今回は東京都立山崎高等学校にお邪魔しました。山崎高等学校では平成28年度、学校でSNSのルールを策定するという取り組みを行っています。その取組の中で「PTA・生徒合同スマホミーティング」という生徒と保護者でスマホの現状について話し合いを行う機会がありました。そこで、「みんなで考えよう、ケータイ・スマートフォン」が活用されましたので、そのミーティングの様子をお伺いしてきました。
Q:今回の取り組みについて教えてください。
A:今年度本校は、東京都の情報モラル推進校に指定され、1年かけて、SNSの利用状況の調査と共に、自主ルールつくりを積極的に実践するため、外部機関の活用、保護者の参加型講習会の開催に取り組んでいます。そしてSNSの使用方法を中心とした情報モラル教育を進めています。その柱として、学校独自のSNS使用ルール作りを行うことになりました。
本校では校内でのケータイ・スマホの使用は禁止であるため、SNS使用ルールは学校外での使用について考える事となります。そのため、家庭での使用の様子や保護者の考えを知ることが不可欠であると気付き、保護者と生徒が合同でSNS使用について意見を出し合う機会を企画しました。
Q:なぜ「みんなで考えよう、ケータイ・スマートフォン」を活用しようと思ったのですか?
A:ルールつくりの前段階として、SNSの何が危険なのかを具体的に知り、高校生と保護者の理解の違いを明確にすることで、ルールそのものの考え方が、変わるのではと思いました。
また家庭でのルールは、家庭ごとに違う認識や考えを基に作られるものであるので、家庭によってはルール自体が無いこともあるなど違いが大きいです。そのため、ルールを考えるための前段階として、全て(保護者も生徒も)の人に共通の意識を持ってもらう手段として、動画を使った導入の後、意見交換といった方法が良いと考えました。特に、家庭のルール作成に関する動画が今回の企画に適していたため、こちらを活用しようと思いました。
Q:実際、考えようケータイを活用してみてどうでしたか?
A:SNS使用の現状について生徒から、「悪口は気にせず流している」「鍵アカ※1 を使用している」「プリペイドカードで課金をしている」等の話があり、保護者が驚き、子どもが危険を理解して自分たちで工夫して使っていることを知り安心している様子が見られました。保護者は、子どもが心配だがSNSの危険性やその対象法に関する知識が少ないため、一方的に子どものSNS使用を制限したり監視したりしてしまうのだと分かりました。子ども達が、どういうことに気を付けてどのように使用しているのかを伝え、親と子が一緒にルールを考える機会が全ての家庭にあれば、高校生とSNSとのより良い関係が気づけるのではと思いました。
Q:これからの展望はありますか?
A:今回のミーティングの様子や、そこで気付いたこと等をまとめて、PTAの広報誌に載せ、全ての家庭に周知したい。そして、全ての家庭で少しでも生徒のSNS使用について話をしていただけたらと思っています。
また今後、他校種と連携した継続的な教育として小学生への高校生による出前授業を予定しています。今回学んだことを基に、どのような授業をすべきかを生徒たちに再考させ、より効果的で有意義な授業を実施させたいと思います。
生徒からの感想
・映像があったので話し合いがスムーズにできました。
・保護者と話してみて、結構スマホのことについて知らないんだなとおもいました。
・大人から規制をされるのではという危機感はあったけど、話し合いをしてみると意外とそうではなかった。映像にもあったが、話をするということは大切だと思います。家でも家族と話してみたいです。
保護者からの感想
・分りやすく良かったと思います。
・子供たちと親たちのスマホに対する考え方の違いがあることが分りました。裏アカ※2・・・・等。親が知らないことを、子供たちは良く知っているのですね。親は、やっぱりトラブルが一番心配なので、ある程度、家庭内でのルールを守らせながら見守りたいです。
・自分たちで良い悪いを見極め使用している事が、すごいと思いました。
・ケータイを初めて手にした時の子供は、とても好奇心がある事を思い出しました。また、危険が潜んでいる事を再確認できたのでよかったです。
以上山崎高等学校の山室先生、山崎先生のインタビューでした。この記事に対するお問い合わせはこちらよりお聞かせ下さい。

※1 鍵アカ:鍵アカウントの略。SNSの公開範囲を限定しているアカウントのこと。
※2 裏アカ:裏アカウントの略。SNSで複数のアカウントを作成し、表向きではないアカウントのこと。裏アカウントの形態は様々あり、仲のいい友達同士でやり取りするためのアカウントや、他人には公開せず、自分の好きなこと書き込みをするアカウントなど様々な形態が存在する。