2025年5月24日、「第169回 千葉授業づくり研究会」が開催されました。今回のテーマは「生成AIを活用したこれからの授業のあり方」です。
生成AIについては、この授業づくり研究会でも繰り返し取り上げています。
【第161回】千葉授業づくり研究会のようすをご紹介します:「生成AIを活用した創造的な授業とは?!」
【20周年記念イベントレポート】⑦生成AIの活用
開会のあいさつでACE理事長・藤川教授からも「生成AIはインターネット以来の人間の重要な発明であり、我々の生活を大きく変化させていくことでしょう。そんな変化していく社会を生きていく子供たちを育てる教育現場が、生成AIによってどう変わっていくのかを考えることはとても重要なテーマです。」と話がありました。
これから、学校教育に生成AIはどのような影響を与えるのでしょうか。
講師には、教育現場での生成AI活用において先駆的な取り組みを進めるNPO法人みんなのコードより、竹谷正明さん(元・みんなのコード)、永野直さんをお招きしました。お二人からは、小学校から高校までの具体的な実践事例を交えながら、生成AIという存在をどう捉え授業に活用しているのかなど、示唆に富むお話をいただきました。
竹谷さんは、まず、生成AIに関する国の動きについて分かりやすく解説されました。
生成AIについて、文部科学省の対応は「早かった」と竹谷さんはおっしゃいます。
2023年7月のガイドライン公表、9月のパイロット校指定と続き、さらに、2024年12月の次期学習指導要領へ向けた諮問では「生成AIという言葉が7か所も記載」されるなど、文部科学省が生成AIを今後「積極的に利活用することが有用」という方針を、明確に示していると説明しました。
しかし、その活用については児童生徒に「突然使わせても難しい」ため、生成AIそのものを学ぶこと、利活用することを学ぶことなど、活用の意味を考え、それぞれの教科等を関連付けていく必要があると指摘しました。
さらに、文部科学省が示す「情報活用能力の育成強化」に触れ、今後は生成AIの存在を前提とした教育になっていくと思われることや、東京都では全ての都立学校に生成AIが導入されるなど(都立AI)、すでに教育現場へ生成AIが大規模、かつ加速的に導入されていることも紹介しました。

また、ベネッセ2024年6月の調査データから、「1割の小学生が生成AIを使っている」という実態を紹介し、この状況を踏まえ、「小学校段階からのAIリテラシー教育」を「公教育でやっていく必要性」と、子どもたちが生成AIに対して「実感を伴い自律的に判断できる力」を得るには、個々人で使っていてもひとりでに学ぶことは難しく、学校で、安全な場で仲間や教師と学ぶことが必要だと考えていることを教えてくださいました。
日本教育新聞:次期学習指導要領で「情報活用能力育成」を一層強化
東京都教育委員会・都立AIについて
ベネッセコーポレーション 「生成AIの利用に関する調査」2024
このような状況を解決するため、みんなのコードでは、教育現場向けの「みんなで生成AIコース」を提供しています。
このコースは、送信データが生成AIの学習に利用されないなどの一般的な安全性に加え、「教師が児童の会話履歴を確認することが可能」「利用に際し生徒児童の個人情報が不要」「教師がアカウントを作成する」「アクセス可能時間を設定できる」といった特徴が備わっています。「先生が監督責任を持つことで年齢制限なく使用できる」ことで、使用に年齢制限がある生成AIを小学校でも安心して活用できるようになっています。
次に、「みんなで生成AIコース」を活用した小学校5年生への実践事例が紹介されました。
授業はAIに“学ばせる”体験から。
Googleが提供する「Teachable Machine」を使用し、子どもたちが撮影した国旗写真より、AIに国旗の種類を学ばせるという活動からスタートしました。
竹谷さんは、「国旗は誤認識が少ない」ため、機械学習の基本的な原理をスムーズに理解できると言います。そして基本的な原理を学んだ後、子どもたちは「自分が認識させたいもの」を自ら考えました。
これらの体験を通した授業を進める中で、教科書を認識させ、持ち物を確認する「忘れ物防止」アプリを作成する子どももでてきたそう。竹谷さんは、こういう体験を通して、子どもたちが自分もAIを使って何かできそうだ!という感覚を作っていけると良いのではとお話しされました。
生成AIを前に子どもたちがどう反応するかの傾向としては、まずはインターネットのキーワード検索のように、検索的にAIを活用し、そのうちしりとりなどして生成AIと遊びだすとのこと。そして、だんだん物語や音楽を作らせるなど、自然とクリエイティブな使い方をしていくそう。もちろんこの小学校での実践においては、子どもたちは生成AIと遊ぶ以外にも、国語で意見文の添削をお願いするなど、さまざまな教科の学習場面で生成AIを使う体験を重ねました。
そして、この実践を1年間継続した子どもたちが6年生に進級した際には、「生成AIを相棒にしよう」をテーマに、さらに活用を進めました。
例えば国語の単元では、「学校のお昼ご飯は給食と弁当のどちらがいいのか」と議論する場で、生成AIに意見を添削してもらう形で生成AIを活用しました。その際、子どもたちが、自分たちの主張をより説得力のあるものにするため、どんな資料を追加すべきかアドバイスを求める例も見られました。そして、だんだん給食費や栄養バランスなど、生成AIのアドバイスを参考にしつつも、生成AIを離れて調べる子どもの様子も見えたとのことです。
授業のふりかえりや感想では、「算数は、答えを教えてもらうんじゃなくて解き方を教えてもらうのが必要」「なんのために使うのか、それを使って何になるのかを考える」「出てきたものが本当に正解か一度考えることが大事」「自分が正しい使い方をしているのか自問自答しながら使っていきたい」等の意見が出ました。
竹谷さんは、「全員こういうこと気づくわけではないけれど、クラスの中にそういう子がいることが大事」と言います。アンケートでも、「みんなと使ったから自信ついた」と7割の子どもが回答したと紹介しました。
実践紹介の後、小学校段階で生成AIに触れる上で、小学生に意識させるべき「留意点」についても説明しました。
次に、永野さんから、高校における生成AI活用の具体的な実践事例をご紹介いただきました。
2011年当初、日本初一人一台端末を導入した情報科教員であったという永野さん。 永野さんは、「すでに産業界では、生成AIは当然に使われている。便利であるからこそ、教育界でどう使っていくにはというところは議論がありますが、ただ、インターネットが生まれた時と同じで、生成AIを今後使っていく未来は確定なので、本当に子どもたちをそこから隔離することは良いことだとは思いません。危なさがあるのであれば、それを知らせ、どう対処するか伝えることが教育なのでは」とおっしゃいます。使う心配も、使わない心配もあるものの、生成AIを避けるのではなく、過信も不信も防ぐことが重要であると説明しました。

そして、永野さんが、生成AIの活用について現場の先生方へ伝えていることを紹介くださいました。

対象年齢の違いにより表現は違いますが、小学生向けの留意点を説明された竹谷さんと大枠は同じことを指摘されている気がします。これらのポイントは、どの年齢に対しても、生成AIを活用する大きなヒントとして参考になりそうです。
続いて、高校における具体的な実践事例について4つの事例を紹介されました。
1.生成AIと生徒のディベート:生成AIを反対の立場に立たせて活用する事例。「友達と反対意見を言い合う」のは生徒にとってハードルが高くても、生成AIを活用して「喧嘩をするのではなく意見を聞く、反論する」という経験を積むことができます。永野さんは、生徒が自分のことを伝えられるようになるには、ある程度経験が必要だと考えていらっしゃり、その機会を多く得ることに生成AIを活用。
2.時事問題を読んで考察文を書く:朝学習などで、その日の新聞記事について短い考察文を書き生成AIに添削してもらう活動。この実践では、「先生が小論文の添削をするのは大変だけれど、生成AIならたくさんできる」という教育現場の負担軽減と、生徒の学習機会の増大という両面で大きなメリットがある事例。
3.探究学習での活用:探究は調べ学習と違い、問いを立てる必要があります。生成AIは、その際に、「考えを整理するのに使うのが有効」だと紹介。生徒と生成AIとで、興味のあることなどを会話させテーマを決めたり、仮説の反対意見を聞いたり、そのテーマで進めると何が分かるのか、困難な点は何かを問うなど、探究学習の各段階で生成AIを活用。
4.生成AIとプログラミング:生成AIとプログラミングは「親和性が高い」分野であるものの、AIはプロが使うような効率的な正解を提示してしまい、学習としては意図が違ってしまう場合もあります。みんなのコードでは、高校情報向けのプログラミング教材に生成AI機能を追加し、生成AIが正解のコードをそのまま生徒に提示しない工夫をしています。また、プログラミングの授業では生徒が基礎的な質問を躊躇う場面や、先生への質問待ちで作業が進まない場面もあり、そういう時にも生成AIは質問先の1つとして有効。
授業としての情報、プログラミングなどは、例えば自由課題として何か作りたいと思っても、知識技能の習得が壁となり、楽しさに行きつくまでに嫌になってしまうこともありました。ですが生成AIが登場した今は、まずは作ってみてから、生成AIの助けを借りつつ修正するなど、学習の順序が変換する可能性があるとのこと。永野さんは、技術系の授業のあり方が変わるのではないかと期待しているとお話しされました。
また最後に、生成AIは使い方に大きく左右され、AIをより良い方向に活用するためには、単にAIの使用を禁止するのではなく、学校現場がより良い使い方を、(生徒が)自ら考えられるようなヒントを与え、関わっていく必要がある。
AIが簡単に「それらしいもの」を作れるようになる現代において、人間が何かを創造する際に最も大切なのは、あなた自身の経験、感情、「これが好きだ」というこだわりを持っているか、またそれが作品に表現されているかどうかだと思うと締めくくりました。


研究会の後半は、千葉授業づくりでは定番のディスカッションの時間です。生成AIの教育現場への導入に際し、参加者から活発なディスカッションが行われました。
ここからは、ディスカッションの内容を一部抜粋要約してご紹介します(敬称略)。



今回の研究会を通じて、生成AIが教育現場にもたらす可能性と課題、そしてこれからの授業のあり方について多角的に知ることができました。生成AIの進歩は目覚ましく、数か月後には状況が変わっているかもしれません。今後もその動向を注視し、教育への最適な導入方法を模索していく必要があると感じました。
以上で、第169回千葉授業づくり研究会のレポートのご報告とします。ご講演いただきました竹谷さんと永野さん、そして参加者のみなさま、ありがとうございました。
千葉授業づくり研究会にはどなたでも参加できます。
興味がある方は、こちらの開催情報をチェックしてくださいね!Zoomを用いたオンライン配信による参加もできるので、遠方の方も大歓迎です。
2025年4月19日(土)に第168回「千葉授業づくり研究会」が開催されました。今回のテーマは、「就職やライフキャリアの最新事情から、キャリア教育のアップデートを考えよう!」です。
キャリア教育は学校教育の中でも実施されていますが、授業内容やフィードバックの方法などにお悩みの先生も多いのではないでしょうか。
本研究会では、株式会社マイナビの栗田卓也さんと今井普彦さんをお招きし、近年の就職活動の最新事情や、今後の社会で自立的にキャリアを構築するために必要な資質・能力、企業と連携した探究学習の例などをお話いただきました。かつての就職活動の常識とは異なる情報の連続に、驚きの感想を寄せる参加者の方もいらっしゃいました。
また、会の後半では、千葉授業づくり研究会定番のディスカッションを実施しました。実際にキャリア教育に関わる先生からのお悩みも寄せられ、実践的なテーマの議論となる場面もありました。
はじめに、30年以上雇用や採用に関わる業務を担当し、マイナビ編集長として就職市場について調査・説明する立場も経験してきたという栗田さんより「日本におけるキャリアの変遷及び就職活動最新事情」の講演をしていただきました。
かつての日本では職業選択によって今後のキャリアが直線的に決まっていく傾向がありましたが、近年では多様な選択肢の中から自分に合うものを選べるように変化しています。テレワークや副業など、自由度の高い働き方が普及していることも背景にあるようです。
将来の選択肢の幅が増えるのは喜ばしいことではあるものの、これからの時代では1人1人がより主体的にキャリアと向き合う必要があります。
栗田さんには、近年の新卒就活や転職市場のトレンドをご紹介いただき、そのうえで、今後の社会でのキャリア構築に必要な資質・能力をお話いただきました。参加者からは、自分の就職活動と大きく違うことに驚く声も寄せられました。
ここからは講演の様子を抜粋しながらご紹介します。ライフキャリアやキャリア教育は、教育現場に関わる先生はもちろん、就職・転職活動中の方やわが子の就職活動が気になる保護者、進路に悩む学生など、幅広い方に関わるテーマです。ぜひ、最後まで読んでくださいね。

講演の前半では、新卒就職市場の動向と学生の価値観について栗田さんにお話しいただきました。
まず、2025年卒の採用充足率は70.0%で、約10年の調査では過去最低となっています。「人がほしいけれど、充分に確保できない」という状態のため、インターンシップや仕事体験、初任給引き上げを通じて、各企業が学生にアピールする動きが見られているそうです。
特に、大卒初任給は2020年卒の平均は226,000円でしたが、2023年卒では237,300円と1万円以上も増加しており、ここ20年では見られなかった動きだそうです。加えて、これから26年卒の初任給の引き上げを予定する企業は54.1%で、半数を超えています。これは25年卒の場合と比べると6.9ptも増加しています。
また、インターンシップや仕事体験の実施率も高くなっており、約5割の企業が実施しています。なかでも上場企業では7割が実施しているそうです。学生のインターンシップ・仕事体験の参加率も85.3%、平均参加者数5.2社と高く、過去最高水準の数値です。特に、最近では長期プログラムや実務体験ができるプログラムの参加率が増えており、ゆるやかに段階を経ながら自分のキャリアを考えるきっかけともなります。
また、インターンシップや仕事体験自体も年々参加者が増え、これらの活動を経て就職活動をする学生も多いです。さらに、インターンシップをきっかけに内定を得る動きもみられています。
一方、学生が企業をじっくり選べる環境であるものの、2020年卒からは企業選択のポイントがやりたいことから安定に逆転し、安定している会社を選ぶ割合の方が多くなっています。この背景には、老後の貯蓄や景気悪化、年金制度への不安などがあります。
そのため、就職後に副業や投資といった別の収入源を得ることを検討している学生も多いようです。また、副業ができると、就職先の企業以外でも別のキャリアを築くことができるメリットもあるとお話いただきました。

次に、転職市場と企業選択軸についてお話いただきました。新卒の就職活動では「安定」が重視されますが、転職者の場合は「給与」や「勤務地」などの働く条件を重視する傾向にあることが特徴です。
現在、転職者は331万人で再び上昇しており、就職氷河期に及ばないもののこの10年で2番目の数字となっています。
新卒については、景気がいい時も悪い時も一般的に「3年3割」というような一定数の転職があるそうです。とはいえ、最近では転職しやすい環境になりつつあるため、ネガティブではなくポジティブな理由による転職の増加も感じられます。また、転職市場の全体的な変化については、20代の転職率は上げ止まっていますが、40代以上は微増傾向とのことです。
さらに、転職を考える理由には「給与」「仕事内容」「人間関係」「将来性」が上位になるとお話いただきました。転職先の決定理由には、「給与」以外に「勤務地」「休日休暇」「福利厚生」が上位になります。転職者の場合は新卒とは異なり実際に働いた経験がある層なので、企業に求める条件がより具体的です。
また、企業が中途採用の選考で重視するポイントは、経験よりも気質的特性の方がやや高いともお話いただきました。スペシャリストやリーダーシップが求められないわけではありませんが、一般的には主体性や傾聴力、発信力、問題解決力などが重視される傾向にあります。しかし、得意・不得意は人によって異なるものなので、学校での実践などで自身の特性を理解できるきっかけを与えられると、自分の特性を生かす方法という視点で進路を考えることができるのではないか、ともお話いただきました。


次に、今後必要となる能力やインターンシップの現状をご紹介いただきました。
企業の採用活動では「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力から成る「社会人基礎力」が意識されることが多いそうです。特に、その中でも「前に踏み出す力」に含まれる「主体性」や「実行力」の要素を重視する傾向があります。しかし、業界や職種によって求められる能力は異なるので、自分の気質に合う職業を探すのがよいのではないかとも補足がありました。
続いて、インターンシップの研究について解説いただきました。インターンシップは自己探索や環境探索を伴う「キャリア形成活動」として捉えられます。
共同研究による学生にとってのインターンシップの効果として5つ抽出されたのですが、特に、自分のやりたいことやキャリアプラン、目標が明確になる「キャリアの焦点化」と、社会の多様な選択肢や、業界・企業の理解など学生の視野を広げる「キャリアの展望化」の面で影響があったようです。
また、インターンシップを企業が実施する場合には、学生がインターンシップの「事前事後学習」がセットになっていることと「社会人基礎力」を通じた経験ができるプログラムであると、インターンシップの満足感や志望度、インターンシップを経た教育効果が向上する傾向があります。学生が事前にプログラムの内容を理解した上で活動に参加するため、就業体験で学生自身が学んでいることやこれから学ぶ必要があることを理解しやすくなるのです。
さらに、参加者の学生の成長を学生本人に伝えられる機会やメンターの存在も重要です。学生自身がインターンシップでの成長や自分の理解度を知るきっかけになり、これもインターンシップによる教育を高めるでしょう。

これらの最新事情を踏まえたうえで、最後に栗田さんより今後のキャリア形成で大切な点をまとめていただきました。
これまでは1つの職業選択で住む場所や家族の選択肢が絞られている傾向がありましたが、テレワークや副業が普及している現代では選択肢が豊富になっています。過剰な選択肢から自分の選択に意味づけをして、自分なりにキャリアをつむいでいくことが重要です。
加えて、「常に自分と対話しながら、自分の選んだキャリアを考え選び続けることが大切」ともお話いただきました。
これからのキャリア教育では、キャリア形成の方法が昔とは大きく変容していることを把握した上で、多様な選択肢の中から子どもたち自身が自主的にキャリアを考えるための働きかけが重要となるのですね。特にこれからのキャリア教育に関わる先生方にとっては、大切な視点ではないでしょうか。
続いて、探究学習や高校生向けの事業に携わった今井さんより「企業と連携した探究学習について」のテーマで講演いただきました。
「探究学習」とは、「学習者が問いに答える学習を通して、知的創造を行う学習方法」を指します。探究学習では、自ら問いを立てて解決するための、「課題の設定」→「情報の収集」→「整理・分析」→「まとめ・表現」のプロセスが重要です。探究学習では課題解決型の授業が行われることが多いように感じるともお話いただきました。
また、今井さんは、高等学校の先生より探究学習の指導において次の3点についてよく相談を受けたそうです。
①生徒が問いを立てられない(学習の1歩目)
②学習成果やプロセスに対して、フィードバックや評価がうまくできない
③探究学習等の指導の経験差が出やすい
これらを踏まえて、マイナビでは企業の立場で、探究学習をサポートする取り組みを実施しています。今回は、具体的な事例を3つご紹介いただきました。
まず、マイナビでは、高校生のビジネスアイデアコンテストである「マイナビキャリア甲子園」を実施しています。
本コンテストは、協賛企業が出題したテーマの課題を解決していくビジネスコンテストです。いくつかある協賛企業が出題したテーマに対して、高校生のチームが好きな企業テーマにエントリーします。その後、書類審査やプレゼン発表を経て企業代表チームを目指し、最終的には企業代表チームが集まり決勝戦が行われるというもの。
探究学習では、学習のはじめに生徒自身が問いを立てるのが難しいのが課題です。「マイナビキャリア甲子園」の場合は課題解決型のコンテストであるため、問いを立てるのが難しい学生でも取り組みやすい魅力があります。
次に、高校生の探究学習教材「Locus」を紹介いただきました。本教材は、高校の3年間の学びに合わせた探究教材となっており、下記のように段階的に学習を深めることができます。
「自己分析」→「地域を知る」→「業界を知る」→「企業を知る」→「学問を知る」→「自己実現へ」
Locusでは身近な地域の課題に向き合うことを契機として、企業や学問の関心へつなげていきます。
また、探究学習プログラムの中では、業界探究教材の「業界探究の1PPO!」という教材が使用されます。本教材は、「流通・物流編」や「半導体編」、「自動車編」など様々な業界をテーマに幅広い仕事を紹介する教材で、高校生の職業に対する視野を広げる狙いがあるそうです。
高校生ではなかなか仕事内容や業界のイメージがわきにくい仕事も取り上げられているので、高校生のキャリア選びの幅を広げるのに役立ちます。
最後に、添削サービスについて紹介いただきました。生徒が入力・記入した内容に対して専任スタッフからフィードバックをもらうことができるサービスです。
このサービスは、探究学習における「フィードバックの難しさ」という課題を解決するために開発されました。
また、前述した「マイナビキャリア甲子園」のようなビジネスコンテストの多くは、勝ち進んだチームの生徒しか審査員からの評価やフィードバックを受けられず、落選者は学習を振り返るためのヒントや機会が得られないという課題がありました。
そのほかにも、地域をテーマに発表や成果報告を行う探究学習の場合では、地域の人には喜んでもらえるものの、教育としてのフィードバックが少なくなってしまう課題もあるそうです。
こうした背景から、探究学習の過程や成果について専任スタッフによる添削を受けられるこのサービスは、多くの生徒が学校の先生や地域の人以外からの客観的な評価を受ける貴重な機会となります。


研究会の後半は、千葉授業づくりでは定番のディスカッションの時間です。オンライン上で質問ができるサービス「Slido」を用いて、参加者と登壇者で議論を行います。今回は、実際にキャリア教育に携わる先生からの質問や悩みも寄せられました。
ここからは、ディスカッションの内容を一部抜粋要約してご紹介します(敬称略)。
Q.中学生の職場体験についてはどう考えていますか?受け入れ先となる企業によって温度差が大きいように感じられます。また、体験して終わりになってしまうこともあると思います。
(今井)企業の受け入れ状況については差があるのは事実です。また、参加する学生によっては学びの差が出てしまう実態もありますね。特に、中学生くらいまでの子どもだとなぜその会社に行くのかという動機づくりが難しいことがあるので、事前事後学習でどのような学習効果を得られるかを考えるのが大切です。
たとえば、中学生に新聞記者になって取材をしてもらうような授業はいかがでしょうか。中学生自身のキャリアで興味を持つことが難しくても、職場体験に行く動機づくりができると考えています。
(参加者)中学校でリクルートのタウンワークのようなものを作る授業実践の経験があります。企業の方や社長に中学生が名刺を渡して取材のアポ取りをし、働く内容や働きがいをタウンワークの求人一覧のような形式で地域に届ける授業内容でした。単に職場体験をするよりも、中学生なりに課題を見つけて考えることができていたように感じます。
Q.高校教員です。勤務校ではキャリア教育をほぼ実施できていないです。3年間でどの程度時間を取るとよいでしょうか?
(今井)Locusを使った学習の場合、事前学習して企業を訪問しアウトプットする流れで行われることが多いですね。年間12〜15コマくらいで実施されるケースが一般的です。丁寧に授業を行えば、さらにコマ数が増えていくことも考えられます。
(こちらの質問をきっかけに、動機づけについても話が膨らみました)
また、高校生へのキャリア教育の動機付けが難しい問題だと考えています。高校生にとっても、将来が大事だとかいうのは分かるけど、受験もあると考えているでしょう。生徒がやる気になるようにどう落とし込むか工夫をすることが大切で、例えば、国語の授業の小論文と関連させて探究学習を行うと「キャリア教育が入試でも使えるかもしれない」と興味関心を持たせられるんじゃないかな、と考えます。
(栗田)興味関心をちょっとでも持たせることがまずは一番と感じます。それを意識すれば授業プログラムの作り方や時間配分は大きく変わってくるのではないでしょうか。
例えば、韓流にしか興味がないような生徒に、BtoBの素材会社が面白いと伝えてもなかなか困難だと思います。それよりも、例えば、その関連のCM会社を紹介するなど、生徒が展望化できるよう、視野を広げられるよう支援し、選択肢と結び付けて理解してもらうようなことが大切だと感じます。
Q.最近は将来の不安から成長意欲がある学生が多いという話がありましたが、一方ではワークライフバランスを大事にしていて副業やテレワークができる会社が人気なイメージもあります。どのように学生の実態をとらえていけばよいか知りたいです。
(栗田)たしかに、仕事と私生活のバランスを大切にする傾向があります。現在の若い方は、男性でも育休取得が当たり前の世代です。
そのため、夫婦共働き前提でどちらかが休んだ時にも生計を立てられるように、結果としてワークライフバランスや自己成長の機会を求める方が増えていると思います。
以上で、第168回千葉授業づくり研究会のレポートのご報告とします。ご講演いただきました栗田さんと今井さん、そして参加者のみなさま、誠にありがとうございました。
千葉授業づくり研究会にはどなたでも参加できます。
興味がある方は、こちらの開催情報をチェックしてくださいね!Zoomを用いたオンライン配信による参加もできるので、遠方の方も大歓迎です。
【記事担当:千鳥あゆむ】
2024年12月21日(土)に開催された第167回「千葉授業づくり研究会」。今回のテーマは、「テレビドラマ制作から学ぶ多様性の視点〜教育現場での活かし方とは〜」です。授業づくりや教育コンテンツを作るとき、特定のマイノリティを描くときには描かれ方が固定的にならないように工夫を行う必要があります。
今回の研究会では、NHKエンタープライズ第1制作センター社会文化部 シニア・プロデューサーの坂部 康二さんをゲストにお迎えし、講演いただきました。坂部さんは、これまでNHKにて同性愛者や障害のある人を描くテレビドラマの制作に携わってきました。
本研究会では「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」や「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」、「作りたい女と食べたい女」等のドラマ作品の制作現場にて、多様性のあるキャストとともに実践した取り組みや試行錯誤した経験を中心にご紹介いただきました。
研究会の後半は、千葉授業づくり研究会では定番のディスカッションの時間。今回は第165回千葉授業づくり研究会にて「授業づくりにおける表現と差別・ステレオタイプを考える ~想像と創造のサイクルの中でジェンダーや人種をどう考えるか~」のテーマでご講演いただいた山本 恭輔さんも加わり、大盛り上がりでさまざまな視点から意見が交わされました。
坂部さんは、「最近のNHK、攻めてる?」と問われることがあるそうです。
2024年には、日本史上初、女性の立場で法曹の世界で道を切り開く佐田 寅子たちの姿を描く連続テレビ小説「虎に翼」が大きな話題となりました。作中では、女性の生きづらさを中心に朝鮮人留学生や同性愛者、異性装などの声を上げることが難しかった人の姿も描かれています。
また、ドラマ「%(パーセント)」は作中の若手プロデューサーが、「障害のある俳優を起用する」条件でドラマ制作に奔走するお話です。本作では、実際に障害のある方をキャストに起用しています。
坂部さんは、現在のNHKのドラマ制作では「なぜ今これをやるのか」が求められ、そのため、何らかの問題提起がされることやドラマを通して気づきを得ることもドラマ制作の大切な要素だと話しました。また、社会的な意義を求めるだけではなく、エンターテインメントとしておもしろいものを作る姿勢もドラマ作りでは重要です。
本講演会では、坂部さん自身が作品制作に携わったドラマ作品「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」「作りたい女と食べたい女」での取り組みを例に、そこから得た気づきや経験をご紹介いただきました。

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」は作家・岸田奈美さんの家族について書かれたエッセイを原作にした連続ドラマです。
ベンチャー企業家の父は他界、母親は突然車いす利用者となり、弟はダウン症、祖母にはものわすれの症状が出始めている。そんな情報過多な家族のできごとが、原作同様にドラマでもあたたかく描かれています。
本作のドラマ化では、ダウン症の弟役の「草太」に、自身もダウン症である俳優・吉田葵さんを起用しています。本作ではダウン症のある「草太」が重要な役柄となります。ダウン症がある方の起用について、坂部さんは「むしろ、なぜダウン症の方を起用しないと思うのか」という考えで、ダウン症の当事者である俳優を集めたオーディションを実施しました。NHKにはマイノリティーをテーマにしたバラエティ番組『バリバラ』を手掛けるなど、障害に対し知見を持つ福祉班があります。今回のオーディションでは福祉班のスタッフにも相談し、日本ダウン症協会にオーディションに興味がある俳優の紹介を依頼することになりました。
坂部さんは「ダウン症のある人という括りでつい考えてしまっていたが、実際にお会いするとダンスや絵が得意な人、シャイな人、障害の程度など、オーディション参加者一人ひとりに当然ながら個性がある。その中で役柄に合うのは誰かということを考えた」とオーディションの様子を振り返ります。さらに、作中に登場する草太の子ども時代の回想シーンや草太の同僚役にもダウン症のあるキャストを起用しました。
撮影現場ではダウン症に対する考証や監修の専門家とは別に草太役の吉田さん専属のサポート担当も配置されました。専属のサポーターがいることで、脚本の解釈や演技指導のサポートに加えて、ドラマの撮影に慣れていない吉田さんに、現場のルールや他のスタッフへのコミュニケーションの方法を繰り返し時間をかけて伝えることができました。また、送迎や家での台本の読み合わせなど、家族による支えもありました。
オーディションでは、実在の岸田奈美さんの弟である良太さんに見た目や知的レベルを合わせることは考えず、あくまでもフィクションであることを念頭に選考が行われました。また、原作で良太さんが好きなコーラを飲むシーンがあるのですが、ドラマ撮影では演じる吉田さんの好みに合わせてリンゴジュースに変えたといいます。作中でコーラが重要な意味を持つわけではないので、古田さんにわざわざ苦手なコーラを飲んでもらい、おいしそうな演技をしてもらう必要がないことが理由です。また、草太がコーラではなくリンゴジュースが好きな役となっても、作中にはデメリットはないとも判断されました。
坂部さんは、ダウン症がある人でも、ない人であっても「その人が何を求めているのか」が大切だときづいたと語ります。これは、教育現場でも1人1人に向き合う際に通じる視点なのではないでしょうか。

「デフ・ヴォイス」は、草彅剛さん演じる、コーダの手話通訳士がろう者の法廷通訳に奮闘する様子を描いたミステリー作品です。コーダとは、「きこえない親を一人以上もつ(きこえる)人」を指します。本作では、主役の草彅剛さんら主要なキャスト以外には、役柄に応じてコーダやろう者、難聴者が起用されました。
約80人もの人が参加したオーディションでは「ろう者・難聴者の俳優向けのオーディションがあること自体がうれしい」との声があったようです。このようなコメントの背景にはメインの配役にろう者や難聴者が出ることが少ない事情があります。
ここでも、撮影の際には、専門知識のあるスタッフによるサポートや演技指導が行われたそうです。
俳優に声かけが通じない課題があるため、撮影の前に模擬撮影が行われました。声ではなく合図を送る人が役者の見える位置に立ち、手を上から下げることで「撮影スタート」を伝達する形になりました。模擬撮影をすることで、1つの撮影を作るチームとして団結することができたそうです。
また、撮影期間中には、とあるスタッフが「草彅剛さんのような有名人と共演することをどう思うか」と、ろう者の俳優に尋ねると「同じ俳優として学ぶことがありますよね」と対等な俳優としてのコメントが返ってくる場面があったそうです。ついつい「ろう者なのに草彅さんと共演できてうれしい」という回答になると思い込んでしまう偏見があると気づいた例として紹介していだきました。「スターと共演できる場を作ってあげた」という認識ではなく、プロの俳優として接することが大切なのです。

ここまで当事者が自分に近い役柄を演じる撮影の例を紹介しましたが、坂部さんはこのようなキャスト起用をすべてのドラマに当てはめるべきだとは考えていません。
「当事者が演じればそれでいいのか」
「当事者が頑張っていることに感動していないか」
「当事者に合意を取れているのか」
など、常に自らに問い続ける必要があります。
特に、当事者が自分に近い役柄を演じる場合には、当事者性の開示が生じます。性的マイノリティの役柄を演じる人が、自分自身の性的指向を開示する必要性があるのかというと、そうは言えません。あらゆるマイノリティにはそれぞれ固有の背景や歴史があることを考慮する必要があるのです。
講演では、坂部さんが携わった「作りたい女と食べたい女」のドラマの例をご紹介いただきました。この作品では、料理が趣味の女性・野本さんが、同じマンションの女性・春日さんと2人で料理を作って食べることで交流を深めていきます。次第に、野本さん自身が、自分はレズビアンで春日さんに恋心を持っていることに気づきます。
「作りたい女と食べたい女」の撮影ではレズビアンの俳優の起用には至りませんでしたが、ジェンダー・セクシュアリティについて俳優・スタッフに向けて講習会を行ったそうです。同性愛を描く作品を扱うため、関係者全員が安心安全な環境で撮影に臨みたいよねということで実施されました。
坂部さんは、現在は長期的な「移行期間」であると捉え、今後は当事者の人が演じる機会となるバトンをつなげたいと考えています。
また、「多様性やコンプラによってテレビが息苦しくなったのか」と坂部さん自身に問うと、答えは「NO」であるそうです。多様な人がドラマに登場することは、これまで語られなかった人の声が聴こえるコンテンツを生み出せる社会であるためです。むしろ、これまでは言葉遣いや言い方に配慮がされずに、誰かが嫌な思いをして作られているコンテンツがあったとも考えられます。
坂部さんは「テレビドラマの力で生きづらい人をエンパワーメントし、理解を広げるきっかけにしていきたい」とお話してくださいました。

講演の締めくくりには、坂部さんがこれからの展望として考えていることを3つお話いただきました。
1つ目は、「通行人A」のような人物に多様性を反映させることです。例えば、「背後を通り過ぎるだけの人物が車いす当事者である」「主人公の恋人の弟が障害のある人や性的マイノリティの人物である」などのように、物語に直接的に寄与しない役柄にも多様性を反映させられるのが理想です。
2つ目は、俳優以外に制作スタッフにも多様性のある方に入ってもらうことです。マイノリティの方にもメインのスタッフとしてかかわってもらうことで、「『彼ら』の物語から『私たち』の物語」へと意識を変容できるのではないかと考えます。
3つ目は、「Race&Ethnicity」がキーワードになります。今は、海外ルーツの人が増えているけれども、ドラマやテレビではそこまで反映できていません。人種と民族に注目し、「ミックスルーツ(いわゆる”ハーフ”の方)」が主人公のドラマなどを作りたいとお話いただきました。
ここまでの3つの指摘を受け、学校教育でも多様性のある方への接し方を見直す必要があるように感じました。多様性のある方への配慮も大切ですが、多様性を反映させる環境づくりも重要な視点となるのではないでしょうか。
研究会の後半は、千葉授業づくり研究会定番のディスカッションの時間です。オンライン上で質問ができるサービス「Slido」を使用して、参加者と登壇者で議論を行います。今回は、第165回研究会の講師・山本 恭輔さんにも司会やコメントをしていただきました。
ここからは、ディスカッションの様子を一部抜粋要約してご紹介します(敬称略)。


Q.(山本)講演会の最後に表象頻度の話があったのが気になりました。表象される頻度が少ない属性はステレオタイプ化しやすいので、自分が他者をどうまなざすのかを知ることが大事だと思います。
しかし、多様性やマイノリティを扱った作品を打ち出すことには意味があるものの、そういう人物像としてラベリングされる可能性もあります。プロデューサーとしてどう向き合っていますか?
(坂部)ラベリングされることはあるかもしれません。自分の打ち出し方は、「女性同士の恋愛を描いた物語です」「ダウン症の家族が出てくる話です」などの事実の情報だけを出すように心がけています。ただし、見られ方としてラベリングだと捉えられてしまう可能性はあります。それでも、お説教や学習ツールだけではなく、「エンターテインメントとしての面白さ」を伝えることも意識しているので、そこが伝わらないのならば残念ですし自戒する部分になります。
Q.(参加者)最近いじめ防止の教材づくりに携わることが多いです。意味があると思っていじめの描写を入れることがあるのですが、心のどこかで「自分の作った表現で傷つく子どもたちがいるのではないか」と考えてしまいます。
番組作りでも同様のリスクがあると思うのですが、何か対策していることがあれば教えてください。
(坂部)全く誰も傷つけないというのは非常に難しい話になります。例えば「作りたい女と食べたい女」の原作の漫画では、作品の冒頭で「〇〇な描写があります」という注意書きがなされており、体調や気持ちに応じて読むかどうかを選択できます。また、ドラマでもそういう注意書きを出すこともあります。ただし、今回のドラマ制作では、漫画よりも表現が弱まっている面があることや、1つ入れると他の場面でも多く注意を出す必要が出ることなどを踏まえて、注意書きを入れない判断をしました。注意書きをいれなかったことは最終的に大きなトラブルにつながってはいないものの、もしかすると人によっては傷ついてしまったかもしれません。
一方、いじめの教材づくりの場合を考えると、いじめる側のキャスティングに難しさを感じます。男性と女性どちらにするのか、体格はどうするのか、など。もし、「一般的にいじめる人はこういうルックスだろう」のようなステレオタイプがあるとすれば、あえて外してみるのが良いのではないでしょうか。
Q.(参加者)坂部さんのお話を伺って、「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の現場でダウン症の方とお仕事をする中でいろいろな学びがあったのだと感じました。
坂部さん自身に多様性を受け入れようという人柄がある印象を受けたのですが、他のスタッフの方には研修などがあったのですか?
(坂部)ドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の現場では特にNHKとして研修があったわけではありません。ただ、2〜3か月と長期の撮影の中でほぼ毎日顔を合わせる中で、スタッフと俳優の関係性が結ばれたように思います。
【記事担当:千鳥あゆむ】