

【講義概要】

『DX関連企業と連携した授業づくり』
DX関連企業がNPOと共同で開発して初等中等教育諸学校に提供している教育プログラムについて、実際に企業やNPOの関係者からの聞き取りも含めて学び、実際の学校で特定の学習者に向けてプログラムを修正して授業を実施するとともに、授業の実践や観察を経て授業の振り返りを行い、DX関連企業と連携した授業づくりを実践する力量の形成を目指す。


【アレンジ版授業概要】

■授業タイトル

『 メルカリで学ぶ循環型社会 』 (協力企業:株式会社メルカリ)

■授業数 2時間(50分授業×2回)

■対象 中学3年生

■関連教科

社会、家庭科

■学習目標

・メルカリで売られている物について考え、さまざまな物がリユースできることを理解する。

・循環型社会のしくみについて、擬似メルカリ体験活動を通して考える。

・循環型社会において、どのような行動ができるか考えたり、意見をまとめて発表したりする。

■生徒の活動

・実際に売られている物を見て、購入者や売れる物について想像し、店舗とメルカリで買うことの違いについて考える。

・各自持参の使用しなくなった物について、出品用テンプレートにまとめ、参観学生に疑似的に購入してもらう。

 


【授業の様子】

■メルカリ会社紹介■

メルカリ・齋藤さんより会社紹介。

 

メルカリという会社は、皆さんがイメージするフリマアプリだけでなく多様なサービスを提供しています。グループ全体のミッションとして「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」を掲げ、スマートフォンアプリを通したいろいろな体験を提供しています。

 

例えば、メルカリShopsという、農家の方や、ハンドメイドの作家さんがお店を出せるような機能を作り、インターネットや新しい技術をもっと使って地域を活性化させる取り組みをしています。また、QRコード決済やクレジットカードなどの金融サービスに加え、暗号資産を売買できるサービス等もつくっています。

 

フリマアプリでは、ここ10年で30億品以上出品され毎月数千万人が利用しています。親の承諾があれば未成年でもアプリの使用が可能です。アメリカでもサービスを展開したり、インドに開発拠点を作ったりもしており、物やお金などが循環する社会をつくっていきたいと思っています。

 


■出品を想定した活動■

 

出品され実際に購入もされている意外な物たちについて(トイレットペーパーの芯、玉ねぎの皮など)、使用用途や値段を想像する活動を行いました。

生徒から、「意味の分からない物が売り買いされている」という感想が出るなど、想像もしなかったさまざまな物がリユースでき、人の役に立つ可能性があることに気づきました。

 

次に、自身では使用しなくなった物について、値段を決め、出品に向け紹介文言を考える活動をしました。それぞれ、使用済み問題集、使いかけのペン、ハーゲンダッツの蓋などを持ち寄りました。

 

活動に用いるテンプレートについて説明を受け作業開始。齋藤さんから、「ただ安く売るのではなく、どんな人にいくらぐらいで欲しいと言ってもらえるか。要らなくなった物が他の人にはどんな価値を生み出すかを考えてみて」とアドバイスが。

 

問題集は塾講師に需要があるのでは?使いかけのペンは、まずは少し使ってみたい人や、いろいろな色を使用する授業で用途があるのでは?など、生徒自身で購入者を想定し、テンプレートに入力していました。

 

 


■発表・講評■

 

作成したテンプレートを基に、それぞれの出品について発表しました。その後、授業参加者の投票を購入行為に見立て、出品から購入されるまでの流れを疑似体験しました。

 

齋藤さんは、生徒が持ち寄った物と同じ物が売られているページなどを紹介し、これらは実際に購入される可能性が高いこと、生徒が購入者を具体的に想定して活動できたことが良かったと講評しました。

 

また、ただ売れてよかったというだけではなく、メルカリは物を循環させることで循環型社会の実現に貢献していること、そしてその貢献のため、環境に良いインパクトを与えるための取り組み(プラネット・ポジティブ)についても説明しました。

 

その説明の中で、最も取引量が多い衣類カテゴリーの算出では、約53万トンのCO2の排出を回避できたことが推計されており、そのCO2排出量は東京ドーム約220杯分の容積に相当すること。また、古着だけのファッションショーをしたり、自治体と連携して不要品を回収する取り組みをしたりなど、多くの人に馴染み、目に触れる企画を進めていることも紹介しました。

 


■授業実践後のふりかえり■

 

講義担当・藤川教授より

既存教材のアレンジではなく、新しく作成することに挑戦し、且つ、とても楽しい授業であったことは良かったと思います。ただ、タイトルに循環型社会という壮大なテーマが掲げられている中、その説明部分を全て齋藤さんに任せてしまうのはどうか。循環型社会についての全体像やストーリーと、今日の活動とのつながりを、まずは授業者が構築する必要があると感じました。例えばCO2削減であれば、世界の削減要求について、洋服がそのうちどれぐらいを占め、どの程度のインパクトがあるのか示すなどして欲しい。そうすれば、生徒もなんとなく良さそうというレベルではなく、数値的納得につながると思います。

 

ACE明石より(講義全般に渡り学生の指導を担当、及び協力企業窓口を担当)

模擬メルカリというオリジナルの学習活動を考えられた点は、とても面白かったです。今回、模擬メルカリのためのICT教材を作成することに挑戦してくれたのですが、紙のワークシートと違い、ICT教材の場合は、発表時に誰のPCに情報を集約するかなど、詳細を検討しておく必要があります。授業時間が押した原因として、そういう点もあったかと思います。

また、学生から、メルカリで実際に購入する際はテキストベースで判断するなら、口頭発表をさせない方法もあったのではという意見や、折角の授業だから発表をという意見もありました。それに対してですが、授業だから発表させた方がいいとは必ずしも言えないのではないかと考えています。本当に発表が良いのか、発表しないなら授業者としてどういう工夫をしたら効果的か、是非検討して欲しいと思います。


【メルカリ・齋藤さまより】

担当の大学院生グループの方々のなかには、メルカリのサービスを普段から利用している方もそうでない方もいらっしゃいましたが、メルカリをテーマにどのような授業を組み立てられるだろうかと、打ち合わせを何度も行いながら授業内容を企画しました。

アイデアを話し合う過程で、メルカリが用意している既存の教育教材をそのまま利用するのではなく、授業を通じて「メルカリが目指している循環型社会を中学生が体験しながら学ぶことができないだろうか」という方向性が定まり、フリマアプリ「メルカリ」の出品画面を模したオリジナルのワークシートを作成したり、授業当日に他の大学院生グループに自分では不要になった物を持ってきてもらったりするなど、念入りな準備・仕掛けづくりができていたと思います。

一方で、それらの説明の情報量や使用する資料が増えたことにより、循環型社会についての具体的な解説や、授業を受けたうえでこれからどのような行動に移すとよいのかなどの検討にあてる時間が不足したため、さらに中心テーマの深堀りができると良かったと思います。

全体を通じて学びの大きいチャレンジングな取り組みだったと思いますので、今後の授業開発の参考にさせていただきたいと思います。ご協力、ご助言いただいた皆様ありがとうございました。

 

―日本の教育をアップデートする!! ―

20周年記念特別イベント 日本の教育をアップデートする!! 7回連続トークセッション!!

10月21日(土)SESSION5 デジタル時代の金融教育が開催されました。学校の先生、学生、企業にご勤務の方など様々な方にご参加いただきました。

 

2022年4月から成人年齢が18歳になったことで、高校生でもクレジットカードの作成ができるようになりました。これに伴って金融に関する学びの需要は高まっているものの、まだ学校教育では十分に金融教育が実施できていない課題があります。大人でも難しく感じるテーマでもありますよね。

 

今回は、「デジタル時代の金融教育」をテーマに、金融教育の現状や学校現場での授業の進め方などを、産官学それぞれのスペシャリストの登壇者にプレゼンしていただきました。

 

続いて行われたパネルディスカッションでは、学校現場の声を聞くことができる場面もありました。興味深い質問が続き、大盛況となりました。

 

以下、当日の様子を詳しくレポートしていきます。

※各登壇者のプロフィールはコチラ

金融教育でのやるべきことと、学校現場とのギャップが課題。

藤川大祐教授

 

本日のテーマは金融教育です。

 

高校の公民科では投資を扱うことになっているのですが、学校現場では金融教育はまだ盛り上がっていないように感じます。やらなくてはならないことと学校現場の状況とのギャップが大きいのかな、と考えております。

 

他方で、18歳成年制度によって、消費者教育はホットな話題です。消費者教育の枠組みの中で金融などを扱う例がありますし、消費者教育との関連で注目されているように感じられます。

 

そして、私たちのNPO法人企業教育研究会では、これまで色々な企業の方々と金融関係の授業づくりを行ってきました。例えば、キャッシュレス経済を取り上げた授業プログラムなどを実施しました。

 

それでも、「これだけでよいのか」という思いがあるのですよね。今日を機に、新たに金融教育の充実のためにできることを考えていきたいです。

 

本日は、このような問題意識の中で、産官学の各立場での意見や参加者の声を取り入れながら、金融教育への理解を深めていきたいです。

メルカリの金融教育の取り組みと今後のFintechにおける展望

齋藤 良和さん

メルカリの事業紹介

メルカリグループでは、フリマアプリで売り買いを楽しめるサービスやFintech、ビットコインの取引など、様々なサービスを提供しています。今回は、Fintech領域のキャッシュレス決済など身近なお金に関するところについて事例を交えながらお話をしていきます。

 

メルカリでは色々なサービスを立ち上げていますが、「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」ことをミッションにしています。

 

例えば、フリマアプリで循環型社会を作ろうとするところに、金融が組み込まれているという位置付けです。

 

そのために取り組む課題として「安心安全な環境を作る」ことが必要です。その一環として、教育活動を行っています。

 

また、Fintech関係の領域については、決済、与信、資産運用の3本柱で取り組んでいます。特に、与信の部分についてはメルカリのサービスを問題なく使えば信用が貯まるという風に、独自の与信を活用したサービスを提供しています。

 

 

教育に関する取り組み

 

フリマアプリを安心安全に使うプログラムを数年前に作成し、以降改良を重ねています。最近では、高校の金融教育の範囲拡充に伴い、若年層の利用者向けの啓発が必要だと考えています。

 

関連して、教育に関する取り組みを主に2つ行っています。

 

1つ目は教材のポータルサイト「mercari education」」を開設しました。そこで、教育プログラム(授業教材)を無料公開しております。このサイトでは、誰でも無料で教育プログラムをダウンロードできます。出前授業だと自社のリソース面で継続的な取り組みが難しいところがあるので、企業の立場からの情報をオープンにして教育現場で使っていただけるようにしています。

 

2つ目は、教育機関と連携をして出前授業や授業づくりの支援を行っています。将来フリマアプリを利用するかもしれない中学生や高校生に向けて、フリマアプリやキャッシュレス決済のサービスを題材として学べる授業づくりを行っています。金融教育としては「メルペイと考える安心安全なキャッシュレス社会」として、インプットだけの教材とならないように、実際に起きそうなトラブル事例を踏まえて、グループワークやディスカッションができるストーリー性のある教材を作成しています。    

 

今後のFinTechサービスの展望

プロダクト・サービス面における金融リテラシー向上のための取り組みも重要だと考えており、プロダクトを利用する体験や教育施策を通じて、金融リテラシー向上を目指します。

これからの金融リテラシーとは

瀧 俊雄さん

「正解」がない時代

私たちはお金をテーマに掲げてはいるのですが、皆さんにお金について四六時中考えてほしいわけではありません。お金よりもっと大切な悩みが皆さんにもあるはずです。この週末どう楽しく過ごすとか、家族との過ごし方とか。

 

私たちの置かれている現状は、「正解」がなく自分で答えを出す時代だと思います。どの会社に勤めれば良いかわからない、親の言うことをそのまま聞いて良いのだろうか、という状況は結構あると思っています。

 

また、学校の先生ですと、お金の問いについて「自分ができていないのに学生に教えて良いのか」と考えて行動しづらい場合もあります。

 

60点を取れれば十分というマインドセット

Fintech関係の話をすると、15年くらい前から家計簿ソフトがたくさんあります。むしろ、家計簿って日本にしかないものです。海外のほとんどの国では、家計を自動化するツールはあるけれど、そのうえでクレジットカードや保険をオススメする商品が付随するサービスが多いんですよね。

 

ただ、スマートフォンの台頭で家計簿サービスが出たものの、使いこなせている人はまだ少ないと思います。その辺のハードルをどう乗り越えるべきかが会社として悩んでるポイントでもあります。

 

正直、Fintechは「『絶対によいもの』が存在しない時代に、 60点を取れれば十分」くらいの期待値で扱うべきで、魔法のような期待をしてはいけないと考えています。

 

例えば、夫婦で家計についての 「会話」ができれば、それで満点だと思います。

 

これからの金融教育で大切にしたいこと

お金が「家庭科」で教えられるのは、家庭ごとの差異があるからだと思います。そして、親ができていないことは子どもも見習うことはできません。ですので、当社の金融教育の中では、親のリテラシーを上げることを大切にしています。

 

そのうえで、重要なのは「自立」することです。これは、自分で生きていくのではなく、誰に相談すれば良いか把握しているなど、本当に困った時に頼ることのできる能力です。

 

最後に、ほとんどの人にとっての重要な資産は働ける能力だと考えています。

 

例えば、72歳の健康寿命ギリギリまで働きたいと思える状況って、仕事が好きだからですよね。なので、まずは「仕事って何」「好きなことって何」というのを、子どもたちと一緒に考えていくことが金融教育では大切だと考えています。

金融庁から見るフィンテックと金融経済教育

串田 有さん

(注)本講演における意見に亘る部分は、登壇者の個人的見解であり、所属組織の見解ではありません。

 

技術は中立なので、良く使うことも悪く使うこともできる

 

フィンテックと金融経済教育というテーマを見たときに、キャッシュレスや金融トラブル、SNS・マッチングアプリ、投資体験アプリ、暗号資産など様々なものが浮かびましたが、いずれにせよ「技術の進展」×「金融リテラシー」がキーワードになると思います。

技術は中立的なので、良く使うことも悪く使うこともできます。

 

悪い方向に働く例としては、悪意のある者が技術の進展を悪用する例があります。

 

例えば、「高額なサーバ型プリペイドカードの番号を悪意のある第三者に教えてしまう」「口座情報を不正取得され、悪用されてしまう」「マッチングアプリなどで知り合った人に『絶対儲かる』と言われてトラブルに巻き込まれてしまう」「先払い買取現金化を利用したトラブルに巻き込まれてしまう」などが挙げられます。

 

こうした事案から利用者を保護するため、金融庁としては、利用者への注意喚起や金融経済教育の推進に取り組んでいます。

 

他方、良い方向に働く例もあります。技術の進展により金融サービスの利便性が向上し、そのサービスを利用する利用者の金融リテラシー向上につながる例が考えられます。

 

具体的には「アプリを使うことで支払履歴の管理をする」「株式投資をシミュレーションするアプリで、投資の知識が身につく」「家計簿アプリで支払いや保有資産を一元的に管理する」といった例が挙げられます。

 

こうした金融サービスの普及・活用を促進するため、金融庁としては、適切な制度整備や事業者支援に取り組んでいます。

 

資産所得倍増プランの推進

「資産所得倍増プラン」を政府として進めています。家計に眠る現預金を投資につなげることで、ライフプランやライフステージに応じた安定的な資産形成を支援しています。

 

具体的には、消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設や安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実などが挙げられます。

 

2024年春には、関連法案の成立・施行を前提に、新たな認可法人として「金融経済教育推進機構」を設立予定です。その後、夏に本格稼働できるように可能な範囲で準備を進めています。

 

最後に、私としては「お金はあくまで手段に過ぎず、その先の人生をどうしたいのかが大事」だと考えています。そこに向けて、みなさんがお金の面で安心できる環境作りを目指しています。

消費者教育の観点からみる金融教育と デジタル時代の金融リテラシー

鈴木 真由子さん

消費者教育の観点から見た金融教育

まず、消費者教育では、消費者市民としての人間形成を目指していきます。社会の構成員として、消費を通じて社会を良くすることを考えていきます。

 

かつては消費者は保護の対象でしたが、2012年に成立した消費者教育推進法では自立した消費者市民であることがキーワードとなります。

 

では、消費者教育の観点から見た金融教育となりますと、「クリティカルに意思決定できる消費者市民の育成」が必要になっていきます。生活主体者としての経済的な生活実践力を得ることが必要だと考えています。

 

消費者教育が重視される社会的背景

1つ目には、成年年齢18歳への引き下げがあると思います。成年になるということは、契約の主体者となる場合に保護の対象にはなりません。ですから、自分の意思決定に責任を持たなくてはなりません。そのため、18歳になるまでの間に消費者教育関連のことを学ぶ必要があります。

 

もう1つ、高度情報社会への移行が考えられます。デジタル化、キャッシュレス化、消費者トラブルの低年齢化が起きるようになりました。

 

以前、大学生を対象に1週間分の買い物を分析する課題を出したことがあります。35人の受講生のうち、全て現金払いは0人、全てキャッシュレスが3人もいました。また、8割型キャッシュレス支払いを利用している受講生が半数以上いました。前提として、これがZ世代のお金の使い方の現実なのです。

 

そうなると、金融リテラシーとともに、デジタルリテラシーも不可欠になってくると思います。

 

学校消費者教育の展開における課題

外部講師による出前授業や教材資料の提供にはニーズがありますし、様々な取り組みが実施されています。

 

しかし、学校の窓口や消費者教育コーディネーターにつながることができていません。

 

意識の高い教育現場の方は自ら情報を探しに行きます。ただ、消費者教育を普及させるならば、そうではない方にどのようにアクセスしてもらうかが鍵となります。

ディスカッション

プレゼンの後には、参加者による挙手制でパネルディスカッションを行いました。また、オンライン上で質問ができるサービス「Slido」を使用して参加者の感想や意見にも触れました。パネルディスカッションの様子を一部抜粋要約してご紹介します。(敬称略)

 

Q.家庭の経済環境が大きく違う子が集まる教室での金融教育について

(藤川)学校教育の中では色々な経済状況のお子さんがいるわけで、どう対応していくかが大事です。民間企業ですとターゲットを絞ってサービス提供することが多いと思うので、ぜひ議論したいところです。

(齋藤)提案ですが、メルカリで売りに出す体験をしてみるのも金融教育の一環のように思えます。自分で稼いでお小遣いを得る体験をしてみるのも1つの方法として良いのではないでしょうか。バランスが難しいところですが、実際にサービスを触る体験をしてみるのはいかがでしょうか。

 

(瀧)生徒たちが卒業後就職し、収入を得ることをイメージするために、卒業後の先輩の話を聞く場を作るのがオススメです。学生のうちは、まだ世の中にどのような仕事があるのかを知らない子が多いですよね。まずは、仕事の種類の多さに触れて、どこかに自分の居場所があることを知ってもらうことを先に行うと良いと考えます。

 

(串田)私も卒業生の方などに「いろんな選択肢があるんだよ」と伝えてもらうのが良いかなと思います。自分の人生をどうしようか考えるきっかけになりますし、そして、お金と向き合う機会になるのではないでしょうか。

 

(鈴木)貧困は虐待とセットになることが多いので子どもたちのプライバシーに配慮しなくてはなりません。ただ、平均値で話しても伝わりません。「主たる生計者が失業してしまった。この家はその後何をしたらいいんだろうか」のように、自分ごととして考えられる例を提示して問題解決をさせる必要があります。クラスの中で経済環境の格差がある場合は、「しんどい」状況の子がリアルを持ち込まなくても済むようなロールモデルやモデルケースを提示するのであれば、経済環境が違う子もグループ活動などができるのではないでしょうか。

 

Q元教員です。学校現場との関わり方をどう考えているのかを知りたいです。

 

(齋藤)学校現場ではどういうニーズがあるのかを企業側からわかりにくい部分があると感じます。出前授業を1コマやってほしいのか、別のことをしてほしいのか、などの温度感がつかみにくい状態です。学校と企業がお互いに何が必要なのかが把握できておらず、今後は情報のやりとりの敷居を低くしていかないとならないと思います。

 

(鈴木)現場の先生方には、今のZ世代の生活実感に近づいてほしいです。何を買っているのか、どんなお金の使い方をしているのか、この子たちはここで困っているんだ、などの実態を知ってください。出前授業を行う場合、リアリティと切実感がないところに問題解決はないと思います。出前授業をイベントで終わらせないでください。

 

(藤川)子どもたちのニーズを捉えた上で、対応した授業を提供するのは教員として本来重要な仕事ですよね。しかし、優先順位が下がってしまって、他のことに仕事の時間を奪われてしまっております。なかなか学校現場がニーズを捉えられる状況になく、私たちにとっても大きな課題です。

最後に藤川教授より

本日は大変興味深いお話をどうもありがとうございました。色々な論点が出て、これからあと2、3時間議論するともっと深まるのではないかとも感じますね。

 

それぞれ宿題を持ち帰り、金融教育について考え深めて実行できる機会があれば、と考えております。

 

こういう形で今後も色々な方とお話をしながら、教育実践につなげていきたいです。

【ライター:藤川研究室2018年修了生 遠藤茜】

フリマアプリにおける個人間商取引について学ぶ授業プログラムの開発
明石萌子(企業教育研究会)、藤川大祐(千葉大学)、阿部学(敬愛大学)、関谷紳吾(企業教育研究会)、山本恭輔(千葉大学)、市野敬介(企業教育研究会)、武蔵振一郎(千葉県立千葉中学校)、齋藤良和(株式会社メルカリ政策企画)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/konpyutariyoukyouiku/49/0/49_46/_pdf/-char/ja
 
インターネットを介して個人間商取引を行うフリマアプリが普及し、中高生がフリマアプリ利用時にトラブルに遭うことが懸念されています。NPO法人企業教育研究会では、株式会社メルカリ様と連携してフリマアプリ利用時のトラブルを題材に授業プログラムを開発し、授業実践を通して授業や教材の有効性と課題について研究を行いました。研究の結果、授業を受けた中学生の多くはフリマアプリ利用時の注意事項を理解し使い方を自分なりに考察できたという成果が示されました。
 
本研究の成果をまとめた論文がコンピュータ利用教育学会の学会誌『コンピュータ&エデュケーション』Vol.49に掲載されました。この論文を通して、中高生がフリマアプリを安心・安全に利用するために必要な学習内容や、学習の際に有効な教育方法について、学校の先生や教育研究に携わる人に広く伝えることができれば嬉しく思います。
 
また本研究では、授業の有効性が確認された一方で、一部の内容について授業者の解説の仕方に検討の余地があることも示されました。引き続き、研究を通して明らかになった知見や課題を、授業開発や授業実施に活かしてまいります。
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