みんなで考えよう、ケータイ・スマートフォン

千葉県印旛郡栄町教育委員会では、2017年からIIKS(イキイキ子育てスクール:栄町合同家庭教育学級)にて「考えよう、ケータイ」のプログラムを継続的に開催しております。今回は、その開催の背景や講演の内容について、並木進先生にお話を伺いました。

並木進先生

活用教材考えよう、ケータイ冊子

みんなで考えよう、ケータイ・スマートフォン


Q:IIKS(イキイキ子育てスクール:栄町合同家庭教育学級)について教えてください。

A:2016年4月に発足した、栄町にある全小中学校合同の家庭教育学級の名称です。目的を3つ掲げています。1つ目は、親等が家庭で子どもの教育を行うときに必要な心構えや留意点などを学習する機会を提供すること。2つ目は、家庭教育の充実を図りながら、子どもたちの健やかな成長に資すること。3つ目は、学級生自身の向上と学級生同士の親睦です。栄町では4つの小学校から1つの中学校へ進学するため、小学生のときから保護者間で交流することも兼ねています。
年間6回講演会を実施していますが、小中合同で開催するのは年間5回です。講演会を行った後は、保護者からのアンケートをもとに講演会の内容や保護者の感想などを「家庭教育学級だより」としてまとめ、各学校に配付しています。

Q:IIKSで扱うテーマはどのように決定しているのですか。

A:テーマについてですが、年度末に保護者へアンケートをとって集計し、分析した上で次年度の計画を立てています。アンケートの内容としましては、次年度開催する講演会の曜日やどのようなテーマを講演会で取り扱いたいかという具体的な事柄を保護者へ聞いています
また、IIKSの運営は、担当校の家庭教育学級主事(教頭)と各学校のPTA組織の中の研修部が、栄町学校・家庭教育コーディネーターの助言を受けながら行っており、その中でテーマを決定しています。印旛郡栄町には小中合わせて5校あるので、各校の担当者が年に1回輪番で講演会の運営をしています。

Q:なぜ継続的に情報モラル教育に関する講演をIIKSで実施しているのですか。

A:保護者からのアンケートで、情報モラル教育について取り扱ってほしいというニーズが高いということや保護者自身が情報モラルについて学習する機会が意外と少ないということが挙げられます。そのため、年間5回開催のうち1回は、2017年から毎年、情報モラル教育に関する講演を実施しています。
また、スマホはとても便利なツールですし、これからの社会に出る子どもたちにとって、上手く使えばとても役に立ちます。しかし、使い方を間違えばトラブルに巻き込まれたり、大きな事件に発展したりするという現状があるので、子どもたちがしっかり学習する必要があると思います。一方で、子どもだけではなく、教員に対して研修を行ったり、保護者に対しても現状を認識できるような学習の機会を設けたりすることが大切だと考えます。そのため、毎年、情報モラルに関する講演会を行っています。

Q:「考えよう、ケータイ」のプログラムとしてどのような点がよいですか。

A:2点あります。1点目は、実際に疑似体験できるというところです。タブレットを使用して実際にフィルタリングをかけたり、疑似体験アプリを使用したりしながらのプログラムなので、視覚的にとてもわかりやすいです。2点目は、最新の情報を得ることができるところです。情報モラル教育の中でも注目されている話題や注意すべきことなどを学習することができます。情報モラル教育について、保護者が学習する機会は意外と少ないため、最新の情報を知ることはとても重要だと思います。

Q:「考えよう、ケータイ」のプログラムに関して、保護者からはどのような感想があがりましたか。

<以下、「家庭教育学級だより」からのコメントを引用>
・ネット世界は良くも悪くも日々成長していきます。子供たちとともに学んでいくためにも自分の理解を深めたいと思いました。
・フィルタリングの実際のかけ方を体験できて、良かったです。
・子供が抱えている悩みを打ち明けられるような親子関係づくりが大切だと改めて感じました。いつもと違った表情やちょっとした変化など、子供のSOSに応えてあげられるよう日頃からコミュニケーションをとり、スマホの危険性からも回避できるような関わりをしていきたいです。
・小さい時からパットやスマホを見せていて、動画やゲームを子供は楽しんでいるが、便利なだけではなく危険もある事を頭に入れて使用させたいと思った。ネットトラブルに巻き込まれないよう気を付けたいと思った。

Q:今後、栄町でIIKSの活動を行っていく上で、どのように取り組んでいきたいですか。

A:これからも5回中1回の講演会は必ず、テーマとして情報モラル教育を扱うことは、継続したいと考えています。理由としては、2点あります。1点目は、スマホを原因としたいじめや不登校の問題があるからです。2点目は、スマホが学力の低下に関わっているからです。
最近のニュースにて、0歳のスマホ経験率が6%という話を聞きました。保護者の携帯を子どもが使うことが多いような現状から、スマホ所持率の低年齢化がこれから進んでいくと思います。スマホに対しての抵抗が少ない保護者が多くなっている中で、保護者自身が子どもにどのようにスマホを与えるかまた、どのように使うか、学習する必要があるのではないかと考えます。便利なツールであるがゆえに危険もたくさん潜んでいるので、学校教育だけではなく、家庭での教育も必要です。子どもと保護者での、家庭のルールづくりなどの促進のためにも、家庭教育学級で継続的に取り扱うべきテーマだと思います。
ある保護者は、子どもに対して、「スマホはあなたのものではなく、親から子どもに貸しているものです。」と伝えており、きちんとルールづくりを家庭でできるようなスタンスをとっている方もいます。このように家庭での教育も充実していけるようにしたいと考えています。

 


今回、お話を伺った栄町教育委員会が主催するIIKS(イキイキ子育てスクール:家庭教育学級)の取り組みは、千葉県で行われている「次世代への飛躍 輝け!ちば元気プラン」の中の、「教育の原点としての家庭の力の向上と人づくりのための連携」の例としても取り上げられています。

この記事に対するお問い合わせはこちらよりお聞かせ下さい。

文責:山本茜子(NPO法人企業教育研究会スタッフ 千葉大学大学院)



考えよう、ケータイ冊子 研修会の様子