みんなで考えよう、ケータイ・スマートフォン

今回は、山形県高畠町の高畠中学校で、内田先生にお話をうかがいました。

授業を行った内田先生

活用教材考えよう、ケータイ冊子

みんなで考えよう、ケータイ・スマートフォン


Q:内田先生は「みんなで考えよう、ケータイ・スマートフォン」をどのように活用されましたか?

A:2015年の7月8日に、高畠町立高畠第三中学校(2016年4月に高畠町立高畠中学校に統合)の2年生を対象に授業を行いました。『①学校で考えよう、スマホのコミュニケーション』の授業を、Webに掲載されている指導案やワークシートに沿って実施しました。

Q:「みんなで考えよう、ケータイ・スマートフォン」は、何をきっかけに知りましたか?

A:情報モラル教育の教材情報を検索した中で「みんなで考えよう、ケータイ・スマートフォン」が良いと感じました。子どもたちの間で現実に起きていることに対して、問題提起ができる教材だと思いました。「考えよう、ケータイ」のWebサイトを見たところ、2015年7月5日に研修会が東京で開催されるという告知を見つけました。授業を行う直前でしたが、研修会に参加しました。模擬授業などを自分で体験することで、授業づくりに参考になると考えました。

Q:夏休み前の時期に授業を実施した理由を教えてください。

A:自分専用の端末を持っていなくても、保護者の端末を使用する生徒も多いことがわかりました。また、保護者からも夜遅い時間までスマホを利用しているという話を聞いたり、長期休業ということで、少し気が緩みがちになる心配があったりしました。そこで、長期休暇業に入る前に授業を行おうと考えました。
 小中連携して考えるべき大切な内容と捉えていたので、授業は地域の小学校の先生方も見学に来る公開授業の日に実施しました。授業を参観してもらい、小学校の先生方にも参考にしていただきたいというねらいもありました。

Q:授業を実施した際の生徒の反応を教えてください。

A:生徒たちにとっては、メッセンジャーアプリやスマホの使い方は身近な題材だったようです。ドラマに登場する生徒たちの行動の問題点について教室内で意見交換をする中で、生徒たちは他人の意見を聞くことで、お互いに発見をしていました。授業後には、「今後、メッセンジャーアプリを使うときにはトラブルが起こる可能性がわかったから、気を付けなければいけない」と感想を寄せていました。
 メッセンジャーアプリの使い方によって、人間関係がこじれて仲間外れを生み出す可能性があることに、衝撃を受ける生徒もいました。大切なことは直接会って話すことが重要だと気が付きます。実際に「今後は何かあったら直接話をして問題解決ができるか?」とたずねると、自信がなさそうな生徒もいましたが、道具に頼らず、コミュニケーションすることについて考えるきっかけになっていると思います。
 また、ドラマの中でも、スマホを握りしめたまま寝てしまった場面が描かれていましたが、生徒たちも、それが良いことではないとわかっているものの、ついつい遅い時間までにやってしまう。それらは意識して気を付けなければならないことを自覚できたと思います。

Q:「ネットあんぜん検定」はどのように活用されましたか?

A:授業の他に「ネットあんぜん検定」の21問テストを全校の生徒に回答してもらいました。回答結果の傾向を見ると、生徒たちは著作権や肖像権については比較的よく理解しているということがわかりました。その反面、ウイルス対策や個人情報保護などのセキュリティについての知識をあまり持っていないということもわかりました。
  技術科の授業の中で紹介されている情報活用の便利さと危険性について学ぶ単元があります。これまでも、例えば、画像と位置情報サービスが結びつくことやなど、生徒が使用しているアプリやスマホに即した、突っ込んだ内容を紹介してきました。「ネットあんぜん検定」でわかった生徒の理解度を参考に、技術科の授業の中で行う解説の内容を決めました。

Q:内田先生の考える、子どもとネットの付き合い方について教えて下さい。

A:様々な事件が報道されていますが、その多くはスマホやアプリ自体が原因となっているわけではないと思います。だからこそ「どうやって使いこなしていくか」という立場の指導が必要だと考えています。
 現在はスマートフォンが主流になっていますが、今後はまた別なツールが出て普及することも予測されます。子どもたちはそれらを活用しながら生きていくことになります。どんな変化がおきても、安全に使いこなすための知恵を身につけるための授業や指導が必要だと考えます。そのためには、情報技術に関するある程度の知識を習得することが必要です。
  それとともに、近年は人間と機械の主従関係について考えさせられることが多くなりました。「機械に使われる人間」ではなくて「機械を使う人間」としての主体性や、人と人との直接のコミュニケーションの大切さを意識できる機会を作っていきたいと思います。


以上、内田先生のインタビューでした。この記事に対するお問い合わせはこちらよりお聞かせ下さい。



考えよう、ケータイ冊子 中学校2年生を対象に授業を行った

考えよう、ケータイ冊子